34. 区会議員に推されて当選 1925年(大正14年)
大開町に移り住んでから、すでに7年余り。町内会の仕事を任せられる機会も増えた。
大正14年末、大阪市の連合区会議員の改選期が近づいたときのこと。所主が健康をそこねて寝ているところに、町内の有志が立候補を勧めに来た。所主が断ると、「運動は有志でやる。あなたはゆっくり静養しておればよい」と熱心に説く。ついに引き受けた。
出てみると、立候補者はほとんどが古参の有力者で、所主は初めての上に、満31歳の若輩である。しかも、定員の20名のところに28名が立ち、競争も相当激しくなった。有志は手弁当をさげて選挙運動をしてくれている。たまりかねて所主も1度だけ戸別訪問をし、熱を込めて話をした。他の候補者は何度も回っている。全員に負けてはいけないという熱気が広がった。
結果は28名中2位の当選である。予想外の好結果に、全員が万歳を叫んだ。所主は、全員から祝福を受けつつ、盛んな熱意に感激した。ふと気がつくと、体も回復し、気力に満ちた自分の姿を見出し、不思議な感動を覚えた。