40. 角型ランプを発売 1927年(昭和2年)

角型ランプを考案するかたわら、所主はその名称について、あれこれと考えていた。ある日、新聞を見ていたとき、「インターナショナル」という文字が目に飛び込んだ。妙に印象に残ったので、辞書を引いてみると、「国際的」という意味があった。念のために、「ナショナル」を引くと、「国民の、全国の」とあった。所主の思いにぴつたりの字義である。

所主は、「名は体をあらわすの例えもある。“ナショナル”と名づけて、国民の必需品にしよう」と決心し、大正14年6月、「ナショナル」を商標として出願登録した。

昭和2年4月、待望の角形ランプが完成した。所主は、さっそく「ナショナル」の商標を冠し、「ナショナルランプ」と名づけて、販売計画を練った。山本商店に1万円の代償を支払って販売権を買い戻した、いわくつきの角型ランプである。製品の実用性に確信をもった所主は、発売に際して、1万個を販売店に無料提供するという思い切った売り出しを行った。これが成功し、翌年末には、売り上げは月3万個にも達するほどの伸びを示した。