66. 「ナショナル」マークを改正統一 1937年(昭和12年)
「ナショナル」マークは、松下電器の進展、製品の普及につれて、全国の家庭に行き渡り、人々にとって親しみのある商標となった。しかし、当時、広告業界において、近代感覚の広告が多くなり、社内にも書体をもっと近代的なものにしたいという声が高まった。
ちょうど、当時最も近代的製品であるラジオ受信機が製造品目に加わったのを機に、昭和10年11月、「ナショナル」の新書体を発表し、書体統一を図ったが、その直後に、株式会社への改組、9分社制への移行など組織の変革があり、当面、ラジオ受信機に関してのみ、新書体を使用することになった。
しかし、書体統一は松下電器の統一的なイメージづくりの基本でもあることから、社主は、昭和12年12月、再度「ナショナル」のマークをつくり、書体を改正統一した。当初の案は、「ナショナル」の文字を円で囲んだものだったが、社主はふと思いつき、上下に「電光マーク」を加えることを指示した。
これが全製品につけられることになり、ようやく全社的に書体統一が完了し、以後、近代企業としてのイメージづくりが活発に展開されていった。