71. 発明者・考案者番付 1941年(昭和16年)
松下電器の創業は、社主のソケット考案に始まる。初めに、発明考案があったともいえる。以来、社会の人々に真に役立つ製品を生み出すために、社主自ら研究開発に心を注ぐとともに、従業員に奨励し続けた結果、研究意欲は年ごとに高まった。
ちなみに、工業所有権の推移をみると、株式会社に改組された昭和10年末、469件だったものが、昭和15年末には、1,421件と約3倍に急増している。またいかに研究開発に熱心だったかは、昭和16年制作の発明者・考案者番付表(同年4月現在)によっても知れる。東の横綱は中尾哲二郎取締役、西の横綱が社主である。
だが、資材の入手難で、商品の劣悪化はさらに進む気配である。社主は憂慮し、昭和17年10月に、「製品劣化に関する注意」の通達を出した。
その1条で、「製品には親切昧、情味、奥床しさ、ゆとりの多分に含まれたるものをつくり出し、需要者に喜ばれることを根本的の信念とすること」と訴え、魂の込もった製品づくりを指示した。