84. PHP研究所を創設 1946年(昭和21年)

悪性インフレの急進に加えて、大凶作による食糧不足に見舞われ、日本は危機に直面していた。道徳の乱れ、人心の荒廃は目に余るものがあり、平和とはほど遠い状態だった。また、当時の法律や制度の中には、社会の実状や人情に合わないものも多く、まじめに働く人ほど損をするといった矛盾点が少なからず見られた。

そうした世相の中で、社主は、これが人間本来の姿なのかという強い疑問を抱き、人間そのものについて、また人間社会の意義について、さまざまの思いを巡らせた。そして「この世に物心一如の繁栄をもたらすことによって、真の平和と幸福を実現する道を探究しよう」と決心した。

そこで、社主はこの「繁栄によって平和と幸福を」(Peace and Happiness through Prosperity)を実現するための研究および運動の機関として、昭和21年11月3日、「PHP研究所」を創設、第1次研究10目標を掲げ、広く社内外の人々に働きかけた。

昭和22年4月には、PHP誌を創刊、翌年2月からは、大阪中之島図書館で毎月1回、研究講座を開催するなど積極的な活動を展開した。

廃墟の中でのこの働きかけは、飢餓に苦しむ人々の共感を得て、PHP運動の波紋は次第に広がっていった。