99. 天皇、皇后両陛下が高槻工場に行幸啓 1956年(昭和31年)

大阪府高槻市に建設中の松下電子工業の新工場は、昭和29年3月、第一期工事を終え、電球、蛍光灯、電子管などの生産を開始した。フィリップス社と松下電器との密接な提携により、経営面、技術面ともに充実し、他メーカーからも逐次真空管の注文を受けるようになった。

この高槻工場に、昭和31年11月1日、天皇、皇后両陛下が行幸啓された。兵庫県での国民体育大会にご臨席中のことである。

この日、午前11時5分、「君が代」が流れ、社長夫妻をはじめ重役幹部夫妻、大阪地区代理店主、協力会社代表者、従業員家族が見守る中にご到着。社長のご案内で、工場をていねいにご巡覧された。親しくご質問される両陛下、緊張気味にお答えする社長、予定の1時間がまたたく間に過ぎていった。ご出発に際し「お元気でお国のために頑張って下さい」とのお言葉を残され、お召し車に乗られた両陛下に、全員は日の丸の旗を振り続けた。