118. 販売会社社長懇談会を開催 1964年(昭和39年)

日本経済はオリンピック景気に支えられて、なお高度成長を維持するかにみえた。ところが、昭和38年末に至り、過熱ぎみの景気を抑えるために、金融引き締めが強化され、急速な転換を迫られた。

もともと借金中心で拡張を続けてきた経済界は、過剰設備の重荷に苦しみ、深刻な反省期を迎えたのである。電機業界は、その上に主力製品の普及一巡による需要の停滞が加わり、販売不振のために市場競争が激化し、業界の混乱、販売会社の経営悪化が目立ち始めた。

この事態を憂慮した会長は、昭和39年7月9日から3日間、熱海の二ューフジヤホテルで、全国販売会社代理店社長懇談会(熱海会談)を開催した。

この時、会長は延べ13時間壇上に立ち、販売会社、代理店の社長から出される苦情や要望に耳を傾けた。聞いてみると、順調に収益を上げているのは、170社のうちわずか20数社という状況であった。

会長は非常なショックを受けたものの、一面かすかな希望も抱いた。そこで「病気は早期に発見し、治療に努めることが大切です。この会議は共同診断のようなものです。ここでお互いに診察し合い、健康体の方からは、その秘訣を発表してもらって参考にし、そうでない方は、お互いに気づいた治療法を話し合い、この会議を実りあるものにしたい」と呼びかけた。