120. ライフ誌で紹介される 1964年(昭和39年)
昭和39年10月10日から開催予定の東京オリンピックは、この年最大の国民的関心事であり、日本は世界からも注目されていた。アメリカのライフ誌は、その直前の9月11日号で日本特集を組み、その中で「MEET MR.MATSUSITA」(ミスター松下に会いましょう)と題する記事を掲載した。
その第1ページは、「最高の産業人、最高所得者、思想家、雑誌発行者、ベストセラー著者」と5つのタイトルを冠せられた会長の写真で飾られていた。次のぺージには「フォードとアルジャーの2人を1人で兼ねているパイオニア」の見出しがあり、その中には「松下氏は革命的な温情主義者である」との1節があった。事業家としての側面と思索家としての側面が、自動車王フォードと19世紀に活躍したアメリカの牧師兼作家アルジャーになぞらえてみごとに浮き彫りにされていた。
続いて、会長の経歴をはじめとして、松下電器の経営理念、活動内容、PHP思想などが、豊富な写真とともに、8ページにわたり詳しく紹介されていた。
このライフ誌は、800万部発行されたとのことであり、これにより松下電器の知名度は国際的に一層高まった。