122. 「ダム経営」について発表 1965年(昭和40年)
大型倒産を引き起こし、40年不況はますます深刻化の道をたどっていた。
こうした時期の昭和40年2月に、岡山県の倉敷国際ホテルで開かれた第3回関西財界セミナーで、会長は「ダム経営と適正経営」と題し、講演をした。
その中で、会長は、この不況の遠因が戦後の信用膨張、借金経営に求められるとして「もう戦後の非常時ではない。開放経済下の今日、欧米の企業のように余裕のある、安定経営を志すときである」と強調し、その方策の1つとして「ダム経営」について発表した。
ダム経営とは、最初から一定の余裕をもった経営のあり方であり、あたかもダムに入れた水を必要に応じて徐々に流していくように、たとえば、需要に変動があった場合、品物が足りなくなったり、余り過ぎたりしないように、余裕設備を動かしたり、休ませたりして、安定的な経営を進めるというもの。それは設備だけではなく、資金、人材、在庫についても同様である。
その中で、会長は「ダム経営は実行しがたいことに思えるが、お互いに適正利潤を確保しつつ安定経営を行って、社会の発展に寄与していくことが必要である。そのためには、これを断固としてやっていかねばならない」と提唱した。