143. 「感謝の会」に夫婦で出席 1973年(昭和48年)

相談役に就任後初めての誕生日、昭和48年11月27日に、大阪ロイヤルホテルで、「相談役様に対する感謝の会」が開かれた。この会は高橋荒太郎会長、中尾哲二郎副社長、松下電工・丹羽正治社長が発起人となり、相談役夫妻を招待して開催されたもの。松下電器並びに関係会社有志700人が出席した。

満79歳になったばかりの会長と満77歳の夫人が拍手の中を壇上に迎えられた。高橋会長、中尾副社長、丹羽松下電工社長が前に進み出て、感謝と決意の言葉を述べ、記念品として相談役の歩みを絵で構成する「歴史画本」を目録で贈呈した。

たまたまオイルショックが起こり、日本経済は混迷の度を深めていたときである。相談役は、あいさつの中で、「事に当たり、自分のことを考えるのは、力弱いことである。平時ならいざしらず、今は非常時である。国家社会の大事のためなら自分を無にする、そういう考えをもってことに当たれば、必ず道は開ける」と全員に勇気と決意を求めた。

なお、「歴史画本」は、沢田重隆画伯の手により、斬新な構想のもとで、制作を始められた。5年後に「画伝 松下幸之助 道」として完成、昭和53年11月27日、相談役満84歳の誕生日に開催された「相談役様に感謝する会」で贈呈された。