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めざすは世界シェアNo.1

電気シェーバー「ラムダッシュ」

2002

松下電工が、日本で初めての電気シェーバー「MS10」を発売したのは1955(昭和30)年。以来、新技術を次々に投入し、電気シェーバー市場をリードしてきた。それから半世紀近く経った2000年頃、松下電工は国内市場では依然としてトップシェアを維持しているものの、世界市場では海外メーカーに遅れをとり、3位のポジションに甘んじていた。当時、シェーバーは「National」のブランドで発売していたが、消費者からは「家電メーカーが片手間で作っているシェーバー」というイメージで受け取られており、対する海外メーカーは、専業イメージを打ち出して知名度を上げ、高いブランドイメージを築きあげていた。その状況を打ち破り、世界でNo.1の地位を手に入れるために選ばれた戦略が、「カテゴリーネーミング」の採用である。

若手を中心に社内横断的なプロジェクトが組織され、約2年間を費やして、新しいカテゴリーネームが生み出された。覚えやすく、読みやすく、高級シェーバーにふさわしい、しかも信頼感があって、世界の市場で通用する名前…。最終的に選ばれたのが、「Λ(‘ ラムダ+ダッシュ)。Λはギリシャ語で「刃」を、ダッシュは「鋭さ、先進性」を意味する。本物の剃り味を実現する圧倒的なパフォーマンスを表現するのが狙いだった。

新しいカテゴリーネームを世に問う以上、投入する技術はライバルを圧倒するものでなければならない。技術陣は「3つの世界一」をめざした。ひとつは駆動部に世界最速のリニアモーターを搭載すること。次に内刃の刃先角を鋭角にすること。3つ目は全方位に動くフロートヘッドを開発することである。

なかでも心血を注いだのが、内刃の鋭角化への挑戦だった。従来の刃先角は60°~90°。これでは内刃と外刃でヒゲをはさんでちぎりとっていたようなものだ。この刃先角について「世界で初めて30°」を実現させ、ヒゲをスパッと斬れるようにした。長年にわたって蓄積してきた外刃の鍛造加工技術を用い、根本的に内刃の構造を見直すことで実現できた快挙である。

そして内刃を駆動するのが1995年に世界で初めて開発されたリニアモーターである。1分間に13,000ストロークという「世界最速」を実現した「ダイレクト・リニアドライブ」でヒゲを素早く捉える。さらに、このリニアドライブのヘッドをフロートさせ、肌に吸い付くようにしなやかに動かすのが「世界最大可動 全方位フロートヘッド」である。

これら3つの相乗効果により、「ラムダッシュ」は電気シェーバーのパフォーマンスに圧倒的な進化をもたらした。2002年、「ラムダッシュ」が発売されると、大きな反響を呼び、単品金額シェアで7ヵ月連続No.1を記録。1年間でシリーズ販売台数24万台を突破するという快挙を達成した。その後も進化を続ける「ラムダッシュ」。世界シェアNo.1となる日は、遠くない。

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