電気・人体安全

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非破壊で樹脂剥離を可視化する。超音波探傷を紹介します


2025年7月15日


システム安全設計課 電気安全係の蕨野です。

このたびは設備更新した超音波探傷装置(SAT)について紹介します。 
この装置は、成型物の内部剥離や気泡(ボイド)を“非破壊”で可視化できます。
原理は、水中にて超音波プローブから被観察物に向けて発射した超音波の反射状態を映像化します。超音波は物質の境界で反射する性質を持っており、特に空気層における反射が最も強く特徴的になります。
この性質を利用して物質境界の剥離やボイドといった異常現象を可視化します。

解析速度・精度が大幅UP
Fig.1:日立パワーS製 FineSAT V

この装置による解析事例として最も有名なのは、半導体デバイスモールド剥離です。
半導体デバイスは半導体チップをモールド樹脂で固めた物ですが、工程や市場にて構造材剥離があると、電気接続している極細線(ワイヤ)が断線し故障に至ることがあります。構造材剥離はプリント基板へ半導体デバイスを載せる熱工程時に発生する可能性が一番高いとされております。この構造材剥離を“非破壊”で可視化することができる装置がSAT装置です。

超音波反射による観察イメージ
Fig.2:超音波反射による観察イメージ

SAT装置による解析事例は、半導体デバイスの他に以下が挙げられます。
①ガラスや鏡など無機材料同士の接合状態観察
②接着剤の剥離やボイドの観察  など

Siチップ上面剝離例
Fig.3:Siチップ上面剝離例

■最大測定範囲:350x350x70mm (注)水に沈める必要あります

工程・市場不良解析だけでなく、試作段階における実装評価や実装前の部品品質の確認にも活躍しております。

ぜひご活用下さい。

接着剤塗布部 接着剤ボイド例、樹脂モールドICのフレーム剥離例
Fig.4:観察例

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