互換性検証 不具合ケース

DLNA互換性検証で発見した接続性不具合の事例をいくつかご紹介します。

事例1 コンテンツの再生がうまくいかない


A社製DVD-Player(DMP)から、C社製ムービー(DMS)に格納された写真コンテンツを再生させると、

不具合ケース(DLNA)小さな画像が表示される

このように、画面の中心にかなり小さな画像が表示されます。

一方、B社製テレビ(DMP)から、上記と同じ写真コンテンツを再生させると、

不具合ケース(DLNA)画面いっぱいに大きな画像を表示

このように、画面いっぱいに大きな画像が表示されます。

上記の現象の違いは、C社製ムービー(DMS)が当該写真コンテンツの情報として公開している情報を解析する方法が異なることにあります。

下記はC社製ムービー(DMS)が公開している情報ですが、DLNA規格では「DLNA.ORG_CI=0」が付与されたResource③がオリジナルの画像ということを示しています。

不具合ケース(DLNA)実際の記述

上記情報のうち、B社製テレビ(DMP)はResource③のオリジナルの写真を選択して再生できていますが、A社製DVD-Player(DMP)は解析することなく一番上のサムネイル画像を再生していることが原因です。DLNAの規格では、上記コンテンツ情報の解析方法までは規定されていないため、A社製DVD-Player(DMP)はDLNAの規格違反をしているわけではありませんが、他社製品との接続性に問題があるといえます。

事例2 エラー表示まで時間がかかる


C社製スマートフォン(+PU+)から、A社製テレビ(DMR)に非対応の動画コンテンツをプッシュ再生させた場合、A社製テレビ(DMR)はプッシュ再生された動画が非対応のため、すぐに「再生できないファイルです。」とエラーメッセージを表示します。またC社製スマホ(+PU+)もすぐに「再生できません。再生を停止しました。」とエラーメッセージを表示するので、お客様は再生しようとした動画が「再生できない」ことをすぐに判断できます。

不具合ケース(DLNA)再生できないエラーメッセージ画面イメージ

一方、C社製スマートフォン(+PU+)から、B社製BD-Player(DMR)に非対応の動画コンテンツをプッシュ再生させた場合、B社製BD-Player(DMR)はプッシュ再生された動画が非対応のため、すぐに「再生できません。」とエラーメッセージを表示しますが、C社製スマホ(+PU+)は3分間もの間「Please wait」というメッセージを表示し続けます。 「Please wait(しばらくお待ちください)」と表示されるため、お客様は待ち続けることになりますが、3分後に「再生できません。再生を停止しました。」と表示されてようやく「再生できないこと」を認識することができます。

不具合ケース(DLNA)実際の再生できないエラー画面イメージ

このように対向DMRによってC社製スマホ(+PU+)の挙動が異なる原因は、各DMRから受け取る「状態」が異なるためです。 A社製テレビ(DMR)は再生できない状態を「ERROR_OCCURRED(エラー発生)」、B社製BD-Player(DMR)は「NO_MEDIA_PRESENT(再生可能メディアなし)」という文字列で表し、いずれもDLNAで規定された表現ですので、規格違反ではありません。 一方C社製スマホ(+PU+)の仕様として、「ERROR_OCCURRED」の場合はすぐにエラー検知できますが、「NO_MEDIA_PRESENT」の場合には、その後再生に成功したことを示す「PLAYING」という状態が通知されるかもしれないため、すぐにエラー検知ができないのです。

しかし、3分間もの間、片方ではエラーメッセージが表示されているにも関わらずもう片方では「しばらくお待ちください」という状態不一致が発生することは、お客様にとってはとても不親切な仕様だと考えられます。 そのため、C社製スマホ(+PU+)の対応として、「NO_MEDIA_PRESENT」を受信した場合のエラーメッセージを表示するまでの時間を3分から30秒に短縮することにより、お客様をお待たせする時間を少しでも短縮するように修正しました。

これらのような対応を、事前に発売前の製品の仕様に組み込むことにより、発売後に他社製品との接続性不具合が発生するリスクを最小限に抑えることを可能としています。

このように、たとえDLNAの規格に準拠していても、メーカーごとに実装の仕様が異なることにより、相互接続性に問題が起こる場合もあります。 仮にいずれか数台のみとの確認で留まった場合、「DLNA準拠」の条件は満たしているにも関わらず、すでに発売されている他メーカーの製品との間でうまくコンテンツ共有できない危険性もありえるということです。事前に何台もの製品と互換性検証を行うことによって、市場におけるDLNA品質が格段に向上することは間違いありません。

これまでの数百台という互換性検証の結果、当部署では各メーカーで発生しうる接続性不具合をノウハウとして蓄積しており、開発初期の仕様策定の段階から不具合を発生させないための仕様提案を行っております。

DLNA互換性検証に関してご興味・ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。