私の行き方発見プログラム実践校に学ぶ
企業のキャリア教育プログラム活用
2023年8月3日、第3回キャリア教育オンラインセミナーが開催されました。本セミナーは、より質の高いキャリア教育を実施したいと日々努力している先生方を応援するために、キャリア教育についての学びをお届けするセミナーです。
第3回目となる今回は、「企業の教育プログラムをどのように活用するか」をテーマに、私の行き方発見プログラムを活用いただいている那須塩原市立高林中学校 緑川誠一先生、愛徳学園中学校 佐々木敬子先生をお招きし、各学校での活用事例やポイントをお話いただきました。本記事では、その内容をご紹介します。
-どのように私の行き方発見プログラムを活用されたか教えてください。
<緑川先生>自分の生き方を考えるため、職業体験の事前学習として活用
2年生を対象に11月に行う「マイ・チャレンジ(職業体験)」の事前学習として活用しました。9月上旬にプログラム①「会社の役割発見」で、ものづくりの工程や職種を学び、その後9月中旬にパナソニック社員講師による出前授業を実施しました。
社員講師の仕事に対する考え方や、やりがいについての話を聞く中で、これまで「仕事=報酬を得ること」というイメージを持っていた生徒たちが、仕事には自己実現という側面もあることを学ぶことができました。生徒たちの進路に対する興味関心が高まったことにより、職業体験先の事業所からも「今年の生徒はモチベーションが高い」とお褒めの言葉を頂くことができました。
<佐々木先生>自分の強みを活かせる仕事があることに気付くきっかけとして活用
本校のキャリア教育では、1年時に「ものづくり体験」、2年時に「トライやるウィーク(職業体験)」を実施しています。その際に、私の行き方発見プログラムの教材を活用して事前学習を行っています。
プログラム①「会社の役割発見」では、会社には普段の生活からは見えない様々な職種があり、それぞれに必要な能力があることを学びます。そこから世の中には自分の知らない仕事がたくさんあり、自分の個性や強みを活かせる仕事があると気付くことができます。これがこの教材のいいところです。実際に、ある生徒が「私は縁の下の力持ちだから、倉庫管理をしてみたい」と言っていたことは、とても印象に残っています。
-私の行き方発見プログラムを活用されたきっかけや、導入時に重視したポイントを教えてください。
<緑川先生>うわべではない、実感のあるキャリア教育に繋げたい
これまでは、職業体験の事前学習としてインターネットでの職業調べを実施していました。ただ、どうしてもうわべだけの学習になってしまい、生徒が働くことの実感を持てないということに課題意識がありました。生徒達がキャリアに興味を持ち、自分の生き方を考えたいと思うような機会を作ってあげられないかと日々悩んでいたところです。なにか良い手はないかとインターネットで検索していたところ、私の行き方発見プログラムのホームページを見つけました。
プログラム選びで重視したポイントは、まず「生徒が興味・関心を持てそうな企業か?」という点です。仕事やキャリアに目を向けるために、名前を知っている企業のプログラムの方が、生徒が興味を持ちやすいのではと考えました。実際に出前授業の実施が決まった時に「パナソニックの社員が来るよ」と生徒に伝えたところ、教室がどよめいていました。また「プログラムとして系統的に学習できるか?」「生徒が使いやすく、指導計画が立てやすいものか?」という点も重要でした。「私の行き方発見プログラム」は、ワークシートやティーチャーズガイドが揃っており、授業の進め方や学びのポイントが明確なので、すぐに活用のイメージが湧きました。話し合い活動をスムーズに行うための工夫も書かれており、安心して活用できました。そして最も重要だったのは、「生き方を考える機会となるか?」というポイントでした。プログラム④「私の行き方発見」という教材があったことで、生き方と向き合うことを大切にしているプログラムだとわかりました。出前授業においても企業の宣伝ではなく、自己成長や社会貢献など、働くことの意義を社員講師ご自身の言葉で語っていただきました。生徒にとって刺激になり、自分の生き方に目を向ける良い機会になりました。
<佐々木先生>実社会とのつながりの中で、“本物の体験”をしてほしい
プログラムを活用し始めたのは10年前くらいでした。当時、本校ではキャリア教育の充実を考えており、学校だけではなく実社会とのつながりの中で、“本物の体験”をしてほしいと考えていました。当初は企業と連携して商品企画から商品化までを目指すような活動を計画していたのですが、企業側にも大きな負担がかかり頓挫してしまいました。そんな時に「私の行き方発見プログラム」をネット検索で知りました。学校としてキャリア教育の推進は大きなテーマであり管理職の理解はすぐに得られ、活用してみることになりました。
導入時に最も重視した点は、「本校の教育理念とマッチしていた」ということです。本校はカトリック校ですので、教育理念の中に「人に奉仕し」という言葉があります。私の行き方発見プログラムの中にも、「自分の力を社会のために発揮する」という考え方が読み取れ、本校理念との親和性を感じました。加えて、ティーチャーズガイドがついており導入しやすかったという点も重要でした。この教材を自分で作るとなると大変な労力がかかります。それがすぐに使えて、しかも無償だということは大変ありがたいことでした。誰でも簡単に授業ができ、先生が自由に工夫して使える使い勝手の良さが魅力です。そのため今では本校のキャリア教育に欠かせないものとなっており、10年にわたりキャリア教育の教材として活用し続けています。
-最後にメッセージをお願いします。
<緑川先生>
昨年度から私の行き方発見プログラムを活用していますが、本当に使いやすいプログラムです。普段の授業から目線を変えたり、生徒に刺激を与えるという意味でも、企業のプログラムを取り入れることは非常にいいことだと思います。ぜひ各校の事情にあった企業プログラムを探して積極的に活用を検討してみてください。
<佐々木先生>
10年という長い間、私の行き方発見プログラムを活用してきましたが、はじめてこのような形で振り返りました。本当にいい機会を頂けたと思います。企業のプログラムを活用するためには、様々なハードルもあるかと思いますが、先生方には「まずはやってみよう」という気持ちで、チャレンジして頂けたら良いと思います。
セミナー第二部では、新プログラム「発展編」を紹介
本セミナーの第二部では、この8月にリリースした私の行き方発見プログラムの新教材である発展編①「SDGs達成に向けた社会課題の解決と役割」と、発展編②「これからの社会と求められる役割」をご紹介しました。詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
第一部、第二部ともに、参加者から高評価の声
セミナー後のアンケートでは、第一部、第二部ともに嬉しい声をたくさん頂きました。今後も皆様からのアドバイスも参考にさせていただきながら、セミナーを開催して参ります。