2024年8月28日、パナソニック スカラシップ アジアのプログラムを終了したインドのアルムナイの交流会がオンラインで開催されました。それぞれ、仕事などで忙しい中、現地のランチタイムに参加してくれたのは、2018年と2020年にスカラシップの認定を受けた6人。認定年度の異なるアルムナイ同士による交流会が行われたのは初めてのこと。当日の交流の様子をリポートします。
初めての形式のアルムナイ交流会に参加したのは、インド工科大学(IIT)インドール校で学んだアルヴィンド・メタさんとパールト・ボーレさん、同バナラシ校出身ガネーシュ・ジャイスワルさんとドラシュティ・ケールさん、同カンプール校出身ハリーシュ・クマールさん、そして、同ハイデラバード校出身ロケシュ・スラーナさんでした。ケールさんは、このプログラムで増えてきた女性認定者です。IT産業がさかんなハイデラバードやバンガロールを中心にインド各地から、みなさんが元気な声を届けてくれました。
「今回のような会が開かれると、他の仲間のことが分かっていいですね。今日、初めてパールトが私と同じ、マハラシュトラ州のアウランガバード市(インド中部)出身と知り、うれしく思いました」とスラーナさんは笑顔を見せます。
メタさんとクマールさんは、いずれもインド北西部のラジャスタン州出身で、同州ジョードプル市の「スーパー30」(優秀な30人の学生を選抜して行う教育プログラム)に選ばれ進学した経験を持ち、旧交を温めました。
メタさんは、欧州最大級のコンサルティング会社キャップジェミニでバックエンドエンジニアを、ボーレさんは米金融大手ゴールドマン・サックスでソフトウエア開発の仕事に携わっています。ジャイスワルさんは、医療データプラットフォームの米イノベーサー系列の会社に1年半勤務した後、IITカンプール校の大学院に進学。宇宙科学の修士号取得に向け、猛勉強中。
ケールさんは米ファイナンシャル・コンサルティング会社Accordionのビジネスアナリスト、クマールさんはインドの最も若いマハラトナ企業で同国の天然ガスビジネスのリーダー、ゲイルのエグゼクティブトレーニー、スラーナさんはアメリカの大手ソフトウェア企業で技術職(AMTS)として活躍しています。
(*マハラトナ企業とは、インドの公的企業の中で最高位に位置づけられる会社)
「パナソニックのプログラムのおかげでIITを卒業するという夢をかなえることができました」(クマールさん)などと、参加者から口々に感謝の言葉が聞かれる中、そもそも各人がどのようにパナソニックのスカラシッププログラムについて知るようになったのかを聞きました。当時通っていた学校や先輩、学生仲間などから情報を得たという話が出る中、スラーナさんは次のように振り返ります。
「さまざまなスカラシップについて調べていたときに、たまたまウェブでパナソニックのサイトを見つけました。興味深かったのは、スカラシップについてだけでなく、企業のCSR(企業の社会的責任)のサイトへのリンクが張られていて、すべての情報に非常に分かりやすくアクセスできたこと。他のスカラシップのサイトではあまりないことで、とてもユニークで好ましいサイトだと思いました。また、アルムナイの情報も掲載され、自分が目指すIITのアルムナイの方々の名前があったため、コンタクトを取り、話を聞く機会を得ました。彼らからさまざまなアドバイスをもらえ、大変助かりました」
パナソニックのプログラムと他のスカラシップとの違いについてさらに聞いてみると、「スカラシップ認定までのプロセスが、スケジュール通りに非常に迅速でスムーズに運んだこと」を挙げたスラーナさん。
クマールさんも、「認定を受けるにはまずテストがあり、それからインタビューへと進むわけですが、すべてが何日かで終わるんです。認定に至るまでのステップがよく考えられていて、これに関わるチームもすばらしいと感じました」との評価が返ってきました。
一方、ジャイスワルさんが特に注目したのは、アルムナイです。
「他と大きく異なるのは、アルムナイの強いつながりがあることです。私が知る限りでは他のスカラシップは、経済的サポートはあるものの、同じ年の認定者とさえつながりがありません。パナソニックの場合は、首都デリーで認定セレモニーがあるため、とても仲良くなるんです(2020年はコロナ禍のため開催を中止)。今回のようなオンラインの交流会の開催もうれしいですね」
ジャイスワルさんと同じ2018年認定であるメタさんは、認定式で知り合った仲間たちが、実家が農家であるなど同じような境遇出身だと知ったことで距離が縮まったそうです。アルムナイは、SNS(交流サイト)のワッツアップに公式グループがありますが、メタさんたちは非公式グループも立ち上げつながっていると言います。
「ワッツアップを通じ、他の参加者とつながることで色々な刺激になりますし、サポートもできます。手軽に利用できるのは大きなメリットですね」と彼は話します。
メタさんとジャイスワルさんが参加した2018年の認定式の様子。
その他にも、パナソニックのスカラシップでは学費だけでなく生活費の補助も行っていることが、学業に集中するために役立ったと各人がコメント。
「スカラシップにより、IIT在学中の食費はすべてまかなえました」とはケールさん。
「生活に不安がないことで、本当にやりたいことに注力できたんです」
ところで、スカラシップの認定を受ける前、パナソニックについて、それぞれどういう知識、印象を持っていたのでしょうか。
「多国籍企業としての顔は知っていましたが、スカラシップのようなCSRプログラムを設けているとは知りませんでした」と明かしたのはメタさん。
いずれの参加者もスカラシップへの応募を機に、パナソニックのCSRの取り組みについて深く知る機会を得、企業の印象が変わったと言います。
「認定を受けてからは、パナソニック インドの上級幹部ともつながりができ、同社のさまざまなイノベーションについて詳しく教えてもらうことができました」とはボーレさん。スラーナさんは、「私が子どもの頃はパナソニックの電池を使ったおもちゃで遊んだものです。その企業が、再生エネルギーに取り組んでいると知り、未来に向けて進む姿にとても感銘を受けました」と話してくれました。
今回の交流会参加者はこれまで、同じ認定年か、母校の仲間、先輩のアルムナイとしかつながりがなかったとのこと。
「アルムナイの先輩たちは、私たちよりもずっと多くのことを知っており、そのアドバイスは貴重です。他のアルムナイとどのように広くつながったらよいか、知りたいと思います」と、特にコロナ禍の影響で他の皆さんとつながりを持つ機会が少なかったケールさんは切望します。
ボーレさんも、「年に1度は他の認定年のアルムナイと交流できるオンライン交流会を開いてほしい」と今後の展開に期待を込めました。
日本のパナソニック スカラシップ アジア事務局は、「多くのアルムナイは、企業や大学などの重要なポストで仕事をしており、そうした人々とつながる場を積極的に設けていきたいと思います」と約束。スラーナさんとボーレさんは、将来的にスタートアップの起業を考えているとのこと。交流会は、若きアルムナイの飛躍の一助となっていくでしょう。
今回の交流会にはインドのパナソニック スカラシップ アジアの事務局からも担当者が3人参加、にぎやかな雰囲気で進行しました。通信環境の影響か、途中、アルムナイ参加者の音声が聞こえなかったり、声がしばらく途切れたりするトラブルもありましたが、現地事務局のサポートのおかげで、無事6人全員から、実りの多い話を聞くことができました。