そのキーンという、モータ異音気になりませんか?
2022年5月31日
信頼性ソリューション部の高木です。
昨今、コロナ禍ニーズに対応した空調機器が相次いで開発され、今後も、より安全で快適な暮らしへの関心が高まり、換気や除菌など付加価値が付いた空調の需要が増加すると見込まれています。
また、途上国でも、温暖化によって新設需要が膨らみ、2050年に世界の空調市場は、現在の約3倍の台数に増えると予想されています。
四季を通して屋内の温度・湿度をコントロールし、快適な居住空間を生み出す空調機器には、ファンモータが内臓されてます。ファンモータがスムーズに回転するためにベアリングが不可欠ですが、潤滑のためグリスが塗布されています。
このベアリング内部に封入されたグリスは、使用期間や状況に応じて変化します。
ベアリングは初期の段階では滑らかに回転しますが、グリスが熱を持ち、徐々にグリスが固くなっていきます。これを繰り返すとグリスの潤滑性能が低下し、ベアリング内部を転がるボールとその軌道面のすべりが悪くなり、最終的に軌道面が削れ、キーンというような異音が発生します。
このような大きなダメージを引き起こす前に、定期的なチェックとグリスの補充が必要であり、その時期を把握することは重要になります。
グリスの耐久性(寿命)を通常の使用環境下で評価すると少なくとも数年かかるため、高温で加速劣化試験を行い、その結果からアレニウス法に基づいて、実際の使用温度における耐久性を予測します。
今回は、製品状態での高温加速劣化試験を行い、モータ内部のグリスの寿命(異音発生)を予測する手法をご紹介致します。
- 温度条件・モータ回転数を考慮した加速試験を行い、動作音(ファン音)の経時変化を計測する。
- 周波数範囲を限定した騒音レベルを抽出し、グリスの経年劣化によりベアリング軌道面に傷が発生する時間をアレニウス法を用いて予測する。
このように、加速試験から得られるアレニウス法を用い、モータ内部で発生する異音を予測します。
その他、お客様のご要望に応じて、様々な評価提案をさせて頂きますので、まずはお気軽にご相談ください。
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