2000年(平成12年)

中村邦夫社長就任

新たなミレニアムを迎えた2000年、IT革命の進展で、世界は、産業構造や生活スタイルが根底から変化していく。エレクトロニクス業界においても、企業グループの枠を越えたり、国境を越えた合従連衡が活発に行われ、積極的に競争力を強化する動きが盛んになっていた。企業にはスピードが求められ、20世紀型から21世紀型企業への転換が求められていた。

このような中、2000年6月に、中村邦夫専務が社長に就任。森下社長は会長に、松下正治会長は名誉会長に、松下正幸副社長は副会長に就任することになった。

中村社長は、就任直後の経営責任者会議で、自らのマネジメントスタイルとして、「5つのS」(Speed・Simplicity・Strategy・Sincerity・Smile)などを紹介。また、ITを駆使した「21世紀型『超・製造業』への企業革新」について語り、企業内の全階層・全社員が顧客と直接対面する『フラット&ウェブ型組織構造』へ転換することの必要性を訴えた。

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社長就任の記者会見で挨拶する中村社長

7月には、ITを活用した顧客直結型経営構造への革新を加速・強化するため「IT革新本部」を新設、中村社長自らが本部長に就任し、取り組みを牽引している。

11月には2001年度からの3カ年経営計画「創生21計画」の概要を発表。計画の真の目的は、『超・製造業』への革新に向けて『破壊と創造』(全社構造改革と全社成長戦略の構築・実行)を行い、21世紀においても社会に貢献できる新しいパナソニックを創生すること。そして、2003年度に目指す目標値として、(1)収益性:連結営業利益率5%以上(2)資本収益性:CCM(キャピタル・コスト・マネジメント)0以上 (3)成長性:連結売上高9兆円――を設定した。

中村 邦夫

タイムカプセルを30年ぶりに開封

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30年ぶりに引き上げられたタイム・カプセル

1970年の大阪万博を記念して製作された「タイム・カプセル EXPO'70」が、2000年3月、30年ぶりに開封された。

タイム・カプセルは、1970年時点の文化を、2098点に厳選した物品や記録で5000年後の人類に残そうというもの。パナソニックと毎日新聞社の共同事業で製作され、大阪城公園に埋設されている。

同じ内容の二基が、地下10メートルと15メートルに埋設されているが、今回引き上げられたのは、点検を目的に2000年から100年ごとに開封される地下10メートルのもの。もう一基は、西暦6970年に開封される。

引き上げられたタイム・カプセルは、2098点の収納物のうち173点が点検された。細菌の一部は死滅していたが、炊飯器やテレビなどが正常に作動したほか、植物の種子が実験で発芽するなど、ほとんどのものが封入時の性能・状態を維持していた。

カプセルは、点検作業終了後、11月に再埋設された。 次回の開封・点検は2100年に行われる。