循環型モノづくりの進化

当社グループの事業は、家電製品や電子部品・電池等の部品から住宅、および、B2Bソリューションなど、幅広い分野におよぶため、鉄(投入資源全体の28%)、プラスチック(11%)など、多種の資源を活用しています。循環型モノづくりにおいては、投入資源の削減をこれまで以上に進めるとともに、循環資源の活用拡大についても、資源の種類ごとに、その特性にあわせた循環の仕組みづくりに取り組んでいます。
さらに当社グループは、グループ全体の資源別投入量を把握することで、循環資源活用への課題を明確化しています。例えば再生樹脂の場合、バージン樹脂の価格の大幅な下落、活用する部材に求められる特性への対応、供給量の安定的確保、製造側での使いこなす工夫、リサイクル技術開発などの課題に取り組むことで、2025年度は1.7万トン※1の再生樹脂を製品に活用しました。ただし、上記の取り組みが計画どおりには進まず、GIP2024+1の目標を達成することはできませんでした。今後は、こうした課題への対応を加速させ、再生樹脂の使用促進に向けて着実に取り組んでいきます。さらに、環境負荷のより小さい植物由来樹脂等の材料の開発や製品への適用を進めていきます。
また、工場廃棄物リサイクル率※2においては、従来から日本や諸外国では、それぞれリサイクル基盤の差に応じた目標設定をしてきましたが、ゼロエミッション活動が重要であるとの認識に立ち、2010年度以降の目標設定をグローバルで統一し、全グループにおける廃棄物リサイクルの高位平準化を図ってきました。近年、工場廃棄物リサイクル率は99%以上の高水準を維持しており、2025年度の目標値からは除外しました。


※1 確定実績数値。算定範囲の見直しにより、有価証券報告書記載数値(2026年6月時点)を更新
※2 工場廃棄物リサイクル率=再資源化量÷(再資源化量+最終処分量)

     2025年度投入資源の内訳(種類別)

     再生樹脂利用実績の推移(2015年度からの累計)

再生樹脂利用実績の推移(2015年度からの累計)

投入資源の削減

投入資源を最小化するためには、製品質量を削減することが大切です。当社グループは製品環境アセスメントを通じて、軽量化・減容化、部品点数の削減など、商品の企画設計段階から省資源化を進めてきました。また製品ライフサイクルで投入資源の削減を進めるという視点から、部品リユース、長期使用性向上、電池の取り外し容易化、回収・再資源化時に必要な表示などの取り組みも同時に行っています。

システム天井用照明器具リニューアル専用リメイクユニット クイックアップ

反射板に端子台が搭載された構造なので、埋込型、システム天井型の既設の本体を活かし、蛍光灯照明器具から直管LEDやiDシリーズの照明器具にリニューアルすることができます。既設蛍光灯照明器具の本体を活用するため、LED照明器具へのリニューアルを短工期で対応でき、また省廃材となり環境負荷を低減できます。

ドライヤー

2025年9月より販売を開始したヘアードライヤー「ナノケアEH-NA0K」は高浸透ナノイーを搭載し、毛先までうるおいを与えるナノケアの進化モデルです※3
2022年度発売のEH-NA0Jから受け継いだコンパクト&軽量デザインは、2021年度発売のEH-NA0Gと比較して体積を約27%削減。さらに、国内ナノケア史上最大風量を実現することで乾燥性能を高め、使用エネルギーの低減にも貢献しています。省資源かつ環境負荷の低減を両立し、持続可能なくらし・社会の実現を目指したモデルです。また、高浸透ナノイーは水分発生量が従来ナノイー比で約18倍となり、毛髪水分増加量は約1.9倍に向上、髪や地肌にうるおいを与えます。さらにEH-NA0Kでは、全4色すべてに植物由来の塗料「バイオマスペイント」を採用。加えて、本体に使用するプラスチックの一部に再生プラスチックの採用を進めるなど、石油資源の消費量削減にも配慮しています※4

ラムダッシュ パームイン

2023年9月1日に発売した「ラムダッシュ パームイン」ES-PV6Aは従来のラムダッシュPRO5枚刃ES-LV9Wと比較して体積比約70%の手のひらサイズに5枚刃テクノロジーを凝縮し、指先で肌状態を感じながらなでるように剃る新体験のシェーバーです※5。また海水から抽出したミネラル成分から生まれたイノベーティブ複合材「NAGORI®」を採用し、プラスチック使用量を約40%削減するとともに、陶器のような手触りを実現しました。さらにUSB-C充電対応とキャリングケース付属により、自宅はもちろん、オフィスや出張、旅行などさまざまなシーンで使用できます。なお、ES-PV6Aは2026年9月に販売終了予定であり、以降は同等の機能・仕様を備えたES-P550Uへ移行します。

リサイクルしやすい設計の事例

リサイクルをより効率的に行うために、業界のガイドラインに沿って、分解・分別が容易になる設計に取り組んでいます。たとえば、製品がより分解しやすくなるよう、溶接やカシメ構造など分解しにくい固定方法をなるべく廃止することや、ねじの使用本数を削減するなどしています。また、より分別がしやすくなるよう樹脂部品の材質表示なども行っています。

循環資源の活用

「商品から商品へ」をコンセプトに、使い終わった商品から取り出した資源を活用する取り組みの拡大を進めています。樹脂では、使用済み家電製品(冷蔵庫・エアコン・洗濯機・テレビ)から取り出した樹脂の当社グループ製品への再利用を進めています。また鉄でも、使用済み家電製品から取り出した鉄スクラップの当社グループ製品への再利用を2013年より始めています。

資源循環 商品をつくる 商品をつかう 資源にもどす

また、「商品から商品へ」の事例として、「電池から電池」へのリサイクルの実現を目指していきます。イオンリテール(株)様のご協力のもと、店舗に使用済み乾電池回収ボックスを設置し、イオンリテール(株)様の店舗で販売した使用済み乾電池を回収します。回収した乾電池は東京製鐵(株)様の岡山工場を通じて鉄鋼材料等の新たな素材としてリサイクルするとともに、乾電池部材へのリサイクルを目指した研究開発に活用します。本取り組みを通して、使用済み乾電池の効率的な回収・再生のプロセスを研究し、確立するとともに、「電池から電池」へのリサイクルの実現を目指していきます※6

また、「電池から電池」へのリサイクルは、リチウムイオン電池でも行われています。車載用リチウムイオン電池では、米国の電池リサイクル企業であるレッドウッド・マテリアルズ社(株)様と2019年よりパートナーシップ関係にあり、2022年には車載用リチウムイオン電池のリサイクル正極材および銅箔についての売買契約を締結しました※7。当社グループの廃電池や工程廃材をレッドウッド・マテリアルズ社(株)様において、正極材へリサイクルし、電池に用いるための研究開発を進めています。その他、中国拠点では2024年から正極材に再生材を導入しており、適用製品を順次拡大しています。また日本拠点では、非鉄金属製錬・電池正極材メーカーである住友金属鉱山(株)様との連携により、リチウムイオン電池の正極材原料におけるリサイクルの運用を進めています※8。本運用では、パナソニック エナジー(株)(以下、PEC)の国内工場で発生する電池廃材から、住友金属鉱山(株)様の製錬設備を用いてレアメタルであるニッケルをリサイクルし、再び正極材としてPECのリチウムイオン電池に使用します。本連携により、PEC住之江工場(大阪府大阪市)の生産工程から発生する廃材から、住友金属鉱山(株)様の東予工場(愛媛県西条市)とニッケル工場(愛媛県新居浜市)で硫酸ニッケルとして回収し、それを用いて製造した正極材をPECのリチウムイオン電池材料として利用することが可能となります。
リサイクル材料を用いた電池を生産することで資源採掘時のCO2を削減し、循環型のモノづくりを推進していきます。

さらに、使い終わった商品から資源を取り出す際の効率化や自動化に対する開発も行っています。パナソニック エコテクノロジー関東(株)および三菱マテリアル(株)様と協力し、エアコンの分解工程において、室外機をロボットで分解する「エアコン外装自動分解設備」と分解に必要な情報を蓄積する「分解データベース」による「エアコン室外機外装自動分解システム」を開発しました※9。さらに、パナソニック プロダクションエンジニアリング(株)および平林金属(株)様の協力のもと、使用済み家電製品の解体作業のさらなる効率化を目指し、エアコン室外機に焦点を当てた「廃家電自動解体システム」を開発しました。家電製品のリサイクルにおいて、投入から部品ごとの解体まで一貫処理可能なシステムとして、業界初となります※10。こうした取り組みに加えて、リサイクルだけでなく修理やメンテナンス性を高めて製品を長く使えるようにするため、設計段階で分解容易性や組み立て容易性を簡単に評価する「Design for CE」(CE:Circular Economy)の導入を進めています※11
さらに、製品データから分解手順を自動生成し、ロボット動作まで自律的に判断・実行する「分解CPS(サイバー・フィジカル・システム)」の取り組みも推進しています※12

再生樹脂の使用拡大

回収された廃家電から、鉄や銅、アルミなどの金属だけでなく樹脂も有効に活用すべく、家電リサイクル工場であるパナソニック エコテクノロジーセンター(株)(PETEC)とパナソニック(株)加東資源循環工場が連携して、樹脂循環の取り組みを推進しています。

樹脂循環取り組みの流れ

樹脂循環取り組みの流れ:PETECが使用済み家電製品から高純度のプラスチックを取り出した後、加東樹脂循環工場で洗浄、強度・寿命回復を実施し異物除去後、強度・寿命を回復させたプラスチックを当社グループ工場でエアコンのフィルター枠、冷蔵庫のカバーダクトなど再生樹脂を活用した部材として商品に活用

PETECでは、廃家電のシュレッダーダストから、用途や物性の異なる主要3種類の樹脂、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)を、当社グループ独自の近赤外線識別技術などを用いて純度95%以上の高精度で選別します。
PETECで選別・回収された単一の樹脂は、近隣に立地しているパナソニック(株)加東資源循環工場へ持ち込まれ、さらなる高純度化と物性回復が行われ再生樹脂となります。加東資源循環工場は、家電等の生産・販売における再生樹脂の活用促進のための製造・開発実証拠点であり、性能を高める技術の開発など、再生樹脂の利用拡大に貢献しています。一般的に樹脂は強度や寿命が経時劣化するため、再生して様々な製品の部位・部材へ適用させるためには、物性を回復させる必要があります。製品に要求される物性は樹脂により異なりますので、当社グループ独自の酸化防止剤の添加や、再生樹脂と新しい樹脂材料の調合など、リサイクルPP・PS・ABSそれぞれの特性を見極め、樹脂部品に適した処方の使いこなし技術を確立しています。今後、さらに再生樹脂使用量を拡大するために、パナソニック(株)加東資源循環工場でこれまで培ってきた再生樹脂の開発、品質評価技術を基盤として、再生樹脂供給メーカーの開拓を図っていきます。

3種の樹脂を同時に選別できる近赤外線樹脂選別機
パナソニック(株)加東資源循環工場
パナソニック(株)加東資源循環工場

新規循環資源の開発・展開

古紙や端材など植物廃材に含まれる繊維であるセルロースファイバーは環境負荷の少ない資源として注目されています。当社はこのセルロースファイバーを活用し、石油由来樹脂の使用量を減らす研究開発を2015年度に開始し、2018年度には高い割合でセルロースファイバーを樹脂に複合し、樹脂使用量を抑えた加工しやすい成形材料の開発に成功しています。この成形材料は「kinari(キナリ)」と名付けてブランド化し、2022年にはセルロースファイバー含有率55%の「kinari55-PP」※13、2024年には含有率70%(バイオマス度70%)の「kinari70-PP」※14の量産販売に着手しました。またサトウキビの搾りかす(廃糖蜜)から製造されるバイオポリエチレン(バイオマス度90%以上)を石油由来樹脂の代わりとして複合し、従来同等の強度物性を維持しながらバイオマス度90%以上を実現した「kinari90」のサンプル販売を2024年に開始しています※15

kinari 90

実用化面では「kinari」をパナソニックエレクトリックワークス(株)の照明器具製品である「S-story(エスストーリー)ペンダント」のセードに採用し、材料重量比で約50%の植物繊維を用いることで、石油由来樹脂の使用量を半減※16しています。自然素材の温かみを活かし、成形時に生まれるマーブル模様を意匠として取り入れることで、量産品でありながら一台一台異なる表情を実現しています。点灯時には光が柔らかく透過し、空間に穏やかな印象を与え、さらに色調や香りが時間とともに変化するなど、素材が育つような趣きを味わうことができます。

また、高強度化による適用範囲の拡大にも取り組んでおり、エンジニアリングプラスチックとの複合化技術を開発し、80℃の温度条件下でPBT-GF30%(ポリブチレンテレフタラートにグラスファイバー30%含有した材料)と同等の強度を実現しました。加えて、比重の小さいセルロースファイバー成形材料の開発にも成功しています※17。さらに完全生分解性を目指した開発にも取り組んでおり、2022年度には植物由来樹脂(ポリ乳酸など)を複合し、土壌分解可能な成形材料を開発しました※18

高強度のセルロースファイバー成形材料
高強度のセルロースファイバー成形材料
高強度のセルロースファイバー成形材料を用いた自動車内装部品
高強度のセルロースファイバー成形材料を用いた自動車内装部品

「kinari」を起点とした地域資源の活用と共創活動にも力を入れており、京都府福知山市と連携協定を締結し、市内森林の間伐材を原材料に用いた環境配慮型食器の製品化を共同で実現しました。2023年9月からは、福知山市立の全小中学校23校で約6,700セットの学校給食用食器の使用を開始するとともに、全小中学校での環境教育を実施しており、その教育内容については当社グループとしても協力しています。他にも地域企業との連携として、沖縄県のパイナップル葉残渣を活用した「新素材タンブラー」を(株)フードリボン様と共同で2024年に開発しました※19※20
これら取り組みは、2021年度に日刊工業新聞社主催の第50回日本産業技術大賞「文部科学大臣賞」、2025年4月には公益財団法人 市村清新技術財団より「第57回市村賞 市村地球環境産業賞 功績賞」を受賞する※21など、社外からも高い評価を受けています。

kinari製の学校給食食器
kinari製の学校給食食器

今後、本技術を新たな製品開発に展開していきます。さらに、新たな循環資源の開発にも注力していきます。

鉄資源の生態系への影響

当社グループの事業は、家電製品、電子部品・電池などの部品から、住宅・B2Bソリューションに至るまで多岐にわたり、幅広い分野で多種多様な鉱物資源を使用しています。これらの鉱物資源は、採掘・加工・使用・廃棄といったバリューチェーン全体において、生態系にさまざまな影響をおよぼすため、リスクを適切に把握・管理することが重要です。
当社グループでは、特に使用量の多い鉄資源に着目し、環境面および事業運営上のリスクを分析しています。リスク分析は、採掘・加工、製造、使用・廃棄、リサイクル・循環の各バリューチェーン段階で実施しました。
採掘段階では、森林破壊や保護地域への侵入による生息地の分断、生物多様性の損失が懸念されます。また、採掘時に使用される大量の水が、重金属や化学物質の流出を引き起こし、地域の水資源を汚染するリスクもあります。さらに、採掘・加工に伴う温室効果ガスの排出は、気候変動の悪化につながる可能性があります。
製造段階では、鉄の製造に使用されるエネルギーが主に化石燃料に依存しているため、温室効果ガスの排出が課題となります。ただし、原料の違いにより、電炉製鋼(リサイクル鋼)は高炉製鋼(バージン鋼)に比べて温室効果ガスの排出量が少ないという特性があります。また、製造過程で発生するスラグなどが土壌や水質を汚染するリスクもあるため、適切な管理が求められます。
使用・廃棄段階では、鉄資源の環境影響を低減するために、廃棄物管理が重要な役割を果たします。
リサイクル・循環段階では、鉄製品のリサイクルを促進することで、廃棄物由来の環境リスクを大幅に軽減できます。そのため、クローズドループリサイクルをはじめとする循環型スキームの確立は、持続可能な資源管理に不可欠です。

再生鉄の循環スキーム構築

当社グループは東京製鐵(株)様と共同で、使用済み家電製品から発生する鉄スクラップをリサイクルし、再び当社グループの製品材料の鋼板として使用する再生鉄の資源循環取引スキームを、2013年7月から開始しました。使用済み鉄スクラップを支給し鋼板として買い戻すスキームは、国内電機業界初の取り組みとなります。

電炉鋼板の自己循環スキームイメージ

電炉鋼板の自己循環スキームイメージ。PETEC(パナソニック エコテクノロジーセンター)が使用済み家電製品を分解/選別して鉄スクラップを東京製鐵様へ供給し、鋼板をパナソニック事業部が調達し、お客様に商品として販売

具体的には、PETECおよびパナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)で回収された家電製品由来の鉄スクラップを、東京製鐵(株)様に納入し、電炉鋼板※22に加工後、再び当社グループがそれを調達し製品に活用します。東京製鐵(株)様と検討を始め、再生鉄の品質を製品に使用できるレベルまで上げたり、加工性を向上させたりするための技術開発を行い、電炉鋼板特性に合った使い方を抽出し、さらに用途ごとに要求される特性(形状や強度、溶接性など)をチューニングして、電炉鋼板の薄板を製品へ導入してきました。そのような実績を経て、当社グループ資本の家電リサイクル会社から納品された鉄スクラップを電炉鋼板に使用するスキームが実現しました。
当初、当社グループからの鉄スクラップの提供は月50トン程度でしたが、2025年度は1年間で1,300トン以上を東京製鐵(株)様に納品し、住宅用天井材や洗濯機など当社グループ関係会社製品に利用しています。

※22 鉄スクラップを電気炉で溶解・精錬してつくられる鋼板のこと

自己循環スキームのフロー

PETECで回収された家電製品由来の高品位鉄スクラップを、東京製鐵(株)様に納入、電炉鋼板に加工後、再び当社がそれを調達し製品に活用する(写真はパナホームの軽量天井材)

電炉鋼板の使用拡大は、日本の貴重な資源の一つである鉄スクラップの活用拡大につながります。さらに鉄スクラップを原料として鋼板をつくる場合、最初から鋼板を製造する方法に比べてCO2排出量が大幅に少なくなります。またこのスキームでは、当社グループの家電リサイクル会社から出荷する鉄スクラップ価格および東京製鐵(株)様から調達する電炉鋼材の購入価格は、両者で協議した支給スクラップの変動ルールに基づいて取り決めることから、調達価格の安定化も実現します。
当社グループはパナソニック ホールディングスが一部出資している合弁会社パナソニック ホームズと協業を行い、同社向けの電炉鋼板に対しても同スキームを展開することにより、当社グループおよび関係会社全体としての購買力を高めることに加え、一層のCO2排出量削減も実現可能となります。さらなる資源の有効活用、CO2削減と調達価格の安定化を目指し、今後も本スキームの拡大を図っていきます。
また、使用済み製品に限らず、工場から発生する廃棄物についても循環利用を進めています。パナソニック エレクトリックワークス(株)新潟工場では、製品の生産過程で発生する鉄スクラップを電炉メーカーに提供し、そこで製造された再生鉄を、当工場で生産する製品の一部に活用しています※23。工場で発生した鉄スクラップから再生鉄を製造し、それを同じ工場に戻して再利用する取り組みは、当社グループとして初めての事例です。具体的には、溶融亜鉛めっき鋼板を活用しており、2023年度には一般加工用として、2026年度には絞り加工用として照明器具部品に採用しています。さらに、塗装溶融亜鉛めっき鋼板については、2026年度に照明器具本体への適用を開始しました。これらの量産導入は、照明業界としては初めての取り組みです。また、樹脂についても同様の循環利用の取り組みを行っています。

廃プリント基板を活用した金銀銅の循環スキーム構築

三菱マテリアル(株)様と協業し、廃家電から発生する廃プリント基板から回収した金・銀・銅を、再び当社グループ主体で活用する「PMP(Product-Material-Product)ループ」を共同で構築・運用しています※24

具体的には、パナソニックETソリューションズ(株)(以下、PETS)が、全国の家電リサイクル工場や家電製品の修理拠点から廃プリント基板を回収し、その加工処理をパートナー企業に委託。破砕や製錬の過程で不要な鉄・アルミ資源を除去し、品位を高めた状態で三菱マテリアル(株)様に納入しています。三菱マテリアル(株)様は、製錬処理によって廃プリント基板から金・銀・銅を抽出し、これらの素材をPETSに返還。回収された金・銀・銅は、金メッキ液や銅線などに加工され、再び当社グループのモノづくりに活用されています。これまでにPMPループを通じて廃プリント基板から回収された素材の総量は、金1.2トン、銀35トン、銅8,700トンにのぼります※25

※25 当社グループ・三菱マテリアル(株)様調べ、2025年12月時点

廃家電を活用した銅の循環スキーム構築

パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)(以下、PEX)と古河電気工業(株)様は、当社グループ製品向けに古河電気工業(株)様が製造する銅合金材の原料の一部を、銅地金から廃家電由来の銅リサイクル原料に置き換える循環スキームを確立し、2025年6月から運用を開始しました※26

本スキームでは、パナソニックETソリューションズ(株)が、リサイクル工場で解体・選別された銅リサイクル原料を、分離選別工程の精緻化で不純物を少なく高品位に分別し、その銅リサイクル原料を銅精錬メーカーに戻すことなく、PEXの調達部門を通じ、古河電気工業(株)様に直接供給します。古河電気工業(株)様は、銅地金と一部置き換えても諸特性が安定する製造条件を新たに確立し、配線器具用銅合金材の製造におけるCO2排出量を約8%低減することを実現しました。
今後は当スキームで培った銅リサイクル原料の活用ノウハウを、その他の当社グループ製品にも水平展開することで、さらなる環境負荷軽減を図っていきます。

廃家電由来の銅リサイクル

パナソニック(株)とJX金属(株)様は、使用済み家電から回収した銅スクラップを再資源化し、当社グループの製品に再び活用する循環スキームを共創し、2025年9月から運用を開始しています※27

【本スキームの概要】

パナソニックETソリューションズ(株)が、全国の家電リサイクル工場において使用済み家電から取り出された銅スクラップを回収し、それをJX金属(株)様へ供給し、JX金属(株)様が電気銅として再生します。JX金属(株)様は処理時のロス分も考慮したマスバランス方式により「当社グループから供給されたスクラップ由来である」と見なせる100%リサイクルの電気銅を生産します。この低CFPの電気銅は、パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)の調達部門を通じて購入され、加工された上で、再び当社グループのモノづくりに使用されます。これにより、JX金属(株)様試算で1トンの電気銅あたり2~3トンのCO2排出量削減を実現しました。

ゼロエミッションの推進

工場から発生する廃棄物・有価物は、たとえ有価で売却できたとしても資源の有効活用の観点から発生そのものを削減すべきという考えのもと、発生量(廃棄物と有価売却できるものへの両方を含んだ量)を把握し、(1)再資源化量(有価売却、無償譲渡、逆有償譲渡に関係なく再資源化できた量)、(2)最終処分量(埋め立て処分せざるを得ないものの量)に分類しています。当社グループは生産工程において、材料歩留まりを向上させて廃棄物・有価物の発生量を抑えるとともに、再資源化量を増やすことで最終処分量を限りなくゼロに近づけることを目指してきました。近年、工場廃棄物リサイクル率は高水準を維持しているため、2025年度の目標値からは除外しています。
廃棄物・有価物の最終処分量を削減する取り組みとして、熱硬化性樹脂など、特にリサイクルしにくい材料の廃棄量を抑えるとともに、工程ごとの廃棄物分別を徹底することで再資源化の拡大などを実施しています。また、現地工場と日本のグループ会社間で廃棄物リサイクル課題の共有を加速するとともに、長年取り組んできたCO2削減活動のアプローチを踏襲し、BAチャート※28を各地域で作成するなど、グループの優秀事例共有によるノウハウの横展開を推進しています。

※28 廃棄物削減やリサイクル率向上事例についての実施前(Before)と実施後(After)の比較をチャート形式の資料にまとめたもの

廃棄物・有価物の発生量

廃棄物・有価物の発生量は、2018年度374kt、2019年度344kt、2020年度303kt、2021年度314kt、2022年度282kt、2023年度258kt、2024年度278kt、2025年度273kt。

廃棄物・有価物発生量の内訳(地域別)

2025年度廃棄物・有価物の発生量は273kt。うち日本46%、東南アジア大洋州19%、中国・北東アジア18%、北米・中南米12%、欧州・CIS3%、インド・南アジア・中東阿2%

廃棄物最終処分量の内訳(地域別)

2025年度廃棄物最終処分量は2.0kt。うち東南アジア・大洋州15%、中国・北東アジア23%、北米・中南米44%、日本7%、欧州・CIS9%、インド・南アジア・中東阿1%

2025年度廃棄物・有価物発生量の内訳(種類別)

(単位:kt)

種類

発生量

再資源化量

最終処分量

金属くず

121

120

0.06

紙くず

28

27

0.2

廃プラスチック類

32

30

0.6

廃酸

21

17

0.1

汚泥

9

8

0.6

木くず

25

25

0.02

ガラス・陶磁器くず

3

3

0.03

廃油

10

9

0.06

廃アルカリ

18

16

0.03

その他※29

7

6

0.3

合計

273

261

2.0

※29 燃えがら、繊維くず、動物性残さ、ゴムくず、がれき類、ばいじん、処分するために処理したもの、鉱さい、感染性廃棄物、PCB、廃石綿