1939年(昭和14年)

テレビの公開実験に成功

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テレビの開発に携わった松下無線・東京研究所のスタッフ

技術開発へ先行投資

1925年にイギリスのベアードが初めて有線によるテレビジョンの伝送に成功してから、欧米でテレビの研究が活発化した。日本でも1935年に浜松高等工業学校の高柳教授らによるアイコノスコ-プの試作成功で、実用化に大きく進展した。

社主の先端技術への関心は強く、高柳教授の指導を得て、同年末からテレビの研究を開始、1938年には松下無線・東京研究所で12インチブラウン管使用の試作品を完成した。1939年5月には日本放送協会の技術研究所と東京放送会館との間の無線伝送試験に成功。同年7月には特許局陳列館で開催された電気発明展覧会に受像機を出展、初めて一般に公開した。

当時の社内新聞はこの展覧会を「日本で初めてのテレビジョン共演の豪華版」とし、「当社出品のテレビジョン受像機は、放送協会高柳式による実験放送の波を完全にキャッチして大成功を収めた」と報じている。

日本のテレビ開発は、1940年に開催予定の東京オリンピックに向け業界あげて取り組まれたが、1938年に戦争のために東京オリンピックが中止となり、テレビ放送も実現せず、テレビが一般家庭に入るまでには戦後なお数年の経過を必要とした。

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1935年に開発された家庭用テレビ受信機