メカニクス設計課の麻生です。
私の部署では小さなものから大きなものまで多種多様なシミュレーションを行っており、手法も様々ありますが、そのモデルの作り方も様々です。
例えばミクロな原子の配列であれば、対称性や格子定数によりモデル化しますし、例えばマクロな空間のシミュレーションであれば部屋の採寸から始めるでしょう。
回路であれば回路図から、制御であればブロック図から、それぞれにあった手法でモデル化をすることが求められます。
ものづくりの現場においては、このモデル化をCADが担います。
CADは簡単に複雑なモデルを作ることができ、設計への反映も容易で、ものづくりのシミュレーション(CAE)ではとても強力なツールになります。
ですが、そんなCADにも弱点があります。ぐちゃぐちゃの構造、無秩序構造が苦手なのです。
デバイスの設計や、材料の開発など、びみょうに小さいモノでは、これがしばしば問題となります。
たとえばスポンジは小さい空孔が無数にある多孔質構造をしていますが、これをモデル化しようとしたとき、不規則に存在する空孔をCADは上手く作れません。
CADが得意なのは秩序だったパターン構造です。不規則な構造を作ろうとすると、見た目が同じになるよう空孔を適当に配置するしかなく、作成に時間もかかりますし、特性を上手く再現できるように空孔が配置できているかは判断が難しくなります。
もしこのスポンジをエアフィルターとして使うとき、この多孔質を適切にモデル化しなければ、正しいシミュレーションは出来ません。
多孔質体(スポンジ)
繊維強化樹脂(FRP)
CADで作れないモノ
他には繊維強化樹脂(FRP)や焼結体などの複合材料や、多結晶など、これらの構造は、その特性や挙動が、小さい構造に支配されることが多いため、適切にモデル化しないと、現実と乖離した結果になってしまいます。
これらのびみょうに小さいスケールはマクロとミクロの中間という意味でメソ(メゾ)スケールと言われています。
私たちはそれらメソスケールの、びみょうに小さいモノは無理にCADで作ろうとせず、専用のモデリングツールを用いて再現します。
これにより、多孔質や焼結体、繊維強化樹脂などの微細な構造を持った材料を、適切に効率的にモデル化し、現実に即した現象の再現や新たな設計へとつなげていくことができます。
多孔質体(スポンジ)
繊維強化樹脂(FRP)
メソ構造の解析例
またその構造や材料物性がよく分からない場合でも、材料シミュレーション手法との組み合わせや、各種測定を用いて、プロダクト解析センター内で一からモデリングする事ができます。
びみょうに小さいモノのことでお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
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