地球環境問題を知る

気候変動問題とは?

今、地球は過去1400年でもっとも暑くなっています。地球温暖化による気候の変動で、生態系や水資源、農作物をはじめとする人間のくらしにも影響が拡がってきています。

そんな気候変動問題の主な原因は温室効果ガスです。中でも地球温暖化への影響がもっとも大きいものが、温室効果ガスの7~8割を占めるCO2(二酸化炭素) です。CO2の増加によって、近年になるほど地球温暖化が加速しています。

自然災害という身近なリスクも、経済損失も増えている

地球温暖化は世界各地でさまざまな気候変動を引き起こし、大雨、洪水、熱波、干ばつなどの自然災害が増えています。

それに伴い、自然災害による経済損失も年々増加。気候変動は住環境のリスクを生み出すだけでなく、経済にも悪影響をおよぼしています。​

自然災害の件数とその経済的損失を示した折れ線グラフ。干ばつ、最高気温、洪水、地滑り、嵐、山火事による災害件数は2009年までに3500件まで増加を続け、経済的損失は2019年に12000億ドル以上に達した。出典:WMO, 2021

地球温暖化を食い止めることが、世界共通の目標になった

世界の平均気温は2017年時点で18世紀半ばと比較して約1℃上昇しています。 CO2をはじめとする温室効果ガスが2017年当時の度合いで増加し続けると、2030年から2052年までの間に平均気温上昇が1.5℃に達する可能性が高いといわれていました。

そのような状況を防ぐため、2016年、気候変動問題に関する国際的なルール「パリ協定」が国連で発効されました。 この協定では、21世紀末の世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃程度に抑えることで合意されています。

1850年から2020年までの平均気温の上昇値の折線グラフ。太陽と火山の自然現象のみのシミュレーションでは、平均気温は変わっていない。人為と自然の要因を考慮したシミュレーションと観察値では、平均気温は1950年ごろから右肩上がりで上昇し、あとわずかでパリ協定で合意された1.5℃の上限に達する。出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC),2021

地球の行く末は2030年までが勝負?!

「パリ協定」における1.5℃目標の達成に向けたCO2排出量の制限値(カーボンバジェット)は約500Gt。 CO2排出の削減率が現状のまま推移すると、2030年までには、その制限値に達してしまうため、追加の対策が迫られています。

平均気温上昇を1.5℃に抑えるための残余CO2排出量を表した図。500Gtのカーボンバジェットのうち、産業革命以降から2017年までで半分以上のCO2を排出している。出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC),2018

世界が目指すカーボンニュートラル

気候変動問題の危機的状況を脱するために、世界の国や地域では、カーボンニュートラル化を表明する動きが活発化しています。

2050年、2060年、2070年を達成の期限としてカーボンニュートラルを宣言した国や地域は現在150以上。 これらがすべて達成されると、世界全体のCO2排出量の約88%を削減できることになります。

2050年、2060年、2070年までに脱炭素化を約束した国や地域の分布を色で表した世界地図。2050年までに脱炭素化する地域が黄緑色で塗られており、数は世界の半数以上。加えて、水色で塗られたロシアを含む数カ国が2060年までに脱炭素化することを約束している。さらに、2070年までに脱炭素化する国が数カ国緑色で塗られており、合計すると世界中の多くの地域が2070年までに脱炭素化を約束している。出典:経済産業省 エネルギー白書2022

CO2排出削減が経済的価値を持つ世の中へ

現在、温室効果ガスは「排出している国や企業も責任を持つべき」という考え方が主流になりつつあります。

たとえば「炭素税」もそのひとつ。CO2排出量に合わせて化石燃料に税金を課し、製造などの過程で化石燃料を多く使用するほど製品の価格が上がる仕組みがつくられました。
また、決められた排出枠を国や企業がお金で取り引きする「排出権取引制度」という仕組みも整備されてきています。

このような制度化は、 CO2削減に向けた企業の行動変革を後押しし、社会全体のカーボンニュートラルを加速させる原動力になると期待されます。

炭素税、排出権取引、投資家のニーズの3つを描いたイメージイラスト。