◆今回、解説する役割カードはこれ!
パワーアップ情報ファイル11月号は、プログラム①「会社の役割発見」で使用する30種類の「役割カード」の中で、実際にその仕事に従事している社員のインタビューを通して解説するシリーズの6回目です。
今回は「役割カード2:会社全体をサポートする役割」から「人事」の役割について紹介いたします。
企業活動の礎となる人材の確保、育成
および働きやすい環境を整備する役割
「人事」とは、会社の「人」に関する業務を取り扱う仕事・役割です。「人事」の仕事と言えば、社員の「採用」や「異動」、毎月の「給料の支給」等をイメージすることが多いと思いますが、他にも研修などによる「人材育成」や「働く環境の整備」などがあり、多岐に渡っています。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
マーケティング本部 原佑花さん
私が勤務しているパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社は、照明器具など電気設備の分野で、住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設等、社会を構成するあらゆる“くらしの空間”で事業を展開しています。私が所属しているマーケティング本部は営業部門にあたり、そのミッションは電気設備を通して、「人起点でくらしをより良く、快適にする」くらし空間の実現に向けて、お客様に寄り添ったきめ細かな販売政策の立案・実行、市場開発を展開する「強い営業」として、お客様へのお役立ちを果たし、結果として売上と利益を確保することです。
そして、そのミッションを達成するための人材確保・育成や環境整備が「人事」としての私の役割になります。
この役割の中で特に重点を置いているのは、「人財リソース戦略」「幹部人材強化と次世代人材育成」「経営体質強化」「過重労働の撲滅と安全職場の確立」「働き方改革・風土改革」などの取り組みです。
私は3つの部署の組織運営に必要な要素である「人材育成」「登用」「異動」などに携わっていますが、そこには、組織開発やダイバーシティなどの側面も含まれています。私個人としては、これからは「戦略人事」の観点が必要になってくると考えています。パナソニックでは2022年4月からスタートする新体制において、お客様にお役立ちが図れるよう「専鋭化」という言葉をキーワードに挙げています。人事においても10年後、20年後を見据え、どのような組織体制や人事制度が必要かを見極め、柔軟に対応しながら、従業員のみなさんが最大のパフォーマンスを発揮し、イキイキと楽しく働けるように人材や環境の整備を行っていきたいと考えています。
オンラインで仕事に取り組む原さん
これまで取り組んできた中で、印象に残っていることを教えてください。
コロナ禍で社員同士のコミュニケーションが不足する中、研修の一環として、若手社員を対象にオンラインで“学び合う場づくり”を企画したことは大変印象に残っています。参加した若手社員には、先輩の失敗談を疑似体験してもらい、「自分たちだったらどう対処するか」について議論し合う場を設定しました。
若手社員は、まだ仕事や職場に慣れていないこともあり、自分の能力を十分に発揮できていない場合があります。その能力を引き出し、即戦力化できることを目指して実施しましたが、誰かから一方的に教えられるのではなく、互いに学び合う方法は非常に有効でした。また、同年代とのコミュニケーションを図れたこともよかったです。
人事の仕事はすぐに結果がでないことも多いですが、自分が研修や登用などに関わった社員が、その後、活躍している話を聞くとやっていてよかったと思います。
「人事」の仕事で必要な知識やスキルは?
一番必要とされるのは、専門知識だと思います。私は、以前、「営業」の仕事をしていましたが、「人事」の仕事をするようになって、専門知識を身につけるため、人材育成に関する本を読んだり、人事・総務の検定試験に挑戦したりしています。最近は、社会保険労務士の資格を取得するため、休日に学校へ通っています。年金や健康保険、雇用保険、労働基準法などについて知ることで、現在の自分の仕事の仕組みをより深く理解することができ、仕事に活かすことができるので、大変興味深く勉強に取り組んでいます。
また、人に関わる仕事ですので、コミュニケーションスキルが必要だと感じます。人事には社員のみなさんの話を聞く「なんでも相談窓口」のような一面もありますので、社員のみなさんの声を引き出し、耳を傾け、課題があれば、解決に向けた提案をする等の能力が必要です。
人事に限った話ではありませんが、何事も目標を達成するという強い意志や情熱は、どんな仕事をする上でも欠かせないものだと思います。
社会保険労務士の勉強に
取り組む原さん
仕事で大切にしていることは?
先入観や固定概念にとらわれず、「フラットに物事を考えること」を普段から意識するようにしています。例えば、会議で意見がまとまらないときなどは、一度、俯瞰して、「本当に大事なことは何だろう」と、物事の本質を考えてみるようにしています。
仕事では仲間と調和することは必要ですが、同調して進めていくと、「何かが違う」と感じるときがあります。フラットな心で本質を見極め、言うべきことをきちんと言うように心掛けること。それが、組織運営をしていく上で重要な要素であると思います。
最後に、中学生のみなさんへアドバイスをお願いします。
いろいろなことに興味を持ち、いろいろなものに触れてみるのは大切だと思います。面白そうなことを見つけたら、ぜひ、自分でその扉を開けてみてください。今、中学生のみなさんは、友だちや仲間と過ごしながら、毎日、同じことの繰り返しのように感じているかも知れませんが、実際は、そのような時間は永遠に続くものではないと伝えたいです。大人になって振り返ると、小学校、中学校、高校の12年間は二度と経験することができない本当に貴重な時間だったと思います。だからこそ、みなさんには、今しかできないことに精一杯取り組んで欲しいと思います。