ミッション・ビジョン・バリューの再設定で
目指す姿を明確にし、アイデアを出しやすい団体に

設立20年の節目に一人ひとりの思いを確認


日本ハビタット協会は国連機関の「国連ハビタット(国連人間居住計画)」と協力し、ケニアとラオスでの居住環境改善や国内外の災害緊急支援などに取り組んでいます。事務局長の篠原大作さんは、サポートファンドに応募した理由をこう語ります。「2001年の設立から20年が経ち、世界情勢も変わる中で、団体の方向性が間違っていないか、一人ひとりの思いを確かめる必要がありました」
そこでまず、2020年に組織診断を行いました。「理事、職員、定期的に活動しているボランティアを対象に、アンケートを用いた意識調査や意見交換を実施。その結果をもとに、外部の専門家が外部要因や内部環境などの分析を行い、団体の現状を明確にしました。これをもとに、理事と職員が協議を重ね、ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を再設定。そこから5年後の団体の姿を描いて中長期計画を策定し、団体の中で共有しました」

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認定特定非営利活動法人 日本ハビタット協会
事務局長 篠原 大作さん

MVVの再設定にあたっては苦労もありました。
「同じ言葉でも、とらえ方が個人によって違うので、事務局長の私が理事や職員の間を取り持ち、考えや思いは同じであることを確認しながら、話し合いの場に参加できなかった人の意見も含めて、一つの言葉に集約していきました」
そして、MVVが明確になったことで、団体にはこんな変化が生まれました。
「市民ボランティアの方々にとって、自分たちが支えている団体が何を目指しているのかが明確になり、理事からも適切なアドバイスを得やすくなりました。日々の業務が何につながっているかがわかりやすくなったことで、パートタイムを含む職員が積極的にアイデアを出してくれるようになりました。共通するビジョンをもっている団体を探している企業との連携も進めやすくなりました」

中長期計画を外部に発信し、外貨寄付が急増


さらに2022年には、MVVと中長期計画を外部にも発信していくために、組織基盤強化に取り組み、5つの広報ツールを開発。「おかげで、家に眠っている、使わなくなった海外のコインや紙幣を寄付してもらう“外貨寄付”の額が一気に増えました。団体の限られた資金や人を正しい方向に向けていくのがMVVです。プロジェクトがMVVに即したものでないのであれば、そのプロジェクトはやめるべきです。MVVに基づいた中長期計画がなければ、実現可能な財政規模の目標すら立てることができません。現実に見合わないMVVを使い続けていると、団体に携わっている人たちも、やがて離れていくでしょう」
最後に、これからMVVの再確認に取り組みたい団体へのメッセージをいただきました。
「設立から10年、20年が経ち、MVVの再確認が必要になった団体は、創設者の思いが強すぎることも多いので、取り組む前に団体内でその必要性を共有し、伴走支援者だけに任せるのではなく、事務局長などがハンドリングしていくといいと思います。MVVや中長期計画の見直しは団体の5年後、10年後の発展につながります。職員の方々が意見を言いやすく、気持ちよく働ける職場環境をつくっていくことで、若い人が入りやすくなり、今までと違った大きなことが実現できるようになります。米国が多くの国連機関への支援を停止し、その他の国や日本のODAの予算も減少しています。また、日本の市民の国際協力への感情も変化している中で、NGOはどこから資金を得て活動していくのか、中長期計画の見直しを迫られています。私たちも外部環境の変化に応じて、その都度、中長期計画を見直していきたいと考えています」