Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs【国内助成】 成果報告会


組織診断・組織基盤強化に取り組んだ9団体の報告から活動のヒントを得る

2026年3月5日、官民共創HUB(東京都港区虎ノ門)で「Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs【国内助成】」の成果報告会を開催しました。会場には、組織診断から始めて組織基盤強化に取り組んだ5団体と組織基盤強化に取り組んだ4団体、選考委員、一般参加のお申し込みをいただいた皆様など、約40名の方々にお集まりいただきました。9団体の発表後、選考委員の皆様から講評をいただき、質疑応答を行いました。また、終了後には交流会の時間を設け、団体の皆様同士で、この日の感想や取り組みの進捗状況などを共有し、今後につながる示唆を得る機会となりました。

開会挨拶

社会課題に向き合い、多様なステークホルダーと共に取り組む



パナソニック ホールディングス株式会社 企業市民活動担当室 室長 堂本 晃代

世界各地では、紛争や災害、社会不安が重なり、不安定な状況が続いています。国内においても、物価高騰による生活困難の深刻化や、災害からの復旧・復興に長期的な支援が求められる状況が続いています。こうした国内外の課題に対し、パナソニックグループでは企業市民活動の一環として、社員の福利厚生ポイントを活用した寄付や、社員ボランティアによる現地支援など、多様な形で支援を行ってきました。これまでに集まった寄付は、国内の復興支援に加え、ミャンマーでの地震被災地支援やウクライナの人道支援など、海外における取り組みにも役立てられています。また、無電化地域への支援などを通じて、地域の暮らしや未来を支える活動を継続してきました。今後も、NPO/NGOをはじめとする多様なステークホルダーの皆さまと連携しながら、課題に向き合い、共に取り組みを進めていきたいと考えています。

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堂本 晃代

第1部 組織診断の成果報告【1年目/組織診断】


ピアサポーターのケアと音声を使った新たな広報に挑戦



特定非営利活動法人 ウィーズ 理事長 光本 歩さん

離婚や虐待、不適切な養育などで、「おうちがしんどい子どもたち」の支援をしています。2024年度は2000万円だった財政規模が2025年度には5000万円規模まで伸びる見込みとなり、10期目の節目にサポートファンドに応募しました。ピアサポーターとして研修を受けた100人弱の支援員の約3割がしんどくなって、支援に関われない状態で、これを減らす仕組みも必要でした。組織診断では外部の伴走者が入り、支援員や外部の協力者を対象に約200項目のアンケートやヒアリングを実施。財務管理やインフラの整備、事業の全体像の支援者への浸透、人材育成やケアの仕組みに課題があることがわかりましたが、私たちの目指すものと伴走者の視点から生まれる方向性のギャップが大きく、約2カ月にわたり対話を重ねました。成果としては、各事業部にリーダーを設置し、目標を設定。NPOとして情報を透明化するために、口頭で伝えていくことを始めました。第三者によって課題が言語化されたことを受けて、ケアプログラムの内製化と、日常を音声で伝える新たな広報の実践に取り組み、財務の属人性からも脱却の途上にあります。

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光本 歩さん


メンバーの共通認識を形成し、自主財源の向上を目指す



一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
事務局次長 青柳 江理さん

全国120の賛同団体と連携し、性的指向や性自認に基づく困難な状況を国に届け、SOGI差別禁止法の制定を目指して活動しています。財源構成としては助成金が大きな割合を占め、自主事業や寄付、会費などの自主財源の拡充が課題でした。そこで法人設立10周年を機に、サポートファンドに応募。外部コンサルタントの伴走で、財政基盤や会の運営について、会のメンバーの認識が統一されているのかヒアリングし、組織運営について議論する時間を設けました。その結果、自主財源を集める戦略・目標が不明確で、既存ネットワークの活用も不足し、メンバー間の認識にぶれがあることがわかりました。そこで各理事・事務局の役割を整理し、共通認識を形成。自主財源比率と資金の流れを明確にしました。ファンドレイジングに関しては企業交流会を実施し、ニーズをヒアリングしました。今後は、定期的に会の運営を議論する場を制度として位置づけることと、企業向けファンドレイジング戦略の具体化に取り組み、自主財源2000万円規模の体制構築を目指したいと思っています。

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青柳 江理さん


対話会やワーク会、全体の集まりで互いの理解を深める



認定特定非営利活動法人 ピッコラーレ
理事 土屋 麻由美さん、事務局長 小野 晴香さん、事務局 早川 真由美さん

2015年に「にんしんSOS東京」を開設して以来、中絶後の相談窓口、安心して暮らせる居所のない妊婦の居場所、アフターケアなどの活動に取り組んでいます。コロナ禍で活動規模が大きくなっていく中、コミュニケーションに起因するアクシデントなどが起きていたことから、組織基盤に改めて意識を向ける時期だと強く思い、サポートファンドに応募しました。第三者の伴走によるコミュニティキャピタル診断では、理念共感度と自己有用感は高いけれど、居心地のよさが若干低いとの診断が出たため、小さいグループでの対話会・ワーク会や1on1、全体で集まる「Piccolare Community Day!」を開催。参加者の相互理解・親睦を深め、ピッコラーレの未来について考えました。その上で再度、コミュニティキャピタル診断を実施したところ、すべての因子が微増。「Piccolare Community Day!」が特に好評でした。365日、夜間帯も現場は動いているので、組織基盤強化の時間の捻出や調整が容易ではありません。こうした状況の中でも、引き続きコミュニティづくりに取り組みながら、組織運営や基盤強化の重要性について、経営陣とも認識を共有し、必要な時間を確保していきたいと考えています。

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小野 晴香さん、土屋 麻由美さん、早川 真由美さん


選考委員からの講評


コロナ禍を経て見直す、一堂に会することの大切さ



認定特定非営利活動法人 エンパワメントかながわ 理事長 阿部 真紀さん

とても学びの多い成果報告をありがとうございます。私もDVを受けた女性の支援をしていますが、ウィーズは、自分が経験したからこそ誰かを助けたいと願う支援員さんたちのケアにテコ入れしようとする斬新で、エネルギーを要する取り組みでした。癒しながら活動を続け、それをプラスの循環に変えていこうとする力を感じました。
LGBT法連合会は自主財源2000万円という大きな目標を掲げ、連携を考える企業交流会を開き、合宿で役割分担の再整理を行いました。世界的に逆風が吹いている中で、だからこそ持続可能な組織であることにこだわって、どんな性的指向・性自認であっても、等しく人権が守られる社会のために、ご尽力いただきたいと思います。
ピッコラーレは着実に事業を拡大し、全国の団体を引っ張っていく先駆的な団体ですが、意見が言いづらい雰囲気があることに気づき、仲間同士の相互理解に向き合ったことが一番の将来の糧になるのではないでしょうか。コロナ禍のオンラインを経て、人が一堂に会することの大切さを見直してみるというのは、すべての団体に言えることではないかと思いました。

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選考委員 阿部 真紀さん


会場との質疑応答


3団体からの発表終了後、質疑応答の時間を設けました。会場からはウィーズに対し、「非アクティブな支援員だけれども、登録しているだけで気持ちが安心する方もいらっしゃるのではないでしょうか?」との質問がありました。ウィーズの光本さんは、「支援員養成講座は週2時間、9カ月のプログラムですが、途中で自分はしんどいかもしれないと気づき、支援に携わらない方もいます。しかし中には、講座を受けたことで、30年くらい絶縁状態だった親と久しぶりに正月を過ごしたという声もあり、プラスの効果が出ています」と答えました。


意思決定がわかる組織図をつくり、広報の方向性を明確化



NPO法人 QWRC 理事 桂木 祥子さん

障害がある、若年層であることなど様々な要因が重なり合う中で、生活や社会参加において困難を抱えるLGBTQの人たちの支援をしていて、SOGIE・LGBTQに関する研修や相談事業、居場所事業を実施しています。関西を中心に17自治体と連携し取り組みを進めていますが、広報が得意でなく、組織の基盤も組織図もない状態で、サポートファンドに応募。外部の伴走者に入ってもらい、KPTという手法で組織診断をしました。意思決定のプロセスがわかるように組織図をつくり、属人的になっていたマネジメントを強化。広報については、活動報告書や白書という形で発信していく方向性が見えてきました。これまでは、一人ひとりが決める集団的意思決定を大切にしてきましたが、財政規模やスピード感と見合わなくなっていました。しかし、団体の核となるところなので、組織体制のほうを変えていくことにしました。今後は、課題のあるスケジュール管理を強化し、ファンドレイジングに着手していきたいと考えています。

※KPT:活動を振り返る手法の一つで、うまくいっている点(Keep)、課題(Problem)、次に試すこと(Try)の3つの視点で整理するもの。

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桂木 祥子さん


バックオフィス体制を強化し、みんなの思いを共有



特定非営利活動法人 どりぃむスイッチ 理事長 中村 友紀さん

2013年から広島県福山市で、若者の居場所づくりや就労支援、児童養護施設を退所した若者の支援、自立援助ホームの運営などをしてきました。事業規模は拡大しましたが、バックオフィスが追いつかず、サポートファンドに応募しました。伴走者と行った内部診断ではスタッフにアンケートを実施。主要事業を大切に思い、柔軟な働き方への満足度は高い一方で、声を上げやすい風土づくりは満足度が低く、管理体制の遅れにも厳しい声が上がりました。外部診断では多様なステークホルダーにヒアリングを行い、できることがあれば関わりたいと思っている方が多いことを感じました。同時進行で組織基盤強化にも取り組み、事業部長や総務部長を決めて推進体制を構築。所属長を一人にしないサポート体制を整え、全員が参加する週1回のミーティングも続けています。またfreee人事労務を導入したことで、遅れていた年末調整や給与計算、雇用契約がすみやかに進むようになりました。この1年を通して、現場で紡がれる物語を社会に届けたいという思いをみんなで共有することができました。

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中村 友紀さん


選考委員からの講評


非営利セクターにとって大事な事業に取り組む意義を確認



特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 理事長 立岡 学さん

QWRCは、いろいろな人の苦しみに寄り添う活動をしている、多様性を認める団体だからこそ、メンバーたちの合意形成を大事にする集団的意思決定という在り方を再確認し、その核をベースに次へ進めたことは、非常によかったのではないかと思います。ただ、この方法を選択したことで、進捗管理が厳しくなるのであれば、その部分をみんなで意識していく必要はあると思います。
非営利セクターが活動を続けていくに当たって一番大事なのは、何のためにこの事業に取り組むのかということだと思いますが、どりぃむスイッチはアンケートを通じて、スタッフ一人ひとりの声を聞き、みんなでつくり上げていこうというところまで確認できました。うれしい反面、創業者は若干の寂しさを感じるかもしれませんが、育ってきたスタッフが、ちゃんとやってくれるという確信を得ることができたのではないかと思いました。

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選考委員 立岡 学さん


会場との質疑応答


2団体からの発表に続いて、質疑応答の時間を設けました。会場からはどりぃむスイッチに、「団体内の情報の周知・共有で試してよかったことはありますか?」との質問が寄せられました。どりぃむスイッチの中村さんは、「会議の回数を増やし、報連相の相を手厚くして、みんなが聞きたいことに答える会議に変えたら、満足度も参加率も発言率も高くなり、風通しのいい組織になりました。組織診断で、みんなが不安の中で現場に入っていたことに気づいてからは、朝会でねぎらいやフィードバックの言葉をかけ、ケアできるようになりました」と回答しました。

第2部 組織基盤強化の成果報告


【2年目/組織基盤強化】

ボランティアと管理部、ファンドレイジングの体制を強化



一般社団法人 Masterpiece 代表理事 菊池 真梨香さん

私たちは、虐待などの背景から親を頼りづらい若者へのサポート事業をしています。サポートファンド申請時は私だけが専従スタッフで、組織図を書くと、ほぼすべてを私が担っていました。これまでに3人のコンサルタントに伴走いただき、1期目は組織診断で課題を明らかにし、ビジョンや中長期計画をつくり、組織のチームビルディングに取り組みました。2期目は管理部スタッフを配置し、当初の計画を変更してスタッフの研修カリキュラムを整え、スタッフの一人が準認定ファンドレイザーを取得しました。ボランティア・マネジメントに関しては、ボランティア・スタッフの交流会を実施し、ボランティアの採用フローが完成しました。管理部を配置したことで、代表の私が新規事業や対外的な業務に集中できるようになり、スタッフ採用フローも完成。中長期計画と資金計画、ロジックモデルを基盤に資金調達に着手し、クラウドファンディングに続いて、マンスリー会員の強化にも取り組み、20数名から60名ほどに成長しました。組織と事業の状況を鑑み、来年1年、サポートファンドはお休みし、公益社団法人化への挑戦やガバナンス体制強化に取り組みます。

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菊池 真梨香さん

アドミニストレーション業務を整理し、寄付基盤が拡大



特定非営利活動法人 青少年自立支援施設淡路プラッツ 代表理事 石田 貴裕さん、事務局長 浅井 紀久子さん

大阪府を中心に34年前から、ひきこもり・ニート・不登校の若者と家族の支援をしています。財政は助成金や委託事業に依存していたことから、自主事業の拡大を目指し、サポートファンドに応募して、組織診断から始めました。PEST・SWOT分析による外部環境分析や組織の実態調査、財務状況に関する調査を行い、浮き彫りになった課題をもとに組織基盤強化に取り組みました。ホームページを刷新し、説明会予約システムを導入したところ、申し込みは倍に。次にアドミニストレーション業務を整理し、特定スタッフに集中している業務を移譲する体制を整えました。ファンドレイジングではクラウドファンディングで目標額を達成し、新規層の獲得にもつながり、寄付基盤が拡大。支援の質の向上に向けて視察をしたことで、いろいろな手法や運営の知見を収集でき、人材育成方針策定のアイデアが得られました。現状を伝えるシンポジウムには約60名が参加し、個別面談につながった方もいます。組織内のコミュニケーションに質的な変化が生じ、経営層のマインドセットも変容しました。来年度はいったん休んで、制度のはざまにいるひきこもりの方たちの支援に力を入れたいと思います。

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浅井 紀久子さん、石田 貴裕さん


選考委員からの講評

優秀なスタッフの力を活かし、時には「NO」と言う選択も必要



特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 理事長 立岡 学さん

組織診断で課題を明確にし、本気で自分の組織を変えようと、組織基盤強化にチャレンジする助成2年目、3年目の団体が申請する書類は、1年目の時とは全然違っています。そんな中で2つの団体が冷静に1年休む決断をしたのは極めて大きなことだと思います。
Masterpieceの菊池さんは、自分の名前ばかり書かれていた組織図に別のスタッフの名前を書けるようになったのを見て、涙が出そうだったと話されていました。組織基盤強化をしたことで休眠預金活用事業にも採択され、着実にステップを踏んでいっていることを感じました。自分より優秀なスタッフがどんどん入ってきても、うまく活かせるのが優秀な経営者で、ボランティアの採用においても、必要な時には正しい選択をして「NO」と言えることも大事なのではないかと思いました。

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選考委員 立岡 学さん


時間やリソースを5%でも組織の改善に振り向ける



公益財団法人 ひょうごコミュニティ財団 代表理事 実吉 威さん

組織を改善しようというのはきれいなストーリーですが、現場を普段通り回しながら、そこに加えて普段にはない取り組みをするのは、皆さんも大変だったのではないでしょうか。そんな中で青少年自立支援施設淡路プラッツは、アドミニストレーション機能の強化や、地域や利用者を支える人材の育成、それに向けた外部リソースの活用やファンドレイジングなど、いろいろなことに取り組まれ、もう少し絞り気味のほうが楽だったのではないかとさえ思いました。サポートファンドは、目の前の現場ではないことに取り組む人件費などにも使っていい助成金ですが、人がいないとか時間が取れないとか、お金だけでは簡単に解決しない難問もあったのではないでしょうか。中心メンバーが、現場ではないバックオフィスやマネジメントに5%でもいいから、時間やリソースを振り向ける。そのためのアドバイスをくれる外部の第三者の力をうまく活用されるといいと思います。

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選考委員 実吉 威さん


会場との質疑応答


2団体の発表に続いて、会場からは青少年自立支援施設淡路プラッツに、「ホームページ改修のポイントを教えてください」との質問が寄せられました。「支援が必要な若者と親御さんに届くように、スマホで見ることを意識して、支援方針を端的な言葉で伝え、載せすぎていた情報を省いて、代わりに求人やボランティア募集のページをプラスしました」と答えました。


【最終年:2年目/組織基盤強化】

トップダウンから、理事会と連携し、一緒につくっていける組織に



特定非営利活動法人 パノラマ 事務局長 谷口 真梨子さん

2015年に設立し、県立高校の校内居場所カフェや困難を抱えた若者の居場所と相談の施設運営、小中学生の居場所事業を行っています。私が入職してまもなく公的事業の受託で職員が2倍以上に増え、離職が相次ぎ、コミュニケーションのプチ不調が起きて、サポートファンドに応募しました。コンサルタントの伴走で、1年目は理事以下職員全員のヒアリングを行い、組織課題を構造化。解決に向けた施策を議論しました。さらに、初めての管理職研修とファンドレイジングも実施。2年目は段階を踏んだワークショップを経て、北プラという若者支援現場の行動指針をつくる予定でしたが、現場に合わないことから、コンセプトを策定することになりました。2年の取り組みを終え、トップダウンではなく、みんなで一緒につくっていく機運が現場に生まれ、理事会も、理事長にものが言える理事会へと変化しました。一人仕事だった事務局も、課題があれば理事会の議題にして解決できるようになりました。組織全体のコミュニケーションも深まり、自分たちの大事にしたいものを言語化できました。この組織基盤強化によって、中期経営計画が話せる段階にようやくたどり着きました。

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谷口 真梨子さん


【最終年:3年目/組織基盤強化】

組織運営とデータベースを見直し、寄付が目標額を突破



特定非営利活動法人 こどもソーシャルワークセンター 理事長 幸重 忠孝さん

滋賀県大津市で独立型の社会福祉事務所として、社会福祉士が中心となり、子ども若者の居場所事業やヤングケアラー支援事業を行っています。コロナ禍で組織が拡大し、利用者やボランティアが倍増。社会人経験の浅い20代の職員ばかりとなって、一人が休職し、理事会からブラック職場疑惑をかけられ、サポートファンドに応募しました。組織診断では、コンサルタントを入れて職員の個別ヒアリングを実施し、業務の洗い出しと組織運営を学ぶグループワークを行いました。ここで見えた弱みを改善するためにホームページを大幅に改定し、団体紹介冊子をつくって顧客データを一元化したところ、寄付が目標だった1000万円を超えました。ここで1年のインターバルを挟んで、3年目は事務専門職員を採用し、人材育成計画を策定。新たなコンサルタントと再度の組織診断を行うために、退職者を含めた職員のヒアリングを実施しました。さらに社会保険労務士を入れて就業規則を見直し、中堅の社員には宿泊を伴う研修に参加できる体制を整え、大きな効果を発揮。2年後の10周年に向けて、法人の費用でコンサルタントを入れて、中長期事業計画を策定したいと思います。

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幸重 忠孝さん


選考委員からの講評

短い時間で目に見える成果を求める圧力に抗い、大きな成果



公益財団法人 ひょうごコミュニティ財団 代表理事 実吉 威さん

私たちはどうしても、短い時間で目に見える成果を出せという圧力を社会から受けがちです。しかしパノラマはこれに抗い、みんなが機嫌よく働き、言いたいことを言い、同じ方向に進んでいける組織に変えていくために、組織の弱いところにフォーカスし、自分たちが大事にしているものを言語化できたことが大きな成果につながったのだと思います。地域で開いた報告会にも地元のNPOの方がたくさん訪れ、この先の変化が楽しみです。
こどもソーシャルワークセンターは、ブラック職場疑惑から人事に焦点を当てましたが、理事会が機能しているのは素晴らしいことだと思います。人が辞めていく中で事務の専門職員を採用し、1年のインターバルも上手に使って、あっちこっちに頭をぶつけながら前を向き、応援してくれる方の力を借りて進まれました。これから先は自主財源でも外部に費用を払って、組織づくりに取り組んでいこうとされていて、3年後、5年後にまた、お話をうかがってみたいです。

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選考委員 実吉 威さん


会場との質疑応答


2団体の発表を終えて、会場からはパノラマに、「理事会の意識がどういうプロセスを経て変わっていったか、ヒントをください」との質問がありました。パノラマの谷口さんは、「コンサルタントの報告会の時に、理事に有休を取って参加してもらいました。理事長を応援する支援仲間だった理事たちは、理事長の言葉を承認するだけではダメなのだと気づいてくれました。
コンサルタントの働きかけもあったことで、コンタクトがあまりなかった理事たちとのインフォーマルコミュニケーションの機会も生まれ、事務局としての本音がだんだんと言えるようになりました。」と答えました。


選考委員からの講評


ここを切磋琢磨の場とし、リーディングNPOになることを期待



公益財団法人 あすのば 代表理事 小河 光治さん

皆さんの報告を聞いて、私たち選考委員が一番学びを得ています。非営利組織はブラックボックスで、なかなかチェックの目が入らず、創業者が裸の王様になってしまう傾向もあります。ホームページではきれいなことを書いていても、本音ベースでは困っていることがあって、そこから目をそらさず、向き合ってこられたこと自体が素晴らしいと思います。ほかの団体の発表を聞いて、そこまでやっているのかとドキッとした部分もあると思いますが、ここを切磋琢磨の場として、次のステップに行くヒントにしてください。皆さんは、さまざまな課題を抱えている方々と向き合っていると思いますが、ケアする側のケアは置いていかれがちです。来年度の事業計画予算を立てる中で、頭を悩ますのが人件費です。仕事を続けてもらいたいけど、お金を出せないから雇用が続かないとか、そういう問題に対しても、こうして束になることで、制度そのものを変えていけたらと思っています。自団体が強くなることはもちろん大事ですが、皆さんが同じような分野で活躍している方々のリーディングNPOになることを期待しています。

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選考委員長 小河 光治さん


修了書贈呈

続いて、Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs【国内助成】で「組織基盤強化からはじめるBコース」にて2年間の助成プログラムを修了したパノラマと、「組織診断からはじめるAコース」にて3年間の助成プログラムを修了したこどもソーシャルワークセンターの皆様に、パナソニックの堂本より修了書を贈呈しました。
このあと、皆様で記念撮影を行い、この日の感想やこれまでの取り組み、これからの活動について共有する交流の時間をもちました。

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修了書授与の様子