課題意識を共有する円卓会議と事務局体制の強化で
ボランティアが自主的なコーディネーターへと成長
課題や方向性を共有し、コロナ禍にも迅速に対応
「認定NPO法人 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」は東京都豊島区で「子どもの貧困問題」をテーマに、居場所や食を通じたつながりをつくる活動を続けてきました。しかし、理事長の栗林知絵子さんは、「みんなが自分の担当する事業だけに専念していて、団体内のコミュニケーションや思いの共有が必要だと感じていました。また、応援してくれる企業から認定NPOになることを勧められましたが、それだけの事務能力もありませんでした」と振り返ります。
そこでサポートファンドに応募し、当時シャプラニール=市民による海外協力の会の代表で、地域住民を巻き込む実践に知見を有する坂口氏にコンサルタントを依頼し、2020年から組織診断に取り組みました。「まずは理事にアンケートを実施し、そこから見えてきた課題をボランティアや、事業のパートナーである行政の職員と共有し、意見を聞く場を設けました。それぞれの意識を見える化できたことで、これからの方向性を話し合うことができました」
認定特定非営利活動法人
豊島子どもWAKUWAKUネットワーク
理事長 栗林 知絵子さん
これを実行に移すために、翌2021年に組織基盤強化に取り組み、「おせっかいの輪を広げる」という3年間の中期ビジョンを策定。「行政や地域の方々と円卓会議の場をもつようになったことで、コロナ禍で困窮する子育て世帯に向けた食料支援を始めた時も、すぐに協力体制を取ることができました」
食料支援は豊島区の各小学校区毎に拠点を置き、主任児童委員や民生委員さんにお願いしてリーダーを担っていただきましたが、しだいに、地域の方々が自主的なコーディネーターとなって回していく活動へと変化。
また、子どものために何か協力したいと思いつつも行動に至っていない企業や組織、人をコミュニティにつなぎ課題共有・交流する「としまこども団」というプラットフォームを区内の企業や有志と共創しました。
「こうして立場の違う様々な人との接点をつくり、地域の課題を知り交流し、行政に提案するようにもなり、その声が施策となって、地域で孤立している外国ルーツの子どもを支援する多文化キッズコーディネーターに予算がつきました」
人的基盤の強化により、子どもを地域で支える活動が活発に
ただし、コロナ禍の食料支援には課題も残りました。「仕事を失ったひとり親の方に声をかけ、アルバイトとして、お手伝いをお願いしたものの、受け入れ態勢が脆弱で、メンタルの浮き沈みがある方への配慮も至らず、自分たちができることの限界について考えさせられました」
そして、事務局体制の強化としては、弁護士の理事の意識に変化がありました。その理事が中心となって書類の準備を進めてくれたことで、認定NPO法人の認証を得ることができました。また、事務局に常勤スタッフを一人採用したことで、行政と連携するうえで必要な個人情報の管理システムを整えることができました。
「人的基盤が強化されたことで、行政から、困窮やネグレクトなどの課題を抱えた子どもの情報を共有して、毎月家庭訪問する取り組みが始まりました。子どもの権利やセーフガーディングについて一緒に学ぶことで、子どもを地域で支えていく意識も醸成されました。
活動を通じて同志となった方が中心となって「早寝早起き朝ごはん」を合言葉に、一時間目授業の前に小中学校の教室で『おはよう』と声をかけながら、一人ひとりにバナナを配り、みんなで食べる活動が区内5校に広がっています。
「どこの町にも、おせっかいな思いをもつ大人はいて、つながることで地域の課題が見えてくると思うので、皆さんもぜひ、ご自分の地域の活動に関心を寄せてみてください」