
テーマ:ノイズ可視化
ノイズ可視化シリーズ(2)
~ノイズ印加時における回路挙動確認手法~
2019年4月24日
EMC設計・解析担当の政井です。
ノイズ対策を効果的に行うためポイントは、一にも二にも可視化です。
特にイミュニティにおいて、ノイズ印加時の回路挙動を把握できれば、誤動作が発生する本質的な部分へアプローチできるので定量的に対策を行うことができます。
プロダクト解析センターでは、ノイズ分離特性*)の優れた高性能プローブを導入しました!!この高性能プローブの特徴は、なんといってもノイズ分離特性が従来プローブと比較して1000倍も優れていることです。従来プローブではノイズが重畳されて、真の回路挙動を把握することができなかったのですが、高性能プローブではノイズ印加時においても真の回路挙動を把握することができます。更に2500Vの高耐圧のため、EFT/B試験、雷サージ試験などの高電圧試験においてもプロービングが可能です。


次に、EFT/B試験1000Vで誤動作する(500Vでは誤動作なし)製品を例に、高性能プローブを活用した耐ノイズ設計の事例を紹介します。
まず、従来プローブで測定したマイコンの電源波形を図3に示します。印加レベル500V時では誤動作が発生していないにも関わらず、マイコン電源は0Vになっており、波形からマイコンが停止していると解釈ができますが、製品は正常動作しており矛盾が生じた結果となりました。

次に、高性能プローブで測定したマイコン電源の波形を図4、5に波形を示します。印加レベル500Vではマイコン電源波形が電源使用範囲の3.8V以下には落ちていませんでしたが、印加レベル1000Vではマイコン電源波形は電源使用範囲の3.8V以下に落ちており、ノイズによってマイコンが停止しリセットがかかってしまっていることがわかりました。


このように高性能プローブを用いて真の回路挙動を把握することで、本質的な部分へアプローチを行い、定量的に対策を行うことができます。(ちなみに、対策としてはマイコン直近に周波数特性がマッチするバイパスコンデンサを追加することで波形の揺らぎを押さえ込みました、誤動作をなくすことができました)。
ノイズ対策でお困りの方は、是非お気軽にご相談ください。
*)コモンモードからノーマルモードに変換される電圧成分を除去する特性
最後に、こちらの具体的な内容については、6/19に「NECプリント基板ノイズ技術セミナー in 関西」にて講演させていただきます。
ご興味ある方はぜひご参加ください。