空気ってなに?大気ってなんのこと?
私(わたし)たちが生きていくのに、なくてはならない空気。地球のまわりには、つつみこむようにして空気が取りまいている。これが大気と呼(よ)ばれるものだよ。大気の厚(あつ)みは、ほんの10キロメートルくらい。これは、地球の直径の1,000分の1にもならない厚さだ。つまり、地球はとても薄(うす)い大気につつまれているというわけだね。

大気があると太陽の光を反射(はんしゃ)して、青空になったり、くもり空になったり、いろいろと変化する。だけど宇宙(うちゅう)には、空気がない。だから、空はいつもまっ暗だ。
大気は、何種類ものガスからできている。窒素(ちっそ)が約5分の4(78%)、酸素(さんそ)が約5分の1(21%)で、大気のほとんどはこの2つでできているんだね。そして残りの1%の中に、二酸化炭素(にさんかたんそ)やヘリウム、メタンなどのガスが、ほんの少し含(ふく)まれているよ。
大気はどんな役目をしているの?
地球をつつみこんでいる大気って、どんな役目をしているのかな?私(わたし)たちが生きていられるのも、地球に大気があるおかげ。大気の中にある酸素(さんそ)を吸(す)うことで、動物たちは生きていられるよ。

大気の上の方には、オゾンというガスの層(そう)がある。このオゾン層は、太陽から紫外線(しがいせん)を通さない役目をしている。生き物にとって有害な紫外線から、守ってくれているよ。
大気のない月では、昼間の温度が赤道で約130度、夜の温度が約-170度にもなるそうだ。大気があるおかげで、地球は気候(きこう)がおだやかで、生き物が住みやすいわけだね。
地球で大気はどのようにしてできたの?
地球をはじめとする太陽系(たいようけい)が生まれたのは、今からおよそ50億(おく)年も前のことだよ。太陽のまわりでうずを巻(ま)いていたガスが、しだいに冷えて微惑星(びわくせい)というかたまりになり、その中のひとつが地球になった。できたばかりの地球には、かぞえきれないほどの微惑星(びわくせい)や小さな隕石(いんせき)がふりそそいでいたらしい。その中に含(ふく)まれていた物質(ぶっしつ)がガスとなって飛び出して、やがて地球をおおう大気になったんだよ。

でも、そのころの大気には酸素(さんそ)はなく、ほとんどが二酸化炭素(にさんかたんそ)、水蒸気(すいじょうき)、メタンガスなどだったそうだ。それに熱くかわいた大気のため、雲さえできなかった。それが、今のような大気になるにはかなりの時間がかかったんだよ。
植物の先祖(せんぞ)が酸素(さんそ)を作ったってほんと?
できてまもない地球の大気には、今のように酸素(さんそ)はなかった。それでは、いつ、どうやって酸素はできたのかな?それを知る手がかりは、生物の誕生(たんじょう)と関係があるよ。

今から38億(おく)年前くらいの古い化石に、細菌(さいきん)の一種(いっしゅ)が見つかっている。これは植物と同じように光合成(こうごうせい)をしていたらしいんだ。光合成とは、二酸化炭素(にさんかたんそ)と水を材料に、太陽の光でエネルギーを作り、酸素を出すこと。この生物が長い時間をかけてたくさんの酸素を出し、しだいに地球の大気に酸素が増(ふ)えていったというわけ。
そのころの生き物にとって、酸素というのは毒(どく)ガスだったんだって。ところが、空気中に酸素が増えたために、それを利用しようとする生き物が生まれた。それが動物の先祖(せんぞ)だよ。
空気がないと人は生きていけないの?
私(わたし)たちは、空気を吸(す)って生きている。空気中の酸素(さんそ)を取り入れて、エネルギーを作っているんだ。酸素は、体を動かしたり、ものを考えたりするのに、なくてはならない。私たちが生きるための、すべての力の元といったらいいかな。

鼻や口から空気を吸(す)いこむと、まず肺(はい)に送られる。肺に送られると、酸素は血液(けつえき)の中に取りこまれる。そして血管を通って、体じゅうに酸素を運んでくれるんだ。酸素を運ぶと、血液はかわりにいらない二酸化炭素(にさんかたんそ)を受けとって、肺に送る。そして肺から鼻や口を通して、二酸化炭素をはき出している。
空気中の酸素を吸って生きているのは、人間だけじゃない。動物や鳥やこん虫も、みんな酸素がないと生きていけない。川や海にすむ魚たちも、水の中の酸素で呼吸しているんだ。
気持ちのいい空気ってなんだろう?
空気は目に見えないから、私(わたし)たちは普段(ふだん)、空気のことを感じることはほとんどないかもしれない。でも、気持ちのいい空気と、そうでない空気があるよ。

これは、酸素(さんそ)がたりないからだよ。閉(し)めきった部屋でガスや石油のストーブをつけたままでいると、酸素不足からやがて一酸化炭素中毒(いっさんかたんそちゅうどく)になり、とても危険(きけん)だ。
反対に、気持ちのいい空気ってなんだろう?それは酸素をたっぷり含(ふく)んで、ほこりやちりがなく、体に悪いガスを含んでいない空気のことだ。空気のきれいな田舎(いなか)や、森の中ですごすと、すがすがしいと感じることはないかな?汚(よご)れていない空気は、味やにおいがなくても「おいしい」と感じるはずだよ。
植物のおかげで空気がきれいになるの?
植物は光合成(こうごうせい)をして、酸素(さんそ)をはき出している。その酸素で、人や動物は呼吸(こきゅう)している。こうして植物と動物の間に空気がめぐって、空気のバランスを保(たも)っているんだ。だから地球の大気が、二酸化炭素(にさんかたんそ)ばかりになることや、酸素ばかりになることがないんだね。

植物も呼吸をしているから、酸素を吸(す)って二酸化炭素を出している。でも、光合成ではき出す酸素のほうが、ずっと多いんだよ。たとえば、100メートル四方(しほう)の土地にカシやシイなどの木があるとすると、1年間に30トンの二酸化炭素を取りこんで、22トンの酸素を出すのだそうだ。これは人が80人、1年に呼吸する量になるよ。植物が酸素を作ってくれるおかげで、私(わたし)たちはきれいな空気が吸えることを感謝(かんしゃ)しなくちゃね。
森がなくなると空気が汚(よご)れてしまう?
植物は酸素(さんそ)を出して、空気をきれいにしてくれる。人や動物たちにとっても、植物は大切なものだ。それなのに今、植物が危機(きき)に直面している。

日本や世界では、森林や自然が破壊(はかい)されている。日本では山を切り開いて道路を作り、レジャー施設(しせつ)を作るために木が切られている。世界でも木材をどんどん切り出して、熱帯林が次々と破壊されている。これまでの50年で、熱帯林の半分がなくなったといわれているよ。
こんな森林破壊を続けていると、地球はどうなってしまうのかな?二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸(す)ってくれる植物がないと、二酸化炭素がどんどん増(ふ)えてしまう。人や動物は、きれいな空気を吸うことができなくなる。これは困(こま)ったことになるよね。
大気汚染(おせん)ってなに?
地球をとりまく大気の汚(よご)れが、問題になっている。大気を汚すガスが、空気中に増(ふ)えることを大気汚染(たいきおせん)といい、いろんな問題が起きているんだ。でも、その原因(げんいん)は、もともと人が作ったものだよ。

大気が汚れる大きな原因は、ものを燃(も)やすために起こる。石油や石炭を燃やしてエネルギーにしたり、大量のゴミを燃やしたりすると、大気を汚す物質(ぶっしつ)が作られる。中でも工場の煙(けむり)や自動車の排気(はいき)ガスには、さまざまな汚染物質が含(ふく)まれているよ。
そんな汚染物質のひとつ、窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)は、光化学(こうかがく)スモッグの原因になることがわかっている。植物を枯(か)らしてしまう酸性雨(さんせいう)も、窒素酸化物が原因だ。自動車がたくさん通る道路や工場の近くは、大気の汚れがひどい。だけど、近くに大きな道路や工場がなくても、汚れた空気は風で運ばれてしまうんだよ。
空気が汚(よご)れると体によくないの?
大気が汚(よご)れると、それを吸(す)っている私(わたし)たちの体は、いったいどうなってしまうのかな?汚れた空気の中で生活していると、のどや肺(はい)をいためる原因(げんいん)になる。慢性気管支炎(まんせいきかんしえん)や肺気腫(はいきしゅ)などの病気になることだってあるよ。

自動車の排気(はいき)ガスや工場から出る汚染物質(おせんぶっしつ)が、太陽の光を受けると、光化学(こうかがく)スモッグが発生する。光化学スモッグが発生すると、目がちかちかして痛(いた)くなることがある。日ざしが強い日などは光化学スモッグが発生しやすいから、外ではげしい運動をしないように気をつけよう。
日本では1960年代の高度経済成長期(こうどけいざいせいちょうき)に、工場がたくさん作られた。その時、工場からの排出(はいしゅつ)ガスによって大気が汚染され、全国で公害が発生したんだ。三重県四日市や神奈川県の川崎(かわさき)市では、ぜんそくや気管支炎などの病気にかかる人がたくさん出た。これらは四日市市(よっかいちし)ぜんそく、川崎ぜんそくと呼ばれているよ。
空気が汚(よご)れると地球はどうなるの?
汚(よご)れた空気につつまれていると、地球はいったいどうなってしまうのかな?大気汚染(たいきおせん)のせいで、地球の環境破壊(かんきょうはかい)が心配されているよ。

よくいわれているのが、地球の温暖化(おんだんか)だ。工場などでものを燃(も)やすと、二酸化炭素(にさんかたんそ)などのガスがたくさん出る。二酸化炭素は熱をにがさないため、気温を上げてしまい、異常気象(いじょうきしょう)などの原因(げんいん)になってしまうんだ。
酸性雨(さんせいう)も汚染物質(おせんぶっしつ)が原因だよ。工場や自動車から排出(はいしゅつ)される汚染物質が雲に取りこまれ、酸性の雨をふらせる。そして森林や農作物が枯(か)れるなど、さまざまな被害(ひがい)をおよぼしてしまう。
オゾン層の破壊も大きな問題になっている。太陽からの有害な紫外線(しがいせん)を防(ふせ)いでいるのが、オゾン層(そう)。スプレーなどに使われているフロンガスは、そのオゾン層を壊(こわ)してしまう。そうすると地球に紫外線がふりそそいで、生き物に害が出てしまうんだよ。
空気を汚(よご)さないためにどんな工夫をしているの?
汚(よご)れた空気につつまれていると、地球はいったいどうなってしまうのかな?大気汚染(たいきおせん)のせいで、地球の環境破壊(かんきょうはかい)が心配されているよ。

自動車は、エンジンを改良(かいりょう)したり、浄化(じょうか)装置を取りつけたり、汚染物質を減らす努力をしてきた。排気(はいき)ガスを出さない電気自動車(でんきじどうしゃ)が増えてきて、今ではたくさんの人が使っているよ。電気自動車は、走るときに二酸化炭素(にさんかたんそ)を一切(いっさい)出さないから、空気をきれいに保つのにとてもいいんだ。
そのうえ、ハイブリッド車も人気だよ。ハイブリッド車はエンジンとモーターで走るから、二酸化炭素(にさんかたんそ)の排出量(はいしゅつりょう)が少なくて、環境にやさしい車なんだ。
大気を汚さない、新しいエネルギーの研究も進んでいるよ。火力発電では石油、石炭、天然ガスを燃やすことで二酸化炭素(にさんかたんそ)が出てしまうけれど、風の力を利用した風力発電、太陽の光を利用した太陽光発電、地下の熱を使った地熱発電など、環境にやさしいエネルギーが注目されているんだ。これらの再生可能(さいせいかのう)エネルギーは、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の防止にも役立つし、将来のエネルギー問題の解決にも期待されているんだ。
空気を汚(よご)さないためにできることってなんだろう?
空気を汚(よご)さないために、私(わたし)たちが毎日の生活でできることはたくさんあるよ。大気汚染(おせん)の主な原因(げんいん)は、石油や石炭などを燃(も)やすことにあるから、なるべくこれらを使わないようにしよう。自動車はなるべく乗らないようにする。家でもむだな電気、ガス、石油を使わないように、こまめに電源(でんげん)を切り、冷暖房(れいだんぼう)を使いすぎないように気をつけよう。

ゴミを捨(す)てると、それを燃やすために有害物質(ゆうがいぶっしつ)を作ることになる。それだけでなく、製品(せいひん)を作るためにかかった労力や燃料が捨てられることを忘(わす)れないでね。ゴミを増(ふ)やさないためにも、買い物は本当に必要なものか考えて。ゴミが出た時はリサイクルできるように、きちんと分別しよう。ほかにも植物を育てたり、自然の中ですごすなど、地球にやさしい生活をしたいね。