通信ってなに?ネットワークってなに?
わたしたちのくらしの中には、いつもさまざまな情報(じょうほう)が飛びかっている。知らない国のニュースや、近くのできごと、天気予報(てんきよほう)…。このような情報を伝える方法を、通信とよぶよ。

情報を伝える人と受け取る人がおたがいに見えるなら、言葉や身ぶりや手ぶりで伝えることができる。でも、遠く離(はな)れたところではそうはいかないね。そこで、人はさまざまな通信方法を使って、情報を伝えてきたんだ。むかしなら使者を送って口で伝えたり、煙(けむり)を出して伝えたり、太鼓(たいこ)などをたたいて音を出したりしていたよ。
現代(げんだい)の通信は、電気や光などを使って遠くにすばやく届(とど)けられる。それは通信ネットワークが発達しているおかげだ。ネットワークとは、網(あみ)の目のようにはりめぐらされた組織(そしき)のこと。網の目のようにみんながつながっていて、情報を伝えることができるしくみだ。ネットワークとは、ラジオやテレビ放送のことをさすこともあれば、たくさんのコンピュータをむすんだコンピュータネットワークをさすこともあるよ。
昔の人はどうやって情報(じょうほう)を伝えたのかな?
遠くにいる人に情報(じょうほう)を伝えたい時、昔から使われていた通信って何だと思う?それは、文字を使って伝えること。壁(かべ)に絵や文字を書いて記録(きろく)したり、手紙を書いて伝えたい相手に送ったりした。鳩(はと)に手紙をつけて相手に届(とど)ける、伝書鳩(でんしょばと)というものもあったそうだよ。

日本では、手紙や荷物などを送り届ける飛脚(ひきゃく)という人がいた。飛脚を使った通信は、鎌倉(かまくら)時代に始められ、江戸時代の終わりごろまで続いたんだ。そして、明治になってからできたのが、郵便制度(ゆうびんせいど)だ。郵便だと、手紙やはがきを書いたら、切手を貼(は)ってポストに入れるだけ。送りたい相手に、どこへでも届けてくれる。郵便制度は、今では世界中で取り入れられ、当たり前のように使っている。郵便制度は、近代の通信に大きな役目をはたしたんだね。
通信ネットワークはどんなふうに発達したの?
18世紀の中頃から、電気を使って通信できる装置(そうち)を作ろうと、たくさんの人が研究を始めた。そして1837 年に、アメリカのモールスが発明したのが電信機だ。これは電線を使って、遠く離(はな)れた場所に電気の信号を伝えるもの。信号は短い音と長い音を組み合わせることで、文字をあらわしたんだ。電信を使って知らせる電報(でんぽう)は、日本でも大正から昭和にかけて、よく使われていたよ。

電話が発明されたのは、1876 年。アメリカのグラハム・ベルが作ったんだよ。最初はいちいち交換手(こうかんしゅ)をよび出さなくてはならなかったけれど、遠く離(はな)れた人と話ができるなんて夢(ゆめ)のようだっただろうね。1980 年代には電話線を使わない携帯電話(けいたいでんわ)ができた。中継基地(ちゅうけいきち)を通して、電話機から電波を発信したり受信したりでき、外出先からでも電話で話せるようになったんだ。
1990年代になると、インターネットが普及し始めた。インターネットは世界中のコンピューターをつなぐ巨大な通信ネットワークだ。電子メールを送ったり、ウェブサイトを見たりできるんだ。今では、スマートフォンを使ってどこからでもインターネットにつながる時代になったんだよ。
通信技術は、これからもどんどん発展していくんだろうね。私たちの生活は、もっと便利で豊かになっていくと思うよ。
人工衛星(えいせい)がネットワークを作ってる?
世界で何かできごとがあれば、今のわたしたちはすぐに知ることができるよね。遠い外国にいる人とも、電話で話をすることができる。こうしたくらしを支(ささ)えているのが、世界中にはりめぐらされた通信ネットワークだ。では、どうやって世界中に通信ネットワークをつないでいるのかな。それは深い海の海底ケーブルや、宇宙(うちゅう)を飛ぶ人工衛生(じんこうえいせい)などが、つないでいるんだよ。

地球の自転と同じ早さで進んでいるから、止まっているように見える。そしていつも同じ場所から、天気の情報(じょうほう)や、画像(がぞう)を送っているよ。人工衛星から送られた電波は、地上にある衛星通信所(地球局)が受けて、送ったりする役目をしているよ。
人工衛星には、いろんな種類がある。その中でも、通信ネットワークを支えてくれる人工衛星のことを、実用通信衛星とよんでいる。実用通信衛星には、通信用のほかに、放送、気象(きしょう)などの人工衛星があるよ。
テレビのネットワークはどのように進化してきたの?
わたしたちが毎日見ているテレビ。電波を使う通信の中でも、特に身近なものだよね。1950 年代になると、画像(がぞう)を送る技術(ぎじゅつ)が開発され、テレビ放送が始まった。放送局から映像(えいぞう)や情報(じょうほう)が送られるようになり、それを一度にたくさんの人が見る。テレビのおかげで、情報は多くの人に、より早く伝わるようになったんだ。

テレビができた1950年ごろは、東京タワーなどのアンテナから、それぞれの家へ電波を送っていた。1980年代から始まった衛星放送は、地上の送信局から人工衛星(じんこうえいせい)へ、そしてそこから直接各家庭のテレビに電波を届けるしくみ。そして、たくさんのチャンネルがあるケーブルテレビができて、時代と共にテレビのしくみは変わっていったよ。
2000年代に入ると、日本ではアナログ放送からデジタル放送へ移行が進められた。デジタル放送は、電波にのせる信号をデジタルデータに変えて送るしくみだよ。これにより、画質(がしつ)や音質(おんしつ)の向上に加えて、より多くのチャンネルを楽しめるようになったんだ。
最近では、インターネットを使ったテレビ視聴も普及してきているよ。動画配信サービスを利用すれば、好きな時間に好きな番組を見ることができるんだ。また、テレビとインターネットがつながることで、視聴者が番組に参加したり、情報を受け取ったりすることも可能になってきているよ。
インターネットは世界につながるネットワークなの?
これからの通信ネットワークで主流になるのは、コンピュータネットワークだ。コンピュータ同士をむすんでいる、世界中にはりめぐらされたネットワーク。それが、インターネットだよ。もともとインターネットは、軍隊や大学などをつなげるネットワークだった。やがて、ほかのグループがどんどん加わって、世界中をつなぐネットワークになったんだ。だから、インターネットは「ネットワークのネットワーク」ともよばれているよ。

インターネットは、パソコンやけいたい電話を使って、国境(こっきょう)をこえてどこへでもネットワークにつながることができる。そして、ホームページなどからたくさんの情報(じょうほう)を知ることができる。大学の研究成果や、国の施策(しさく)、ニュースや天気予報(よほう)、個人(こじん)の日記などさまざまだ。電子メールを使えば、手紙のように切手を貼(は)ってポストに入れなくても、すぐに相手へ届(とど)けることができる。それも、世界中へすぐに送ることができるんだ。
町にあるネットワークをさがしてみよう!
わたしたちがくらす町の中にも、ネットワークでつながっているものがたくさんあるよ。まずは、駅に行ってみよう。指定席の切符(きっぷ)を買おうと思えば、どの席があいているのかすぐにチェックして買うことができるね。これは日本中の駅がネットワークでつながっているから、どの駅からも切符を予約することができるんだ。

銀行や郵便局(ゆうびんきょく)に、行ってみよう。ATM、つまり現金自動支払機(げんきんじどうしはらいき)があるよね。現金自動支払機では、自分があずけている銀行ではないところでも、お金をあずけたり引き出したりできる。これも、ネットワークでつながっているおかげだ。コンビニにも、銀行とネットワークがつながっているところがあって、そこでもお金を引き出すことができるよ。
会社に行くと、たくさんのコンピュータが、売り上げを管理したり、給料を計算したりしている。社内のコンピュータ同士はネットワークでつながっていて、同じビル内はもちろん、離(はな)れている本社と支店(してん)の間でも情報(じょうほう)をやりとりできる。また、会社の外にいてもノートパソコンなどを通じて、すぐに商品の在庫(ざいこ)を調べたり、注文を入れたりできるシステムが作られているよ。
インターネットとけいたい電話がコンビを組んだら?
わたしたちのくらしに、すっかり定着しているけいたい電話。けいたい電話はインターネットにもつながっていて、メールを送る手段(しゅだん)としても広く使われているね。カメラ付きのけいたい電話なら、写真も一緒(いっしょ)にメールで送ることができる。天気予報(よほう)やニュースも、けいたい電話から知ることができるよ。

けいたい電話からお金を振(ふ)りこんだり、残高を調べたりすることもできるよ。これは、けいたい電話がネットワークにつながっている証拠(しょうこ)だ。家のパソコンからでも同じように、お金を振りこんだり、お金をあずけたり、残高を知ることもできる。インターネット専用(せんよう)の銀行なんていうものもあるよ。
GPSけいたいを、持っている人もいるかもしれないね。道に迷(まよ)った時など、自分のいるところがわかるけいたい電話だ。これは人工衛星(じんこうえいせい)から、緯度(いど)と経度(けいど)などの情報(じょうほう)を電波で受け取って、今いる場所がわかるシステムだよ。迷子(まいご)になって、お母さんに場所を知らせたい時に、役立ちそうだね。
ネットワークの進歩はいいことばかりじゃないの?
コンピュータネットワークが世界につながるおかげで、わたしたちはいろんな情報(じょうほう)をかんたんに手に入れられるようになった。だけど、そのかわりに、新たな問題も起きているよ。
最近よく問題になっているのが、個人情報(こじんじょうほう)の流出だ。ネットワークを使って、会社などのコンピュータにアクセスして、その中の情報を盗(ぬす)む犯罪(はんざい)が増(ふ)えている。住所や電話番号などの情報が盗まれて、ダイレクトメールが次々と送られてきたり、銀行のパスワードが知られてお金を引き出されたり、個人情報が悪用されてしまうんだ。だから、インターネットを使っている時も、パスワードなどの大事な情報は人に知られないようにしようね。

また、コンピュータウイルスに感染(かんせん)して、パソコンのデータが壊(こわ)れてしまうという被害(ひがい)もある。コンピュータウイルスは、人のパソコンに勝手に入りこんで、パソコンを正しく動かなくしてしまうプログラムだ。メールなどを通じて、風邪(かぜ)のウイルスのように感染(かんせん)してしまう。知らない人から添付(てんぷ)ファイルが来たら、うっかり開かないように注意しよう。また、ホームページにアクセスするだけで、ウイルスに感染するサイトもある。これを防(ふせ)いでくれるのが、ウイルスワクチンソフトだよ。ウイルスワクチンソフトは、ハードディスクや受信したメールに、ウイルスが含(ふく)まれていないか見はってくれている。ウイルスワクチンソフトを定期的(ていきてき)に更新(こうしん)して、あやしいホームページには行かないようにしよう。
ユビキタスネットワークってなんのこと?
これからの社会は、ユビキタスネットワークの社会になるといわれているよ。ユビキタスには、もともとラテン語で「いろいろなところにちらばっている」という意味がある。そして、ユビキタスネットワークとは、どこにいてもコンピュータがあって、いつもネットワークでつながっている技術(ぎじゅつ)や環境(かんきょう)のことをさすんだ。

でも、コンピュータがいつもつながっているといっても、パソコンだけでつながっているのではないよ。ユビキタスでは、何にでもコンピュータをとりつけて、どこにでもかんたんにネットワークにつなげようとしている。たとえば電化製品(せいひん)など、あらゆる商品にコンピュータが入っていて、それらがみんなネットワークでつながっているんだ。想像(そうぞう)しにくいかもしれないけど、そんなに難(むずか)しく考えなくてもいいよ。パソコンが苦手な人や、年齢に関係なく、だれもが手軽に使えることを、ユビキタスはめざしているんだ。
小さなチップがネットワークになるってほんと?
ユビキタスの大きな特徴(とくちょう)にあげられるのが、「あらゆる場所にコンピュータを取りつける」ことだ。すでに電化製品(でんかせいひん)には小さなコンピュータが入っているけれど、これからますますコンピュータは小さく高性能(こうせいのう)になって、いろんな商品に取りつけられるようになるだろう。

そこでなくてはならないのが、ICチップだよ。ICチップはコンピュータの一種だけど、1ミリにも満(み)たない小さなチップの中に、さまざまなデータが組みこまれているんだ。たとえばこのICチップを、スーパーで売っている食べ物にとりつけたとしよう。この商品はいつどこで作られたかなど、商品の情報(じょうほう)をすぐに知ることができるよ。また、ICチップがついていると、商品が盗(ぬす)まれた時にも、どこにあるかすぐにわかる。お札(さつ)や入場券(にゅうじょうけん)にICチップをつけると、本物かどうかもすぐにわかるんだ。レジで買い物を精算(せいさん)する時も、ICチップの情報を読みとれば、今までのようにバーコードを通すより、もっと早く精算できるようになるだろうね。
ネットワークでつながる社会はどう変わるのかな?
最近、私たちの生活の様々な場面で、ネットワークを通じたサービスが普及してきているよ。自動車、電車、家電製品(かでんせいひん)に、どのようなネットワーク技術が取り入れられているか、見てみよう。
自動車に乗って高速道路の料金所を通る時、すいすい通れるゲートがあるのを知っているかな。これにはETCETC(イーティーシー)といって、ノンストップ自動料金支払い(りょうきんしはらい)システムが入っているよ。ETC 専用(せんよう)ゲートに設置(せっち)されたアンテナと、ゲートを通る車の車載器(しゃさいき)が無線で通信をおこなって、自動的にお金が払(はら)えるシステムだ。

電車に乗る時も、IC カードを使うのが当たり前になってきたね。カードをかざすだけで改札を通れて、運賃の支払いもできる。とても便利だよね。でも、今はそのIC カードの機能もスマートフォンに入れられるようになったんだ。スマートフォンをかざすだけで、電車に乗れるようになったんだよ。しかも、電子マネーを使えば、コンビニやスーパーでの買い物、飲食店での支払いまで、スマートフォン1 つでできるようになったんだ。
家の中でも、ネットワークにつながる家電が増えてきているよ。外出先でもスマートフォンからエアコンの温度を調整したり、テレビの録画予約をしたりできるようになったんだ。
家電製品の分野(ぶんや)でも、インターネットにつながる冷蔵庫(れいぞうこ)や電子レンジなどが開発(かいはつ)されている。これらは「スマート家電」と呼ばれ、冷蔵庫が中の食品の情報を管理(かんり)し、賞味期限(しょうみきげん)が近づいているものを教えてくれたり、電子レンジが自動で最適(さいてき)な調理(ちょうり)方法(ほうほう)を提案(ていあん)してくれたりするんだ。
ユビキタスの未来をのぞいてみたら?
近い未来に、ユビキタスのくらしがどんなふうになるのか、ちょっとのぞいてみよう。家にある電化製品(せいひん)には、それぞれにコンピュータが組みこまれ、無線によってつながっている。それをとりまとめているのが、けいたい電話だ。

外出先から、家のエアコンがつけっぱなしになっていないか、鍵(かぎ)はかかっているか、心配になったらどうする?けいたい電話があれば、すぐに確認(かくにん)できるようになるだろう。スーパーに買い物に行ったら、冷蔵庫(れいぞうこ)の中に何が入っているか、けいたい電話で調べて、たりないものを買うことだってできる。留守(るす)中にはお掃除(そうじ)ロボットが、家の中を掃除してくれるかもしれないよ。
近くに病院がないところでは、インターネットを通して、家にいながら診療(しんりょう)を受けることができるようになるかもしれないね。体にセンサーをつけると、血圧(けつあつ)や脈拍(みゃくはく)などの健康状態(けんこうじょうたい)がすぐに調べられ、ネットワークを通して情報(じょうほう)が病院に送られる。小さな診療所で病人が出た時も、インターネットを通じて大きな病院から指示(しじ)があれば、治療(ちりょう)の助けになるね。
ユビキタスによって、離(はな)れている人たちがつながって、人にやさしい社会になったらいいよね。