大事なのは、専門スキルよりも学ぶ気持ち
7回の支援で広がったワークスタイルへの考え方
従業員プロボノ参加者 飯田芽衣さん
入社2年目からほぼ毎年プロボノへ参加している飯田芽衣さん。「活動拠点」「支援先NPOの活動内容」「プロジェクト内容」の3つを軸に支援先を探し、経験を積んできた。飯田さんにとってプロボノは、誰かを助ける体験だけでなく自分の生き方について考えるきっかけにもなったそう。7回の経験を通して感じたことや、そこから見えた課題について聞いた。
深く支援先に寄り添うために決めた3つの軸
学生の頃からボランティア活動が好きで、入社後に参加したプロボノの社内説明会で詳細を知り「これだ!」と感じたことを今でも覚えています。2016年に初めてプロボノへ参加し、大阪の釜ヶ崎に活動拠点を置くココルーム(NPO法人こえとことばとこころの部屋)のマーケティング調査に携わった後、継続的にプロボノに参加するようになりました。
支援先は、3つの軸を持って選ぶようにしています。一つ目の視点は「活動拠点」。私は社会人になってから関西に来たので、まずは自分の生活する地域について知りたいという想いがありました。自ら足を運べる範囲で、団体に寄り添った活動をしたいと思ったことも理由の一つです。二つ目の視点は「支援先NPOの活動内容」。現在は「環境問題」と、プロボノに参加するうちに興味が芽生えた「子ども支援」をメインに選んでいますが、自身の興味のあるテーマを選ぶことで、より深く支援先へ入っていくことができると考えています。
飯田 芽衣さん
そして三つ目は「プロジェクト内容」。日頃は社内の情報システム(IT)に携わる仕事をしていますが、プロボノは日常業務で経験したことがない内容にも挑戦できるチャンスだと思い、ITに絞らず、興味がある分野を選ぶようにしています。これまでも営業資料の作成や団体パンフレットの作成など、「自分の業務とは直結しないもの」をあえて選んできました。実際に活動してみると、日常業務と直結していなくても、「NPOの困りごとを探り、解決する手段を提供する」という点では繋がりを感じますし、自分の新たな可能性を探れる機会になっています。
寄付金管理をスムーズにする仕組みづくりから実務まで経験。
特に印象に残っているプロボノ活動は2018年の「認定NPO法人こどもの里」です。この団体は大阪の西成区を拠点として、学童保育やファミリーホーム、自立援助ホームなどの事業を行なっています。また、緊急一時宿泊所や中高生の居場所事業等の自主事業など、子どもに関わるさまざまなサポートに長年取り組んでいます。
団体の自主制作映画「さとにきたらええやん」の上映や講演会をきっかけに、たくさんの方から寄付金をいただくようになるも、日々の活動をしながら寄付金管理をスムーズに行うことが難しく、効率的に寄付金を管理する仕組みづくりが急務でした。
プロボノの取り組みの中で、メンバーそれぞれの知恵やスキルを出し合い、エクセルを使って、寄付者や寄付金の情報を一元化するシートを作成し、更に、寄付者に送付する御礼状や領収書の作成を自動化するマクロ開発をしました。
また寄付金管理フローの提案だけにとどまらず、実際にチームの皆でデータ入力やお礼状発行の実務も取り組むことになりました。作ったフローを体験しながら、よりスムーズに使うことができるようマニュアルの追加修正や、操作説明を行うなど、現場へ寄り添う経験ができたことが嬉しかったです。日頃の社内業務ではシステム導入までがメインで、導入後の実務までは関わることは少ないため、大変印象に残っています。
決まったゴールだけでなく、真の課題を見つけるには?
2019年からは社外プロボノへも参加するようになりました。2024年に参加した「認定NPO法人hapiness」では、初めてプロジェクトマネージャーを担当し、主にプロジェクトの全体管理と、支援先との窓口を担いました
サービスグラントの事前研修で「プロボノでのプロジェクトマネージャーは、上司部下のような上下関係ではない」と教えていただいたことが非常に印象に残っています。ミーティングでは、社内の業務でも活用しているアイスブレイクを取り入れながら、メンバーが対等な立ち位置で活動を進められるよう、話しやすい雰囲気づくりを心がけました。役割に応じて仕事を割り振るのではなく、対話を通してメンバーができること・やってみたいことを引き出しながらタスク分担をしていく進め方は、社内の業務でも意識するようになり、日常業務とプロボノ活動で好循環が生まれたと感じています。
「hapiness」は、子ども食堂を中心に女性のシェルターの運営などもされている団体です。
毎年、複数の助成金を申請して活動資金を得ており、各助成金の用途確認・予実管理・活用報告書の作成など、助成金管理のための業務フロー改善が課題でした。
業務フロー理解のためにヒアリングを重ねていくと、こども食堂の運営をしているボランティアは学生が多く、就職と同時に卒業するメンバーが多いことが判明しました。
そこでスコープを広げ、業務引き継ぎのためのタスクチェックリストや業務の鳥観図作成にも取り組みました。
7回のプロボノ経験を通して思うことは、実際に団体の活動拠点に赴き、時間をともにし、丁寧なヒアリングを重ねることが大事だということです。その結果、団体も気づいていなかった課題が見え、よりよい提案・問題解決につながると感じています。
飯田さんが参加した社外プロボノ 認定NPO法人 hapiness、FC岸和田、認定NPO法人 環境市民での様子
個人と企業でできることを意識しながら、より深い活動を目指す
プロボノを通して大きく変わったことは、キャリアを“会社だけ”に限定して考える発想から抜け出せたことです。
仕事をしながらでもさまざまな形で社会課題へ取り組めることがわかり、これからも自分のライフワークとして、積極的に地域社会へ関わる生き方をしていきたいと考えるようになりました。
また、プロボノ参加を通じて、世の中にある課題は企業、NPO、行政ごとにできることが棲み分けされており、連携が弱い部分があると実感しました。将来的にはそれぞれをつなげるような働きかけをパナソニックグループの一員として取り組めたらと考えています。
プロボノは専門知識やスキルを活かすというイメージがあるかもしれませんが、実際はエクセルやパワーポイントなど一般的なオフィスツールを使ってできることがたくさんあります。何よりも、自分が学ぶ気持ちがあれば誰でも参加できるものだと感じています。
平日は仕事、休日はプロボノ活動と考えると一見大変に感じるかもしれませんが、双方が刺激になり、リフレッシュにもなります。特に社外のプロジェクトでは、自分とは全く違う働き方や経験・スキルを持つ方と出会える新鮮さがあり、自分も新しいことにどんどん挑戦してみようと思うようになりました。何より各団体が持つ想いとその熱量には、いつも驚かされます。プロボノに参加することで、日々の仕事をより一層自分ごと化し、前向きに取り組もう!という気持ちにもなれました。
プロボノを通して社会課題を知るだけでなく、人生設計までも見直すことへつながった飯田さん。毎年参加することで、自身の知識や人脈も確実に広がっているように感じ、「学ぶ気持ちが大切」という言葉の重要性を感じる。今後新たに興味があるテーマは「地域おこし」や「農業」ということで、丁寧なヒアリングを持って、どのような課題を見つけ提案をしていくのか、先の広がりに期待したい。
飯田さんが参加した社内のプロボノプロジェクト
"日雇い労働者のまち"といわれる西成区釜ヶ崎にて、アートと社会の関わりを探り、人と人、人と地域、人と社会をつなぎ、表現を媒介に自律的な生き方を進める社会に貢献することをミッションに活動を展開しているNPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)。従業員4名が、ココルームが運営する「ゲストハウスとカフェと庭」の稼働率アップに向けたマーケティング調査に取り組みました。
大阪の西成区を拠点として、学童保育、つどいの広場、ファミリーホーム、自立援助ホームなど行政から委託を受けて行う事業のほか、緊急一時宿泊所、中高生の居場所事業等の自主事業など、子どもに関わるあらゆるサポートを長年にわたり取り組む「子どもの里」。従業員7名がよりスムーズに、効率的に寄付者へのフォローや寄付管理ができる体制を整えることを目標に支援しました。