ブレない映像美を世界に訴求

ビデオカメラ「ブレンビー」

登録年:2014年
登録番号:00165
品番:NV-S1
製作者:松下電器産業株式会社
製作年:1990年

登録基準:
1.-【ロ】国際的に見て日本の科学技術発展の独自性を示すもの
2.-【ロ】日本経済の発展と国際的地位の向上に一時代を画するような顕著な貢献のあったもの

ファジイ・ジャイロの原理図 1.撮影した映像信号から「手ブレベクトル」を検出 2.手ブレに応じて「切り出し枠」を移動 3.切り出した画像をTV 画枠に拡大

1980年代後半に入ると家庭用ビデオカメラ市場が本格的に立ち上がりはじめ、運動会や旅行などさまざまな生活シーンで活躍するようになります。各社が差別化を図る中、小型軽量化への関心が高まり、パスポートサイズの小型8ミリビデオカメラが大ヒットしていました。

それに対抗すべく当社も小型化に挑みますが、当社が採用していたVHS-C方式は、ビデオカセットの大きさだけでも、競合する8ミリビデオ方式より一回りも大きく、小型化には限界がありました。
そこで当社は別の軸での優位性確立にねらいを定めます。白羽の矢を立てたのは手ブレ補正技術でした。ビデオカメラの小型軽量化が進むと、撮影時の手ブレが起きやすくなるからです。

当社はちょうどその頃、手ブレ補正技術を搭載した民生用ビデオカメラを北米市場に投入し、これがヒット商品になっていました。これは、フルサイズのVHSカセットを使用し、肩にのせて撮影を行う大型のビデオカメラで、光学式の手ブレ補正技術を採用していました。体格の大きいユーザーが多い北米市場では、小型軽量化が優先課題ではなかったからです。当社にはこうした実績がありましたが、これをそのまま日本市場に展開するわけにはいきませんでした。光学式の手ブレ補正機構を搭載すると、どうしてもカメラが大きくなり、小型軽量化を望む声の強い日本市場には適さないからです。

この難関を突破すべく、技術陣は、VHS-C方式の小型ビデオカメラにも搭載できる、世界初の電子式手ブレ補正技術「ファジィ・ジャイロ」を粉骨砕身の思いで開発。手ブレによりカメラが動いたのか、被写体が動いたのかを即座に判断してブレを補正する技術です。1990年、これを搭載したビデオカメラ「ブレンビー」が誕生しました。

「ブレないムービー」という意味がこもった奇抜でユーモラスなネーミングに、寝る間を惜しんで開発に取り組んでいた技術者たちは、複雑な思いを抱きましたが、その思いはいい意味で裏切られます。「ブレンビー」発売後、大々的に展開されたテレビ・コマーシャルで、振付師のラッキー池田さんが踊りながら「ブレンビー・ブレンビー」と連呼し、鈴木保奈美さんが「小さいだけじゃ、もうダメ!」という決め台詞を放つCMが大好評を博し、ブレンビーは一気に人気商品になりました。

ブレンビーの登場により、手ブレ補正技術はビデオカメラに必須の機能として認知されるようになり、競合メーカーも次々と採用。さらにこの技術は、その後登場し、急速に普及した「デジタル三種の神器」の一つ、デジタルカメラの手ブレ補正技術へと進化していきました。

※当時、ビデオカメラは、ムービー、もしくはビデオムービーと呼ぶのが一般的でした。

北米向けに商品化したモデルの手ブレ補正ユニット(1988年)

ブレンビーのテレビCM

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