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テーマ:車載

リバブレーションチャンバー法の活用法① 設計者の試験負担軽減と製品のEMC品質向上!


2025年4月15日


車載EMC評価担当の橋坂です。

UN ECE Regulation No.10 Rev.7が2025年6月に発効されます。
この新しい規制により、イミュニティの試験法にリバブレーションチャンバー(RVC:Reverberation chamber)法が追加されます。

従来試験法のアンテナ照射法に代わるRVC法は、試験の効率性と精度を大幅に向上させることができます。
RVC法では、あらゆる方向から電磁波を照射することが可能ですので、供試品の向きを変える必要がありませんし、チャンバー内には複数本の送信アンテナが常設されているため、アンテナ位置や偏波の切り替え作業が不要です。

アンテナ照射法では、アンテナ位置の変更、アンテナ偏波の変更、供試品向きの変更など、試験以外の作業が多く設計者への負担も大きかったと思います。RVC法を採用すれば試験以外の作業が削減できますので、設計者への負担を大幅に軽減できます。

従来試験法とリバブレーションチャンバー法の比較

また、ECE R10-07ではイミュニティ試験の上限周波数が2GHzから6GHzまで拡大されますので、現状よりも試験工数が増加することが予想されます。
当社の試算では、試験条件にもよりますがRVC法を採用することで試験時間を短縮できる可能性がありますので、ECE R10-07に移行する際に、RVC法への切り替えを検討することをお勧めします。

試験条件

試験時間(当社試算)

アンテナ照射法

◆400MHz~1GHz
・アンテナ位置:①ハーネス前 / ②供試品前
・供試品方向:①1方向 / ②6方向
◆1GHz~6GHz
・アンテナ位置:供試品前
・供試品方向:6方向
照射時間:2秒

◆その他:アンテナ交換、偏波変更、供試品向き変更などの作業が必要

7時間

RVC法

◆400MHz~1GHz
・スターラーステップ:12
・供試品方向:1方向

◆1GHz~6GHz
・スターラーステップ:6
・供試品方向:1方向

◆照射時間:2秒

◆その他:アンテナ交換などの作業は一切無し

6時間

RVC法は、試験の効率性を高めるだけでなく、設計者の試験負担を軽減し、より正確な試験結果を提供することができます。
製品のEMC品質の向上にも繋がりますので、RVC法の活用をご検討下さい。

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