2012年4月15日に、「Panasonic NPOサポートファンド(環境分野)」の組織診断助成を受けて、集合研修形式で組織診断を実施するグループコンサルティングコースの第3回集合研修を開催しました。
社会課題の解決の促進に向けて市民活動が持続的に発展していくために、パナソニックは2001年より、NPOのキャパシティビルディング(組織基盤強化)を支援してきました。そして10年目の節目となる2011年からは、プログラムを改定し、「組織診断助成」と「キャパシティビルディング助成」の2段階で支援しています。
「組織診断助成」はさらに「個別コンサルティングコース」と「グループコンサルティングコース」に分かれています。
グループコンサルティングコース「Panasonic NPOサポート マネジメント イノベーションプログラム」では、コンサルタントが個別に団体の組織診断をサポートすると同時に、3~5団体を一組とし、座学、ワークショップ、ピアラーニングを組み合わせた集合研修を行います。
この日は「グループコンサルティングコース」で組織診断に取り組む、環境分野で活躍する3団体の代表者が参加しました。
各団体に割り当てられたのは1時間。初めに、昨年11月11日の「キックオフミーティング」から5カ月かけて取り組んできた「組織診断」の結果や、抽出された優先課題とその解決策を代表者が15分ほどにまとめて発表しました。その後の質疑応答では、ほかの団体やコンサルタントとの間で活発なやり取りが行われました。
各団体からの発表終了後には1時間の座談会が設けられ、3団体の皆さんから「組織診断助成」を受けての率直な感想が寄せられました。その様子をお伝えします。
ホールアース研究所
事務局長 山崎宏さん
特定非営利活動法人 ホールアース研究所は、法人設立以前の期間も含め、約30年にわたって、国内外の子どもから大人までを対象に、自然体験プログラムや環境教育などを提供してきました。現在は有機無農薬野菜の栽培にも取り組んでいて、「農業」や「健康」といった分野への展開も視野に入れています。
事務局長の山崎宏さんは「組織診断助成」に応募したきっかけを次のように語りました。
「組織が創立30周年を迎えるに当たり、代表が変わるという大きな曲がり角を迎えました。描いてきたミッションやビジョンはありましたが、このままでたどり着けるのか不安でした。まずは自分自身を知り、課題があれば、それをただして新たな気持ちで進んでいきたいと思い、組織診断をそのきっかけにしようと応募しました」
株式会社ピッキオは1992年からエコツーリズムを実践しており、特定非営利活動法人ピッキオはその中で生態系保全や野生動植物の保護管理を担う組織として設立されました。2000年以降は長野県軽井沢町の委託を受けてクマの被害対策を行っています。
理事長の桒田慎也さんは「人とクマが共存できる町づくりを目指し、奔走してきた10年」を振り返り、「今の事業を維持・拡大し、次のステージへ上がるために参加しました」と、その動機を述べました。
「ソーシャルビジネスの手法で、地域の資源を維持管理しながら、持続的な社会や観光モデルをつくっていきたいとの思いがありました。そのために足りないものがあるなら補い、外部からノウハウを得たいとの希望にちょうどフィットする形で、組織診断助成との出会いがありました」
ピッキオ
理事長 桒田慎也さん
NPO砂浜美術館
理事長 村上健太郎さん
特定非営利活動法人 NPO砂浜美術館は、拠点である高知県黒潮町の砂浜を利用して「Tシャツアート展」を開催するなど、地域の資源を活かした「新しい豊かさの提案」を行ってきました。1989年に設立後、2003年からさまざまな背景をもつ4団体が合併し、連携は取れてきていました。
しかし、理事長の村上健太郎さんによれば、「この事業をなぜ行っているのか、組織全体の中にはどのような役割があるかまでは共有しきれていなかった」といいます。
「さらに昨年、23年間務めた理事長が交代するという節目を迎えるに当たり、NPOサポートファンドの公募説明会を兼ねたワークショップに参加しました。これがきっかけとなって、組織診断助成につながりました」