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NPOマーケティングフォーラム2015開催
NPOがより高い成果を挙げるため、マーケティングを体系的に学び、問題解決力を養っていく「NPOマーケティングプログラム」。
今年で8回目の開催となりますが、本年は、教育、地方活性、育児支援などの課題に取り組むNPO7団体が参加。5月に行われた第1回目の研修以降、7カ月にわたり自分たちの課題を解決する施策に取り組みました。
2015年12月5日、東京・虎の門で、NPOマーケティングフォーラム2015が開催され「終わらない実験」と「顧客との対話」と題し、成果報告とスペシャルゲストによる講演が行われました。
第1部 サービス・商品を顧客と一緒に開発する
まず第1部では、NPO法人ケンパ・ラーニング・コミュニティ協会、認定NPO法人ファミリーハウス、NPO法人コムラボ、認定NPO法人ヒマラヤ保全協会がそれぞれの事例を発表しました。
多くの人たちの心に響く、親しみあるHPにリニューアル!
小児がんなど難病の子どもと家族のための宿泊施設を支援する、ファミリーハウス。同団体の千葉説朗さんが説明しました。
「1991年に医療従事者たちの活動からスタートし、93年に日本初となるファミリーハウスを開設しました。現在は都内に12施設、58部屋あり、2014年度の実績で1100家族のみなさんにご利用いただいています。わたしたちの活動をもっと知ってもらい、支援者を増やしていきたいという思いから、HPをリニューアル。『ぐりとぐら』などで知られる絵本作家の山脇百合子さんに挿絵を描いていただき、一目で分かるインパクトあるビジュアルメッセージの強いサイトに生まれ変わりました。7カ月間の研修を通じて、活動を理解してくださる層の拡大という新しいゴールを設定。今後もマーケティングのノウハウを生かし、多くの人たちに心に響くメッセージを調査し、発信していきたい。」
「greenz.jpが寄付者と取り組む、ほしい未来のつくり方」
持続可能なメディアを実現するためには?
その後、「ほしい未来」をつくるためのヒントの共有をコンセプトにさまざまな記事をウェブ配信するNPO法人グリーンズの植原正太郎さんが講演。「greenz.jpが寄付者と取り組む、ほしい未来のつくり方」をテーマに語りました。
植原さんは、持続可能なメディアの実現に向けた方法論として、広告ではなく、読者からのサポート(寄付)を提案。
「ファンドレイジングで大切なことは、①寄付を通じて実現したいこと、②寄付の使途の分かりやすさ、③寄付者にとっての価値——を明確することが大事」と自らの体験をもとに解説しました。
第2部 愛されて成長するサービス・商品の条件
第2部では、NPO法人プレパークせたがや、NPO法人キッズドア、NPO法人伊能社中が登壇し成果を報告しました。
子どもの遊び場を真剣に考えるセミナーを実現
1979年より東京・世田谷区を拠点に屋外の冒険遊び場=プレパークを開発・運営するプレパークせたがやは、「公園活性化セミナー」の成果を発表した。同団体の大垣内弘美さんが自らの取り組みを振り返りました。
「今回のプログラムでは、自団体だけでは突破できない企画を公園技術者の方々と協働開発することによって大きな成果を出すことが出来た。公園づくりのプロフェッショナルの方々が知りたかったのは「公園ハードユーザーの声」でした。まさに、その声は、私達冒険遊び場の運営に関わっている者が語れる声でした。そして、インタビュー調査の過程で『公園技術者、行政、市民が利害関係の枠を超えて学びあう機会が欲しい』というニーズを掴むことが出来、セミナー開発につながりました。マーケティングの極意である『ニーズ把握』を体感し、試行を素早く回転させる大切さも学び、今後につなげていきたい。」
「マーケティングを捨てよ。サポートへ出よう」
7団体のプレゼンテーションが終了した後は、元マイクロソフトでベンチャー支援を専門とする馬田隆明さんがフェイスブックやアップルなどの世界的な企業の実例をもとに、スタートアップ企業の特徴を解説しました。
「結局のところ、ユーザー獲得に方法論はない。自分たちのプロダクトやサービスに合った顧客を探していくこと、さらに顧客に対する理解を深めていくことを継続していくしかない。」
そして閉幕・・・
白熱した6時間にわたるイベントもついに閉幕のとき
その後は交流会に移行し、ゲスト、講師、参加者、一般来訪者約100名が情報交換をし、マーケティングへの理解を深めました。
こうして全プログラムが終了し、約6時間という長丁場にわたるイベントは閉幕。
なぜNPOにマーケティングが必要なのか?
最後に、多摩大学総合研究所教授で、本プログラム講師の松本祐一さんが、7カ月にわたりマーケティングを学んできた参加者にエールを送りました。
「なぜNPOにマーケティングが必要なのか?理由は3つあります。まず1つめは多くのステークホルダーから共感・納得を得るため。2つめは、モノではなくコトを提供するNPOは自らの成果を明確にする必要があるため。そして最後、3つめは5万団体ものNPO法人が存在する中、存在感を示す必要があるためです。プログラムは終わりますが、これからもマーケティングの視点を持ちつづけ、成果につなげて下さい。」