自己変革と発展につながる「組織診断のすすめ」Panasonic NPOサポートファンド キャパシティビルディング助成 贈呈式キャパシティビルディング フォーラム

2012年7月5日、東京都江東区有明のパナソニックセンター東京にて、Panasonic NPOサポートファンド「キャパシティビルディング助成」の贈呈式とキャパシティビルディングフォーラム「組織診断のすすめ」を行いました。
パナソニックは、社会課題の解決の促進に向けて市民活動が持続的に発展していくために、2001年にNPOサポート ファンドを設立し、NPOのキャパシティビルディング(組織基盤強化)を支援してきました。さらに2011年にプログラムをリニューアルし、「組織診断助成」と「キャパシティビルディング助成」の2段階で支援しています。

この日は、第1段階の「組織診断助成」を修了した14団体の中から、選考を経て第2段階の「キャパシティビルディング助成」へ進むことが決定した9団体に助成通知書が贈呈されました。内訳は環境分野4団体、子ども分野5団体です。

贈呈式の後には、「組織診断のすすめ」と題する「キャパシティビルディング フォーラム」を開催しました。パネリストには、助成診断に取り組んだ団体の代表とNPOマネジメントに取り組んできた支援者5人を迎えました。
NPO、NGO、中間支援組織、一般企業の方など約110人が参加した会場からも積極的に質問が寄せられ、活発な議論が行われました。その模様を報告します。

見たくないものを見て、聞きたくないことを聞き、 言いたくないことを言う組織診断

贈呈式の冒頭、環境分野の選考委員長を務めた特定非営利活動法人 日本エコツーリズムセンター代表理事の広瀬敏通さんに、選考を振り返っての総評をいただきました。
「組織診断は組織の存在基盤、存在意義を問い直す、いい機会になったのではないでしょうか。これを社会に見える形で、活動にどう表していくかが今後の大きなテーマです。変化していく時代の中でいかに人を巻き込み、自分も巻き込まれていくか。自分たちを縛る限界の壁を突破することで、どんな可能性が見えてくるか。民間の組織が社会に明らかな存在意義を示すためには、この二つが欠かせないポイントとなってきます」

日本エコツーリズムセンター
代表理事 広瀬敏通さん

NPOサポートファンド協働事務局を代表し、特定非営利活動法人 市民社会創造ファンド運営委員長の山岡義典さんから、助成団体への激励メッセージが送られました。

市民社会創造ファンド
運営委員長 山岡義典さん

「組織診断というのは見たくないものを見て、聞きたくないことを聞き、言いたくないことを言うことだと改めて感じました。できれば見ず、聞かず、言わずに済ませたいことを見て、聞いて、言葉にしてはっきりと言い、理事やスタッフ、関係する人たちと共有する。それでも5年後、10年後に振り返ったとき、『あそこで一歩踏み出してよかったね』と言えるような事業展開をしていってほしい。日本のNPOが、果たしてこのプログラムについていけるのかどうかわかりませんが、皆さんに実験台になっていただき、私もしっかり見届けていきたいと思います」

組織診断は漠然としていたものが見え、夢に近づくための一歩

「キャパシティビルディング フォーラム」には環境分野と子ども分野から、それぞれの代表がパネリストとして参加しました。
コーディネーターは、集合研修型の組織診断プログラム「Panasonic NPOサポート マネジメント イノベーション プログラム」をパナソニックと協働で開発したNPO法人パブリックリソースセンターの田口由紀絵さんです。

環境分野代表の特定非営利活動法人 NPO砂浜美術館は、高知県黒潮町で「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」というコンセプトのもと、地域資源である砂浜を利用したTシャツアート展などを行っている団体です。
理事長の村上健太郎さんは「目指している姿」がなかなか決まらず、苦労したといいます。
「強みと弱みを書き出すSWOT分析に取り組む中で、オリジナリティとユニークさ、イベントの集客力が強みである一方、アクセスの悪さ、中長期のビジョンのなさが弱みであるという、これまで漠然としていたものが見えてきました。またステークホルダー調査では、15人の町会議員と初めて一対一で話す機会を得て、思いもしなかった意見を多数いただきました。内部を積極的に提示することは、団体にとってプラスになるのだとわかりました」

NPO砂浜美術館
理事長 村上健太郎さん

CAPセンター・JAPAN
事務局次長 重松和枝さん

子ども分野代表 の特定非営利活動法人 CAPセンター・JAPANは「子どもの人権が尊重される暴力のない社会」を目指し、子どもへの暴力防止プログラムの普及に努めています。
事務局次長の重松和枝さんによれば、助成が決まったときは喜びより先に「面倒くさい」という怯えにも似た気持ちを抱いたといいます。
「そんな中、スタッフ13人で取り組んだ内部環境分析でしたが、これまで締め切りを守るのに苦労していた私たちが、初めて期限内に書類を提出できました。日常の業務に追われ、なかなかできなかった“夢を思い描く作業”を行えたことは有意義でした。またグループコンサルティングでは他団体の悩みを知り、学び合うことで安心感を得られたし、フィードバックを受けることで視野やアイデアも広がりました。何よりも、私たちの活動の重要性を認めた上で助成していただいたことが、モチベーション維持の力になりました」