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Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ 2012年報告会&2013年贈呈式レポート

2013年1月25日、パナソニックセンター東京にて『Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ』の2012年報告会と2013年贈呈式が開催されました。『Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ』は、パナソニックがアフリカ諸国の課題解決に取り組むNPO/NGOの広報基盤の強化を支援するプログラムで、2011年1月より助成を開始し、今年で3回目を迎えます。会場では、2012年に助成を受けた団体による活動報告と、2013年に助成を受ける団体への贈呈式が行われました。

■「今年はアフリカに注目が集まる年。 各団体の活動を通して、幅広い人達にアフリカ諸国の現状を知ってもらいたい」

主催者を代表し、パナソニック ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化グループ グループマネージャーの小川理子さんより挨拶がありました。

「今年は6月にアフリカ開発会議(TICAD V)が横浜で開催され、アフリカ諸国が世界で注目される年です。パナソニックは1968年からタンザニアで乾電池の販売や贈呈など、アフリカ諸国への支援を継続し、より豊かで持続可能な社会実現のおたすけをして参りました。私自身も太陽光コンテナなどを届けにタンザニアを訪れましたが、無電化地帯の現状をこの目で見て、私たちは何をすべきかを深く考えることができました。パナソニックでは、NPO/NGOの広報基盤の強化を支援する助成制度を2年前より始めています。今回は19団体の応募のなかから4団体に決めさせて頂きました。皆様の今後の活動展開に期待しながら、各団体の活動を通じてアフリカ諸国の現状を幅広い人達に知ってもらえたらと思います」

■「WebやSNSなど、さまざまな媒体を通じて情報を発信していきたい」

2013年に助成を受ける団体のなかから、今年新たに助成が決まった2団体の活動内容と助成をどう活かすかについてのプレゼンテーションがありました。

トップバッターは、アフリカ児童教育基金の会の小椋とも代さんです。アフリカ児童教育基金の会は、奈良に事務所を構えるNPO法人。ケニアの郊外・エンブに現地事務所も設立しています。

「私たちは元気な“子どもには教育を、病気の子どもには医療を”をモットーに診療所と約250校の学校へ教科書の贈呈をはじめ、職業訓練所の設立や有機農業指導などを行っています。

今回の助成を受け、サーチエンジンの強化やホームページを見やすいレイアウトにするなど、多くの支援が募れるサイトの運営を進めたいと思います。ほかにも、Facebookのファンページの充実化を図り、現地の状況を動画で発信。専用ソフトを使い、動画も今まで以上にスムーズに見られるようにしたいと考えています。さらに、ネットを使わないユーザーに向け、パンフレットを作成。パネルやパワーポイントを使ったイベントも開催し、幅広い人達に活動内容を知ってもらいたいです」

続いて えひめグローバルネットワーク 代表理事の竹内よし子さんの発表です。えひめグローバルネットワークは、愛媛県を拠点とし、モザンビークを中心に活動をしています。

「私たちは、地域規模で考え、地域で行動し、自らが変わっていくこと。人と人とのつながりが世界を変えるというモットーのもと活動を続けています。愛媛にはアフリカの民芸品やフェアトレード製品を扱うカフェを設立。また、モザンビーク国内で回収された武器との交換物資として、松山市にある放置自転車を送るなどの活動をしています。

現在、メールマガジンや会報誌を発信していますが、会員数が伸び悩んでおり、活動の認知度が上がらないのが現状です。今回の助成を受けて、広報活動の見直しを図りたいです。まずは、ホームページを見やすくし、WorldPressなどのサーバーを使い、多くの人が記事を執筆できるようにします。また、スタッフのブログを、Facebookを利用してリンクを貼るなど、支援者の増加が狙える広報活動を進めたいと思います。地方発アフリカ支援の力を国内外へと広げていきます」

■「助成の成果は確実に実を結んでいます。今後もさらなる活動の飛躍に励みます!」

次に2012年に引き続き、2013年も助成を受ける2団体が昨年の成果を報告。今後の活動についての発表もありました。

まずは、テラ・ルネッサンス 理事長の小川真吾さんです。テラ・ルネッサンスの活動拠点は京都。ウガンダやコンゴなどで地雷除去や子ども兵の社会復帰支援を行っています。

「2011年から支援をしていただき、ありがとうございます。2011年は広報担当者の強化を図り、2012年にはさらに具体的な活動に焦点を当て、専門家の指導の下、子ども兵の現状を描いたDVDを作りました。

このDVDは個人・団体・支援者や学校に送付。学校では講演の資料として活用しました。さらに、広報チームの技術や法的な知識が広がったのも大きな成果といえます。2012年は専門性を持ったボランティアと活動ができたので、作業を手分けして行え、作業効率もアップしました。さらに、コンゴ事務所の設立も実現し、149名の子ども兵の社会復帰支援ができました。会員数も収入も2010年から1.5倍に増加。今後は国内でのWebスタッフの能力向上を活かし、中国語や英語のホームページを作成。国際的な広報基盤の整備に努めます」

続いて、道普請人(みちぶしんびと)理事長の木村亮さんです。
道普請人はケニアを中心に、土のう袋を使った道作りを進めています。

「ケニアには脇道に入れば泥だらけのでこぼこ道が広がっています。そこで私たちが始めたのが、土のうを土に埋めて踏み固める整備方法。これを自分たちの手で道が整備できることを現地の人々に伝えています。

助成を頂いてから、ケニアの子どもたちが自分たちの夢を描いた土のう袋を東京・京都で展示するイベントを開催。村人の声を集めたメッセージビデオを上映するなど、日本の土のう技術がアフリカの人々の暮らしを豊かにしていることを多くの人々に知ってもらえました。こういった広報活動が実を結び、事業費は2010年の2800万円から2012年は7000万円まで増えました。

今後は初心に返りわかりやすくストレートな広報活動を進めていきたいです。道に対する思いを土のう袋に描いてもらい、それを埋めて道を作ったり、道に土のうで整備したことを伝える看板を立てるなどの活動も考えています。ほかにもパンフレットも飛び出す絵本のように、あっと驚かせた活動もやりたいと思います。また、現在も進めている現地スタッフが現地の役人や住民達に道作りを教えていく「道直し組合」なる活動も広げていきたいです」

■「写真や映像を多用したことで住民に気づきを与え、国内からも多くの理解を得ました」

2012年に助成を受けた2団体の報告も行われました。

まずはADRA Japan支部長の浦島靖成さんからの報告です。ADRA Japanは、フォトボイスという写真を使った活動を行なっています。

「2012年3月と6月にスーダン、南ジンバブエでフォトボイスを実施しました。これは「子どもにとって何が大切か」など、1つのテーマに沿って、住民達が自由に撮影をしてきます。そして、撮影した写真のなかから1番大事な1枚を選びます。さらになぜその1枚が大事なのか話しあいます。

成果としては、現地の住民がフォトボイスを通して問題解決に向けて話しあう場所が設立できたこと。さらに、写真を使うことで視覚的に住民やスタッフが何をすべきか気付くことができ、それぞれの問題解決の糸口へと導けました。国内ではフォトボイス活動の模様をYouTubeにアップしたり、イベントで上映し、支援者の理解が得られました。

今後はフォトボイスの映像を国内で開催されるアフリカンフェスタやTICAD Vなどで上映。さらには学校や教会やネット番組での放送なども視野に入れ、フォトボイスの継続を図ります。さらに幅広いエリアで活動をすることで、さまざまなニーズを拾っていきたいと思います」

続いて、北九州小倉市に事務所を構えるロシナンテス 事務局長の海原六郎さん。ロシナンテスは支援を受けてスーダンの人々の現状を伝えるDVDを作成しました。

「スーダンの現状を伝える映像資料が乏しかったので、助成を受けて活動内容をまとめたDVDを作成しました。ロシナンテスが取り組んでいる、医療や水・衛生事業などについて写真や映像で紹介し、北九州の小学校で開催した講演風景も撮影。22分の作品にしました。日本の子どもたちにアフリカについて知ってもらい、ディスカッションするための良い機会になったと思います。

講演を行った北九州の小学校の生徒から「遠く離れたアフリカのことを忘れず、自分たちが今できることをやりたい」といった内容の感想文も頂きました。私たちの思いが子どもたちに伝わったことがうれしかったです。さらにDVDを作成したことで、教育関係者からの問い合わせも増え、思わぬところで思わぬ結果が得られたのも大きな成果だと思います」

SNSやホームページの充実、DVDなどのパッケージの制作と、さまざまなメディアを駆使し、各団体は広報活動を広げています。彼らの活動は、アフリカ諸国に暮らす人々の生活を豊かにするだけでなく、国内にいる私たちにアフリカの国々が抱える問題を教えてくれています。私たちができるのは、まず各団体の活動を知ること。そこから問題解決に向けて自分に何ができるのかを考え行動することではないでしょうか。ひとりひとりの小さなアクションが、アフリカ諸国と日本の関係を豊かにしてくれる大きな一歩となることでしょう。

■「人と人とのつながりがあるのは日本の強み! 現地に密着した活動「People to People」を世界へアピールしよう」

選考にあたった方々のお話もいただきました。

「アフリカに注目が集まる年に日本のNPO/NGOの活動の情報発信ができることは素晴らしいことです。東京を拠点にした団体が多いなか、私は地方の団体の活動に興味を抱きました。個人的な考えではありますが、彼らの活動は質が高いと思っています。今後も東京に偏らない助成支援に期待します。広報の取り組みは1~2年後に成果が出てくるものなので、各団体がどんな発展を遂げるのか、今後が楽しみです」

国際協力NGOセンター
事務局長 山口誠史さん

アフリカ日本協議会プログラム
ディレクター 稲場雅紀さん

「日本唯一といっていいアフリカを支援するこのファンドに協力できたことがうれしいです。近年、中国・韓国・インドなどの東アジア諸国はアフリカとの関係強化に努め、アフリカへの直行便も就航。しかし日本には直行便はなく、アフリカへのコミットがしづらいのが現状。そんななか、日本のNPO/NGO団体は現地の人々の文化や生活により密着した支援を続けています。企業同士のビジネスなつきあいではない、人と人とのつながり「People to People」といえる活動ができているのです。この強みをTICAD Vをきっかけに日本は世界に発信すべきだと思います」

「アフリカは民主化が進み、社会が大きく変化しているときです。変動のなか、汚職が進み、職のない人が多くいます。そんなときだからこそ、市民から変わらないと社会は変わらないと私は思います。NPO/NGO団体の地道な支援活動の蓄積があるのは日本の強みです。アフリカ諸国と日本、それぞれの市民のつながりがあるのはとても素晴らしいこと。アフリカの市民と対等な立場で活動できることを日本はもっと世界に発信アピールすべきです。今後は日本とアフリカだけでなく、他の国のNPO/NGOとの協力もありうるでしょう」

明治学院大学
国際学部教授 勝俣 誠さん