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公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会 Japan Overseas Christian Medical Cooperative Service 公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会 Japan Overseas Christian Medical Cooperative Service

NPO/NGOの認知・支援の拡大に向けて
Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ
~2017年成果報告会を開催~

パナソニックは、貧困や飢餓、教育、保健医療などの様々な分野で問題を抱えるアフリカ諸国において、課題解決に挑むNPO/NGOの広報基盤強化を支援するプログラム「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」を2010年より実施しています。
2018年1月24日に、本プログラムの2017年助成団体の成果報告会をパナソニックセンター東京で開催しました。

成果報告会には、選考委員をはじめ、2018年1月より助成事業に取り組む団体など30名が参加し、冒頭に、パナソニック CSR・社会文化部 部長の福田里香より挨拶しました。

NPOサポートファンドでは2010年にアフリカ分野を立ち上げ、今年で8年目になります。これまで36団体に支援をさせていただきました。アフリカは日本人にとって遠く、一般によく知られていないのが現状です。そのため、まずはアフリカの現状について知ってもらうことが大切だと考え、広報基盤に特化した支援を行っています。
パナソニックの企業市民活動も、従来は「次世代育成支援」、「環境・エネルギー」を重点分野として取り組んできましたが、国連が採択した2030年までに解決すべき持続可能な開発目標であるSustainable Development Goals(SDGs)をグローバルな課題と捉え、中でも創業者・松下幸之助の「貧困は罪悪である」という言葉に沿い、目標の一つ目に掲げられた「貧困の解消」に支援の軸を置くことにしました。

私たちの取り組みに「ソーラーランタン10万台プロジェクト」があります。これは太陽光エネルギーで点灯するソーラーランタンを無電化地域に寄贈するプロジェクトで、これにより、子どもたちが夜に勉強ができ、大人も灯りのもとで仕事ができるようになり収入が増えるなど、機会の創出につながると考えています。サポートファンドでご縁のできた皆様と今後も協働して、さまざまな取り組みを通じて社会課題の解決に貢献できればと考えています。

パナソニック 福田 里香の写真

パナソニック
福田 里香

最初の報告は、先天的な口の病気の子ども達の健やかな成長を願い、エチオピアでの “まびき”撲滅を目指して活動している認定特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会の夏目長門さんです。

認定特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会

日本口唇口蓋裂協会 夏目 長門さんの写真

日本口唇口蓋裂協会
夏目 長門さん

口唇口蓋裂という先天性の病気を持つ子どもが多いエチオピアで私たちは無償手術を行っていますが、現地では正しい情報がないために患児出生後の“まびき”がいまだにおこなわれています。このような現状を予防するため、いただいた助成でアムハラ語と日本語のホームページ、ポスター、パンフレットなどの広報ツールを作成しました。わかりやすい表現での訴えかけができて、多くの方に正しい情報を周知することができました。
今後はホームページのリンクを増やし、より多くの人々にこの活動を知っていただきたいと思います。

続いての報告は、すべての人々の健康と命が守られる世界の実現を目指した活動を行っている公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会の森田真実子さんです。

公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会

私たちの大きな課題は、活動を継続するための会員の減少でした。新規支援者を獲得するため、活動を伝える広報素材の制作が急務だったのですが、このたびの助成でタンザニアでの保健医療協力活動についての動画を作成することができました。同時にスタッフの手で動画を作成するノウハウも習得できたため、今後は膨大な予算をかけずに動画を作成することができると思います。また昨年は教会や学校、各種団体などでこの動画を活用した活動報告会を実施し、現在も継続中です。
引き続き動画を活用して新規支援者の獲得、既存支援者の増強につなげていきます。

日本キリスト教海外医療協力会 森田 真実子さんの写真

日本キリスト教海外医療協力会
森田 真実子さん

続いて、途上国に安全な水とトイレを届ける活動をしている特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパンの立花香澄さんの報告です。

認定特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパン

ウォーターエイドジャパン 立花 香澄さんの写真

ウォーターエイドジャパン
立花 香澄さん

日本の子どもたちにアフリカの水やトイレの問題を伝え、理解してもらうため、その授業を担ってくれるボランティア組織『スピーカークラブ』を設立しました。ボランティアスピーカーの募集と育成を実現するため、今回の助成では各地で講習会を実施。その成果として2016年には全国に49名のスピーカーが誕生しました。
さらに今年は、他のスピーカーと連携を取りながら自立して活動できる“コアスピーカー”の育成を目指し、6名を輩出することができました。今後は、このコアスピーカーが自ら講習会を開催し、全国でウォーターエイドの授業を展開できるよう、その数を増やしていくシステムを確立していきます。2020年にはコアスピーカーを20名にすることを目標にしています。

最後の報告はアフリカの内陸国・ニジェールについてより多くの人に知ってもらう活動を展開している一般社団法人 コモン・ニジェールの福田英子さんです。

一般社団法人 コモン・ニジェール

ニジェールは日本での認知度が低いため、助成1年目は団体のWEBやパンフレットを作成しました。また、自身の書いた『ニジェール物語』を絵本にしたいと考え、助成2年目では、そのストーリーを16名のアーティストが絵で表現する『ニジェール物語の世界展』を実施。その展覧会から有志が増えて、ついに絵本が刊行されるまでになりました。
助成3年目では、クオリティの高い動画とフランス語の朗読CDを作成し、動く絵本となった動画は、昨年9月の公開後、のべ900人ほどの人々に鑑賞していただいています。サイトアクセスや会員数、講演回数、イベント来場者数なども当初の3倍以上になりました。ニジェールについて知ってくださる人が着実に増えている実感と活動の飛躍を感じています。

コモン・ニジェール 福田 英子さんの写真

コモン・ニジェール
福田 英子さん

4団体の発表後、4名の選考委員から講評をいただきました。

情報のクオリティよりも、まずは量が大切

株式会社博報堂 PR戦略局 部長 加藤 昌治さん

博報堂 加藤 昌治さんの写真

博報堂
加藤 昌治さん

各団体の広報活動は、例えるなら『温泉旅館の予約』に近いのではないでしょうか。私たちが旅行で温泉に行こうと思ったら、予約の前に、当然サイトなどで調べると思います。その際、クオリティがとっても高いけれど一枚だけしかない旅館の写真よりも、多少クオリティが低くても館内の様子がよくわかる写真がたくさん掲載してある方が安心して予約できませんか。情報を持っていない人、知らない人に自団体とは何かを伝えるためには、ひとつ一つの情報クオリティもさることながら、まず情報の量、ボリュームが必要です。情報量をどれだけ用意できるか、またその情報を得た人が、それをさらに他の人に伝えやすい環境を整えておくこともカギとなります。
そのためには引用、つまりコピーペーストして拡散できる情報の素材をいろいろと用意してあげることが大切なのだと思います。文章、動画などの素材をできるだけ多く用意して、引用しやすいようにしておくことで、活動の周知につなげていただきたいと思います。

スタッフや職員が同じ熱量を持って伝えられるように

国際協力NGOセンター(JANIC)連携グループ マネージャー 松尾 沢子さん

国際協力NGOセンター(JANIC) 松尾 沢子さんの写真

国際協力NGOセンター(JANIC)
松尾 沢子さん

今回の助成によって作られた新しい媒体や培った人材は団体にとって財産であり、団体内部や支援者の方々の中で、それを内在化させることが大切だと考えます。他者とのコミュニケーションをつうじ、各団体のミッションや活動を周知させていくには、スタッフや職員が同じ熱量を持ってそれを伝えられるようにすることが求められます。
ぜひとも今回得られた成果を団体内で積極的に浸透させていただければと思います。また媒体類はときどき見直して更新するようにしてください。今後も戦略的に様々な事業や組織強化の機会を活用し、活動が発展されることを願っています。

助成事業での気づきを共有し、今後の活動の発展に

パナソニック CSR・社会文化部 部長 福田 里香

パナソニック 福田 里香の写真

パナソニック
福田 里香

皆さんの力強いご報告をお聞きして、私たちの支援が何倍もの成果となって表れていることがよくわかり、とてもうれしく思っています。活動がさらなる活動を呼んでいるのではないでしょうか。これから助成事業に取り組まれる団体の皆さんがプレッシャーに感じるほどに、4団体とも素晴らしい成果を得られていると思います。『知ってもらう』ことで救える命がある、ということがとくに印象に残っています。
小さな支援でも、それで命を救うことができるということに感銘を受けました。活動の中でうまくいったこと、そうでないことがあると思いますが、それらをすべて共有していただき、今後の活動にぜひつなげていってください。

アフリカと正面から向き合っている私たちが、しっかりとメッセージを伝えていくのだという気概が必要

アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクター
SDGs市民社会ネットワーク 専務理事・事務局長 稲場 雅紀さん

アフリカ日本協議会 SDGs市民社会ネットワーク 稲場 雅紀さんの写真

アフリカ日本協議会
SDGs市民社会ネットワーク
稲場 雅紀さん

最近、日本ではまたしても「環境の悪いアフリカでどうビジネスを成功させるか」とか「アフリカでは(保健や教育などの)データがまだまだ悪い、どう救うか」みたいな近代主義の語り方が、しつこく耳についてきた感じがします。そんな話は、すればするほどアフリカの人たちの自信を失わせ、ひいては発展を妨げることになります。
NPOはアフリカの人々の主体性とともに活動しなければなりません。その意味で、今回の4団体の成果報告は説得力があり、とても勇気づけられるものでした。
今後も、アフリカにしっかりと足を下ろし、アフリカと正面から向き合っているNPOが、しっかりとメッセージを伝えていくのだという気概が必要だと思います。そして、私たちが何をしたいのか、なぜアフリカなのかをもう一度見直して、それを広報活動にこめていくことが大切なのではないかと考えます。

成果報告会の最後に、継続3年目の助成を終えた一般社団法人 コモン・ニジェールの福田代表に、パナソニックより修了証が贈呈されました。
この日の午後には、「NPOサポートファンドの贈呈式&組織基盤強化フォーラム」が開催され、組織基盤強化をキーワードに学びを深めた一日となりました。

修了証贈呈の写真
写真:NPOサポートファンドの贈呈式&組織基盤強化フォーラムの様子1
写真:NPOサポートファンドの贈呈式&組織基盤強化フォーラムの様子2
写真:NPOサポートファンドの贈呈式&組織基盤強化フォーラムの様子3