ワークシートを独自にアレンジし、生徒の「価値観」を創出
今回は、2020年度に教材を活用していただいた飯塚市立二瀬中学校の野見山先生に、同中学でのキャリア教育の取り組みと本プログラムの活用についてお話を伺いました。
■飯塚市立二瀬中学校のキャリア教育について
教育目標である「グローバル社会を生き抜く力を身につけ、未来を切り拓く生徒の育成」にそって、グローバル社会の中で社会的・職業的に自立する生徒の育成を目指したキャリア教育を実施。
〇学年ごとにテーマを設定
1年生:
前期「自分の適性(can)を知り、職業(need)について知る」
近隣で、実際に働いている人にインタビューを行い、情報収集から整理、発表までを生徒自身が実施
後期「グローカル(地域社会と世界への貢献)に学ぶ」
地域社会で活躍する人から実際に話を聞き、生徒がポスターセッションを実施
2年生:
前期「職業と社会への貢献」
職場体験を中心とした取り組み。事前のマナー講習や職場体験、体験レポートのまとめなどを行い、その結果を発表会で報告
後期「修学旅行/共生の街 飯塚」
修学旅行先でインタビューや事前学習を行い、飯塚市の取り組みと比較し、今後の自分たちの未来予想図を展開
3年生:
①「マイプロジェクト~自分にあった進路・そこで何をする~」
進路説明会やオープンキャンパス等を通して進路を選択し、3年間のキャリア教育の総決算として現在の自己を見つめ、将来への志を学校の「立志式」で発表
②「世界の中で生きていく私」
JICAのゲストティーチャーから話を聞き、「貢献」という視点で生徒が自身の行動目標を考え、日本人としての意識を高める
野見山先生のインタビューより
■コロナ禍で見つけた「私の行き方発見プログラム」
- 昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、インタビューや、ゲストティーチャーの招聘ができなかったため、活動方法をオンラインによる講演会やインタビュー、ICTを活用した調べ学習などに変更することが余儀なくされました。
- これまでは、「職場について知る」の活動は、職場訪問やゲストティーチャーを招聘したりしていましたが、それが難しくなったときに「私の行き方発見プログラム」のことを知り、本校のキャリア教育で生徒に身につけてほしい資質や能力を学ぶのに最適だと感じ、導入しました。
■具体的な活用方法について
〇総合的な学習の時間にプログラム①②④を活用
2年生で行う「職場体験」の事前学習として、1年生を対象にプログラム①「会社の役割発見」と、プログラム②「職業と能力の関係発見」、プログラム④「自分の“行き方”発見」を9月から10月にかけて総合的な学習の時間に実施しました。
〇自分の“価値観”を考えやすいようにワークシートを独自でアレンジ
プログラム④は、ワークシートをアレンジして活用しました。具体的には、「自分の価値観を知る方法」の中で、参考となる先人の言葉を学び、自分の考えをまとめ、言葉を導き出しやすくするために、ティーチャーズ・ガイドに記載されている10題の質問例を追加し、回答欄を設けました。生徒たちが、質問に答えていくことにより、自分が大切にしている価値観について考え、その結果、一人ひとりが「自分の行き方」として、「言葉」とその「言葉に込めた理由」を考えるきっかけになりました。
アレンジしたワークシート
授業のめあてや導入の問い掛け、まとめの記入欄を設けるなど、
授業を円滑に進行する工夫がされています
〇生徒一人ひとりが考えた「言葉」を文化発表会で掲示
生徒が考えた「言葉」と、その「言葉に決めた理由」を掲示物として作成し、「総合的な学習の時間のまとめ」として学校の文化発表会で掲示しました。他学年の生徒や先生方にも今回の学習結果を見ていただき、大変好評でした。
〇他教科と横断した活用の可能性
生徒たちが考えた「言葉」を掲示物にしたことによって、イラストを描いたり、文字を強調したり、生徒自身が様々な工夫を凝らしていたので、美術のデザイン文字や国語科の習字等、他教科との併用ができると感じています。
さらにプログラム①の役割カードは、そのまま活用できたため大変便利でした。貼付用の台紙をそのまま活用できるため、文化発表会での生徒の言葉とともに掲示物として活用すれば、他学年の生徒や先生にも学習全体の流れが伝わって良いと思いました。
〇今年度も継続して活用したい
昨年度この教材を活用した1年生の生徒たちは、自己の“行き方”について考えることができましたが、 今年度の1年生も総合的な学習の時間のキャリア教育教材として「私の行き方発見プログラム」を活用したいと思っています。
【飯塚市立二瀬中学校 生徒の感想(抜粋)】
- 会社にはさまざまな役割があり、それぞれが役割をしっかり果たすことで成り立つということがわかった。
- 会社の中でも、それぞれ役割が分けられていて、自分に適した役割を持つ人になりたいと思った。
- 自分の"行き方"発見で、自分のことについて考えることができたので、そこから、自分のこれからの進路について考えようと思うきっかけや、ヒントになりました。
- 社会で働くには、いろんな能力が大切だということが分かり、これから、どうしていかないといけない、
こういう力を身に付けなければいけない、と思った。 - イチロー選手の名言が、夢をあきらめかけていた私の心に、とてもひびいた。