NPO/NGOの皆様の成長・発展とともに、毎年プログラムの進化改善に取り組み、5年毎にプログラムを改定してまいりました。これまでの取り組みをご紹介します。
社会課題の解決に取り組む市民活動が持続的に発展していくためには、NPO/NGOの組織基盤強化が必要との認識のもと、2001年より「Panasonic NPOサポート ファンド」を通じて、組織運営上の課題解決に向けた取り組みを応援してきました。これまでに2,469件の応募をいただき、351件、4億3,902万円の助成をしています。
子ども分野助成先データ
2001年に設立。子どもたちの健やかな育ちを応援する新しい社会の創造を目指し、先駆的な活動と自己変革に挑戦するNPO/NGOに助成してきました。
助成後に、新たに活動分野や地域の中間支援的な役割を担う団体へと成長している助成先もあります。
活動内容
活動内容は14に分類することが出来ました。なかでも、「障がい児・病児支援」「子どもの文化・芸術・スポーツ・自然体験活動」「海外協力・国際協力」に取り組む団体が多く見られました。2000年以降、子どもの問題の多様化や社会化に伴い、子どもに関わる多種多様なNPOが登場して、組織基盤強化に取り組むようになりました。
財政規模
財政規模は1,000万円未満の小規模団体が40%、1,000万円以上5,000万円未満の中規模団体が50%、5,000万円以上の大規模団体が10%を占めました。
第1期(2002年~2006年)は小規模団体が80%を占めましたが、第2期(2007年~2011年)では小規模団体が40%、中規模団体が50%を占めるようになり、第3期(2011年~)になると中規模団体が60%強、大規模団体が20%を占めるなど、パナソニックの組織基盤強化プログラムの助成対象が中規模団体にシフトし、活用・定着しています。
組織基盤強化の内容
組織基盤強化の内容は、第1期(2002年~2006年)は人材育成や広報基盤強化、事務局機能の強化などが目立ちました。第2期(2007年~2011年)は人材育成に取り組む団体が第1期に引き続いて高く過半数を超えましたが、新規事業開発や財政基盤強化に取り組む団体も増えています。第3期(2011年~)では初めてコンサルタント等による第三者の視点を取り入れた組織診断と組織基盤強化の仕組みを導入しました。組織診断のみ取り組んだ団体が40%、組織診断の結果を踏まえて組織基盤強化に取り組んだ団体が40%強を占めるなど、組織診断を行った団体は90%に達しています。この新しい仕組みが影響したのか、組織基盤強化の内容はこれまでのような偏りが見られなくなり、万遍なく取り組まれていることが分かります。また、ミッション・ビジョンの見直しや中期計画の策定など団体の根幹に関わるような今後の方向性や戦略づくりを重視している団体が増えています。
環境分野助成先データ
2002年に設立し、環境問題に取り組み、強い市民社会の創造を目指すNPO/NGOの組織基盤強化に助成してきました。助成先が中心となって、環境NPO/NGOのネットワークも組まれ、政策提言力を高める取り組みも生まれています。
活動内容
活動分野としては、「循環型社会形成」をテーマに取り組む団体がもっとも多く、ついで「地球温暖化防止」「森林保全・緑化」「環境保全型農業」「大気・水・土壌環境保全」「野生生物保護」となりました。これは第1期(2003年~2006年)に、市民に環境への意識を醸成することが大切だと「エコライフの推進に取り組むNPO/NGO」を助成対象としていたことが背景にあります。 第2期(2007年~)からは、助成対象を環境分野全般に広げています。
財政規模
財政規模では、応募当時3,000万円以上5,000万円未満の団体が約25%を占めていますが、組織の大小に限らず、課題を根本から見つめ直し、実効性が高いと思われる取り組みを積極的に応援してきました。また、「1,000万円以上5,000万円未満」の団体が半数を占めています。第1期(2003年~2006年)では1,000万円未満の団体も積極的に助成してきましたが、第3期以降(2011年~)は有給常勤職員1名以上という要件にしたため、「1,000万円以上5,000万円未満」の団体に一番多く助成しています。
組織基盤強化の内容
第1期(2003年~2006年)では、広報基盤整備がもっとも多く、次にマニュアルや会計の整備などの事務局機能を強化する取り組みが多くありました。第2期(2007年~2011年)は、新規事業の開発や事業の収益化をはかる事業が増え、次いで広報基盤整備の取り組みとなりました。
第三者の多様で客観的な視点を取り入れた組織診断助成がスタートした第3期(2011年~)では、組織診断のみを応援したのは18件(27.3%)、組織診断と組織基盤強化の両方に取り組まれたのは16件(24.2%)、組織基盤強化に取り組んだのは32件(48.5%)でした。第3期の組織基盤強化の取り組みの内訳としては、新規事業開発と事業収益化、そして事務局機能の強化が多い傾向を示しています。
第1期では見られなかった中長期計画・戦略の策定が、第2期では13.8%、第3期では14.0%に増えたことも注目すべき点です。1992年の地球サミットを契機に活動を発展させてきた環境分野のNPO/NGOが、組織マネジメントへの重要性に気づき、その意識と方針が遷移していることが分かります。
アフリカ分野助成先データ
2010年に設立し、アフリカ諸国の課題解決に取り組むNPO/NGOの広報基盤の強化を応援してきました。ウェブサイトの充実を通じて、日本国内での認知向上の他、海外の寄付者・支援者の獲得につなげた団体も多くありました。
活動地域
助成先は、アフリカ諸国の様々な社会課題に取り組んでおり、活動地域も多岐に渡ります。11団体が活動するケニア、7団体が活動するルワンダ、6団体が活動するスーダンをはじめ、右図の計30カ国で社会課題の解決に向けて活動しています。
活動内容
アフリカ分野は、活動分野ではなく地域で区切っているため、多岐にわたる活動が展開されています。なかでも、子どもたちへの「教育支援」やコミュニティへの「保健・医療」活動、「コミュニティ開発支援」に取り組む団体が多く、次いで「職業訓練」「人権問題」に取り組む団体を応援してきました。
活動年数
設立して「6年~10年」の団体への助成が多く、次いで「11年~15年」「16年~20年」「21年~30年」「31年以上」の団体へも同じ割合で応援しています。広報基盤の強化は活動年数の長さに関わらず、NPO/NGOが持続的に発展していくために必要な取り組みであり、幅広い団体に活用いただきました。
財政規模
「3000万円以上~5000万円未満」の団体に一番活用いただいています。次に、「1億以上」の団体にも助成しており、財政規模の大きな団体でも「広報基盤の強化」に自分たちで取り組むことの難しさが伺えます。また、「1000万円未満」の団体への助成も約2割を占めています。
広報基盤強化の内容
事業内容としては、「ウェブサイトの制作・充実強化」が一番多く、次いで遠いアフリカの現地の状況をリアルに伝えたいと「動画」等の制作に取り組み、支援者の獲得につなげようとする団体が多くありました。
また継続的に広報発信していくための人材育成にも取り組んでいます。
組織基盤強化支援の17年
第6回パートナーシップ大賞「パートナーシップ賞」を受賞
2008年11月、特定非営利活動法人 地球と未来の環境基金とパナソニックの協働事業である「Panasonic NPOサポート ファンド(環境分野)」が第6回パートナーシップ大賞において、パートナーシップ賞を受賞しました。
パートナーシップ賞は、NPOと企業の協働によって実施された事業を全国から募り、社会に多様なインパクトを与えた特色ある事業を顕彰するものです。審査員からは「企業は社会の公器であるとの考え方、またNPOの組織基盤強化という課題の着眼点、継続的な取り組みに感銘を受け、多くの発展性・可能性を秘めた事業として今後さらに期待したい」と評価いただきました。
主催:特定非営利活動法人 パートナーシップ・サポートセンター、日本財団