応募
世界の多くの市民が辛苦して生活をするなか、ミャンマー、アフガニスタンなどでの政変、困窮する移民の増加、人道支援が急務な地域の拡大。活動しづらい状況下で、現地の支援ニーズは高まり、そのギャップに歯がゆさを感じる団体も多いかと思います。さらに世界では、カーボンニュートラル社会の実現に向けた動きが活発化するなど、やるべきことが山のようにある状況で、変化に対応するための業務も増え、組織が保有する時間の余裕も少なくなっているとも考えられます。
このような状況のなか、今年度は24団体から応募がなされました(昨年34)。新規申請は関東10・東海2・中国1・九州1の14件(昨年23)。また、既に助成を受けている10の団体(関東6・近畿3・九州1)からは継続申請が出されました。
選考
選考は、最初の資格審査で新規申請から2件が資格外となり、選考対象は22件になりました。選考対象団体の活動拠点はアジア39、アフリカ13の合計52ヶ所です。
委員それぞれで書類選考をした結果を持ち寄り、9月中旬に東京日比谷を拠点としたオンライン審査体制で、選考委員会が開かれました。申請内容の特徴はやはり、大きな外部環境の変化に対応し、現地へアクセスしづらい状況下での基盤強化策が盛り込まれている点です。選考会での慎重な議論の結果、10団体が次のヒアリングに進み、選考委員会で出された疑問点を中心に、事務局の担当者によるヒアリングが行われました。
結果
ヒアリング後間もなくの11月上旬、申請団体からの回答を選考委員長が確認する、最終決裁の場が設けられ、助成目的である社会の貧困削減によりつながるであろう組織として、新規6件(診断3・強化3)・継続3件の9団体が助成対象として決定しました(助成総額1,398万円)。
選定された組織基盤強化の内容は次のものです。サポーター事業基盤構築、チーム基盤づくり、現地スタッフの能力強化、財務基盤の強化、組織メンバーの連携強化、活動の見える化による参加者増。次に、診断を行う組織が特にフォーカスする点としては、財源の改善、柔軟な組織構造、情報発信力の強化で、いずれも将来の組織基盤強化につながる診断内容でした。
イノベーション
営利・非営利を問わず、組織が継続発展するために、また活気ある社会・経済を維持するために必要なものが、既存の知と別の既存の知を結合させたイノベーションです。今、我々は世界の中のどこにいるのか、どこに向かって組織基盤強化をしようとしているのか。向かおうとしている先は、もしかすると時代後れになってしまっていることかもしれません。地を這って組織基盤を強化していると、気づけば世界のプレイヤーは、まったく違うところを悠々と飛んでいるかもしれません。
ガラパゴス化を避けるためにも、一度じっくりと世界を観察し、自身の立っている位置を見詰め、今やるべきことは、今やろうとしていることなのか、そんなメタ認知の視点をもって、組織診断・組織基盤強化にお取り組みになると、手にする果実もより芳醇なものになり、その結果、支援する国際社会もより元気になるのではないでしょうか。多用な時期だからこそ、冷静な視点が良い道を拓きます。
<選考委員> |
★選考委員長 |
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中山 雅之 |
国士舘大学大学院 グローバルアジア研究科 教授 ★ |
井川 定一 |
NGO‐外務省定期協議会 連携推進委員会 NGO側 調査提言員 |
小俣 典之 |
特定非営利活動法人 横浜NGOネットワーク |
米良 彰子 |
認定特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン |
福田 里香 |
パナソニック株式会社 オペレーショナルエクセレンス社 |