応募
長引く戦争が終結を迎える前に、新たな戦火が発し、困難な状況で生きる人びとが更に数を増しています。世界で苦しむこうした多くの人々に、NGOは日々、最大限の力を尽くし活動を継続しています。その国際協力活動と並行して、今年度は31団体からサポートファンドへ応募がなされました(昨年28・一昨年24)。新規申請は関東16・中部2・関西2・九州1・沖縄1の22件(昨年同数)。また、既に助成を受けている9団体(関東5・中部1・関西1・九州2)からは継続申請が出されました。応募団体の活動拠点はアジア25、中南米2,欧州2、中東1、アフリカ11の合計41ヶ所です。
選考
選考は、始めの資格審査で新規申請から6件が資格外となり、選考対象は25件になりました。委員それぞれで書類選考をした結果を持ち寄り、10月初旬に東京日比谷で、選考委員会が開かれました。今年も例年通りの難しい選考になり、慎重かつ限りを尽くした議論の結果、11団体が次のヒアリングに進み、選考委員会で出された疑問点を中心に、事務局の担当者による聴き取りが行われました。
成果
ヒアリング後間もなくの11月上旬、申請団体からの回答を選考委員長が確認する、最終決裁の場が設けられ、助成目的である社会の貧困削減によりつながるであろう組織として、新規3件(診断2・強化1)・継続5件の8団体が助成対象に決定しました。助成総額は1,414万円。
選定された組織基盤強化の内容は次のものです。外部人材を活用する自律系組織の構築、プロボノによる組織運営システムの設計、戦略計画を作成しながらの世代交代、第三者の視点を入れたマネジメント体制の設立、ボランティアを活用した運営体制の構築、チャリティー事業の設置。今年度は、外部リソースを活用して組織の体制を整えるものがその多くでした。次に、診断を行う組織が特に焦点を当てる部分としては、ガバナンスとファンドレイジング、事務局の組織体制整備で、いずれも将来の組織基盤強化につながる診断内容でした。
契合
そもそも何をどうすれば、組織基盤は強化されるのか。その計画は論理的に整合性がとれているのか。
組織基盤強化に取り組むということは、組織の限られた資源を割くことになります(1:資源投入)。その資源を元に組織改善がなされ(2:生産活動)、刷新された新しい組織が出来上がります(3:生産成果)。その新たな組織がどれほど有効に活用されるのか(4:利用結果)、それによって当初計画した現地の課題解決はどれほど進展したか(5:短期成果・アウトプット)。その後、長期的に現地の状況改善が継続すれば(5:長期成果・アウトカム)、その組織基盤強化は功をなしたと言えます。
あれもこれも、やらなければならないことをいつも抱えているのがNGOではないでしょか。その状況で、組織基盤強化に時間を割くという覚悟は、重いものであると考えます。まずは診断で、この論理モデルを明確にされることが、良い成果につながるでしょう。そして、基盤強化では、計画を実施し、当初の予定とのずれはないか、進捗をモニタリングしながら、より良い生産成果・組織改良を行います。より豊かな社会を実現する為に、組織基盤強化のこの支援制度をうまく活用していただければと思います。

中山 雅之
<選考委員> |
★選考委員長 |
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中山 雅之 |
国士舘大学大学院 グローバルアジア研究科 教授 ★ |
井川 定一 |
NGO外務省連携推進委員会NGO側特別顧問/AVPN シニアアソシエイト |
坂口 和隆 |
認定特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 |
米良 彰子 |
認定特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン |
福田 里香 |
パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 |