国内助成 2019年募集事業 選考委員長総評

はじめに

貧困の解消が大きな社会課題として掲げられている動向を受けて、サポートファンドに、「国内における貧困の解消分野」が加わり2年目を迎えました。この分野は、「貧困の解消」に向けて取り組む国内のNPOが持続発展的に社会変革に取り組めるよう応援するものです。2000年代に入り社会的格差の拡大が顕著になったことを反映して、貧困解消に向けた官民の活発な動きが見られるようになりました。応募団体の多様な活動はこのような動きを映し出しています。

応募状況と選考のプロセス

新規助成は4月15日に公募を開始し、5月から6月にかけて全国6か所(福島・東京・横浜・愛知・京都・熊本)で組織基盤強化ワークショップと公募説明会を開催し、7月31日に応募を締め切りました。その結果、新規助成への応募は26件(組織診断からはじめるコース16件、組織基盤強化からはじめるコース10件)でした。
継続助成は7月4日に募集を開始し、8月26日に募集を締め切りました。その結果、継続助成への応募は8件(助成1年目に組織診断を実施し、2年目に組織基盤強化を計画する6件、助成1年目に組織基盤強化を実施し、2年目に更に組織基盤強化を計画する2件)で、助成1年目に助成を受けた団体すべてが応募しています。

先ず、新規助成は応募団体と応募内容について事務局が要件チェックを行い、21団体は要件を満たしていると判断しました。次にこれらの応募書類について、選考委員長と選考委員5名が選考基準に加えてそれぞれの専門性を加味して評価を行い、各委員が推薦したいと思う案件を各5件選び、1位から5位までの順位と推薦理由を付けて事務局に提出しました。
継続助成は応募があった8団体の助成1年目の実績と助成2年目の計画について、選考委員長と選考委員5名が提出書類を読んで評価を行い、助成の可否とコメントを付けて事務局に提出しました。

10月1日に選考委員会を開催し、選考委員長と選考委員が参加して、新規助成と継続助成について審議を行いました。その結果、継続助成については選考委員長と選考委員が8件すべてを助成可と評価しましたが予算に限りがあるため、相対的に評価が高かった4団体に決まりました。2年目に採択されなかった団体は、組織診断で確認された課題と解決の方向性について、団体の関係者と更なる検証や共有を深めながら解決に向けて取り組んで欲しいと思います。

新規助成については選考委員1名以上の推薦が付いた案件が17件ありましたが、審議の結果、9件(助成候補7件、補欠2件)が選考ヒヤリングの対象となりました。審議の際に選考委員が重視した点は、より排除されている傾向が強い分野であること、地域で評価されていること、マイノリティの支援であること、地方での地道な取り組みであること等でした。その後、事務局が現地で9団体にヒヤリングを行いました。11月6日に委員長はその結果を受けて、新規助成は助成対象8件(組織診断からはじめるコース7件、組織基盤強化からはじめるコース1件)・助成総額750万円を決定しました。また、継続助成は助成対象4件(内訳は助成1年目に組織診断を実施し、2年目に組織基盤強化を計画する3件、助成1年目に組織基盤強化を実施し、更に2年目に組織基盤強化を計画する1件)・助成総額600万円を決定しました。
継続助成の対象となった4団体のうち、組織診断からスタートした3団体は、組織の実態と課題が見えるようになり、解決の方向性が整理されるようになっています。また、組織基盤強化からスタートした1団体も、組織の課題と解決に向けた取り組みが整理され、今後の更なる基盤強化が期待されます。いずれの団体も、引き続き課題解決の実行力が求められます。

選考結果からわかったこと

本助成の対象となる「貧困の解消」または「貧困と関連のある問題の解消に向けて取り組んでいる」活動は実に多様です。また「貧困」というものが経済的貧困だけでなく関係性の貧困を含む広い意味合いを持ち、社会的排除と絡んでいることも重要です。
採択された団体のテーマを見ると、継続助成の4団体は、生活困窮者支援、社会的に排除されている子ども・若者の居場所づくり、DV被害女性とその子どもの支援、生活困窮世帯の子どもの支援です。また新規助成の8団体は、孤立した子どもの支援者支援、子ども・若者が孤立しない地域づくり、外国にルーツを持つ子どもの支援、LGBTの生きやすい社会づくり、長期入院する精神障害者の権利擁護、孤立する妊婦と遺棄される赤ちゃんの支援、教育格差と田舎子育て支援、様々なニーズを持つ10代の子ども・若者の支援がテーマとなっています。
制度からこぼれ落ちる様々な貧困があることに気付いた団体が、それぞれの独創的な方法で支援活動を繰り広げ、問題提起をしようとしていることを感じます。

本助成のねらいは、社会において重要な役割を果たす団体の組織基盤を強化することにあります。助成事業から見えてきたことですが、組織診断によってデータを収集し、組織課題を明確にし、仮説を検証し、強みを把握してこれを活かす方向性を打ち出そうとしている団体は、持続性がありしかも発展性が見えるものとなっています。

貧困を解消するためには、地域社会に多様なサービスが地域のインフラとして存在していることが必要ですが、採択された団体は、各分野・各地域で期待される団体であることから、組織基盤強化による波及効果は大きいと思います。社会問題を解決する力を備え持続性のある団体へとますます成長を遂げていただくために、本助成が貢献できることを願っています。

国内助成 選考委員長
宮本 みち子

<選考委員>

★選考委員長

宮本 みち子

放送大学 客員教授・名誉教授 
千葉大学 名誉教授

小河 光治

公益財団法人 あすのば 代表理事

奥田 知志

特定非営利活動法人 抱僕 理事長

谷口 仁史

特定非営利活動法人 NPOスチューデント・サポート・フェイス 代表理事

吉中 季子

神奈川県立保健福祉大学 准教授

福田 里香

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部
CSR・社会文化部 部長