新規助成
助成事業名 |
東海地域唯一の難民支援専門団体が継続的に難民の貧困解消に取り組むための支援者層の拡大に向けた組織診断 |
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団体名 |
特定非営利活動法人 名古屋難民支援室 |
代表者 |
名嶋 聰郎(代表理事) |
【推薦理由】
本団体は、世界で8,240万人を超える人々が避難を余儀なくされ、日本にも逃れてきた難民が暮らすなか、全国で2番目に難民が多い東海地域において唯一の難民支援団体である。地域に在住する難民が法的に保護され、安定した自立生活を送るための支援活動を行っている。
本団体の活動の特徴は、経済的に困難な難民に対する住居確保・食糧支援・相談事業などの生活支援と、その生活基盤を得るための難民申請や在留資格取得などの法的支援を一貫して行っていることにある。支援の内容は極めて個別的であり、ひとりの事案に対して、出身国での状況、難民となった原因の調査、日本での生活状況について聴き取りを行い、長期にわたる継続的なケースワークを行うなど、高度で専門的な知識とスキルが必要とされる分野である。さらに、難民への支援はそれぞれの国のあり方を映し出す鏡となるが、日本社会の難民の受け入れと公的支援は極めて限定的という問題もある。
本団体は、難民の貧困解消に向け、丁寧で寄り添った法的支援と生活支援を継続的に行っていくためには、支援者の拡大や組織基盤の見直しが必要であるとの課題を自覚しており、自己資金を中心とした活動の運営を目指している。国内での難民支援活動は、社会情勢からの必要性も高まるなかで、今後ますます必要とされている支援であり、組織基盤が強化されることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2012年設立(法人格取得:2013年) - 主な活動
- 食料支援事業
- シェルター事業
- 難民一人ひとりへのケースワーク事業
- 主な活動地域
名古屋市を中心とした東海地域 - 主な受益者・数
ロヒャンギャ難民やコミュニティ関係者30人、東海地域在住の難民約50人、大学生約10人他 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
4人(2人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
1人(1人) - 会員数
正会員14人、その他会員5人 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア74人、寄付65件 - 財政規模
1,024万円(2021年予算)
638万円(2020年決算)
1,311万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
- ホームページ
- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
貧困課題を抱える子ども若者・家庭へのソーシャルワーク実践を安定して提供するための組織診断 |
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団体名 |
特定非営利活動法人 こどもソーシャルワークセンター |
代表者 |
幸重 忠孝(理事長) |
【推薦理由】
コロナ禍の影響もあり、子どもの貧困は一層深刻な事態となっており、課題を抱える子どもや家庭に対する支援は喫緊の課題である。本団体は、9年前に活動を開始し、実績を着実に重ね、事業規模は年々拡大している。行政や専門機関が課題別に対応を行ってきた結果、制度の狭間に置かれてしまう子どもたちを対象に、本団体は総合的・包括的な支援を提供し、「子ども・若者・家庭へのソーシャルワーク」の実践を目指している。
本団体の活動に対して広く市民の協力体制が構築されており、100名近いボランティアが活動を支えるなど、子どもが生きる日常において「市民の力を借り」ながら活動を展開している。さらに年間1,000万円近い寄付を集めており、多くの市民の応援を得ている。
活動を開始して9年、法人化して3年が経過し、短期間で大きく成長を遂げた分、事業は多角化・煩雑化しており、組織診断を行うには良いタイミングにある。寄付が集まる一方で活動の半分は助成金で賄われていることもあり、今後の法人の柱となる自主事業などを安定的に実行するためにも、組織を見直し、あるべき基盤を模索することが必要である。
組織診断から始まる組織基盤強化のプロセスを通じて、組織課題を確認し、ミッションとビジョンを明確にした上で、「では、どのような社会を創造するのか」が団体内や外部の協力団体、地域の人たちと共にしっかりと議論され、本団体の次のステップへとつながることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2012年設立(法人格取得:2018年) - 主な活動
- 夕刻を支える夜の居場所「トワイライトステイ事業」
- 日中の居場所「ほっとるーむ事業」
- 生きづらさを抱える若者たちによるアウトリーチ事業
- 主な活動地域
大津市 - 主な受益者・数
貧困世帯の子ども延べ1,344人、貧困世帯の若者47人 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
3人(3人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
37人(4人) - 会員数
正会員25人、その他会員82人・1団体 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア90人、寄付150件 - 財政規模
2,280万円(2021年予算)
2,768万円(2020年決算)
1,035万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
里親家庭や児童養護施設等を巣立った人たちが安心して生活でき、自分で人生を選択できる社会へ向けて、発信力を高め、関わる人々を増やすための組織診断 |
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団体名 |
特定非営利活動法人 おかえり |
代表者 |
枡田 ふみ(理事長) |
【推薦理由】
本団体は、里親家庭や児童養護施設などを巣立った人たちの支援を行っている団体である。同様の団体が全国各地で活動をしているが、全国的に見ても早い時期から活動を始め、奈良県で唯一の社会的養護のもとから自立する子ども・若者たちのアフターケアに取り組む団体である。設立当初から、里親や児童養護施設、児童相談所と連携し、子ども・若者たちのニーズを第一に考えて活動を行ってきた。里親や児童養護施設から巣立った後も子ども・若者たちがいつでも気軽に相談できるように、自立生活支援研修会の事務局を務め、巣立ちを控えた県内すべての高校3年生と面会している。
一方で、子ども・若者たちのプライバシーを守りながら外部の組織や人々と連携したり理解者を増やしていくためにどう広報していくのか、自主財源が少なく委託事業収入や助成金に依存しているため活動を支えるスタッフが限られるなかでどのように外部と連携したり広報に取り組むことができるのかなどの課題がある。こうした課題の解消に向けて、施設などから巣立った人たちが安心して生活でき、自分で人生を選択できる社会へ向けて、発信力を高め、関わる人々を増やすために本助成を活用する。
社会的養護を受ける子ども・若者だけでなく、さまざまな困難を抱えた子ども・若者たちへのアフターケア事業のニーズは、今後ますます全国各地で高まるであろう。本団体が組織診断から始め、組織の改善に取り組むことは、この団体の発展だけにとどまらない。組織基盤をより強固にすることで、奈良県内での活動のさらなる展開につながり、近隣の他府県をはじめ各地へと影響が広がることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2010年設立(法人格取得:2010年) - 主な活動
- 相談支援事業
- 自立支援事業
- 社会的養護に関する学習・啓発事業
- 主な活動地域
天理市及び奈良県 - 主な受益者・数
施設等で暮らす子どもたち延べ20人、施設等を巣立った人44人、施設等で暮らす高校3年生延べ86人 他 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
1人(0人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
5人(4人) - 会員数
正会員15人、その他会員61人・2団体 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア0人、寄付14件 - 財政規模
2,159万円(2021年予算)
2,381万円(2020年決算)
2,289万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
難病児支援拠点の拡大フェイズにおける採用基盤の強化とビジョン・ミッションの再浸透・多職種連携を軸とした組織基盤強化 |
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団体名 |
一般社団法人 Burano |
代表者 |
秋山 未来(代表理事) |
【推薦理由】
医療的ケアが必要な子どもが増え、制度は改定されつつあるものの、保護者が24時間体制でケアをしているのが実態である。本団体は、こうした子どもたちのデイサービスや家族支援事業などに取り組む団体である。当事者が立ち上げ、利用する家族に寄り添った支援を行い、制度の枠組みを超えた幅広い領域で事業を展開している。地域のさまざまな団体とも連携しており、また全国の先駆的な施設とネットワークでつながり、情報交換やスタッフ交流を行っている。
本団体は昨年に組織診断を実施し、理事会や総会運営など法人運営の基盤の脆弱さについて認識しており、継続した支援体制を構築するためには、こうした組織基盤の強化が課題になっている。また、障害児通所支援事業の希望者が急増していることから、来年の完成を目指して新たな拠点の整備に着手している。このような状況の下、本団体が取り組む事業との親和性が高い人材を採用し、ビジョン・ミッションの共有を図り、団体内の医療・福祉・教育などの多職種の連携を推進することが求められている。
本助成金を活用し、これらの課題の克服にチャレンジすることは大きな意味を持っている。医療的ケアが必要な子どもを抱えた孤立する家族を社会全体で支えていくには、こうした家族の実態や支援のあり方について、社会の認識をさらに高めていくことが求められる。全国のネットワークを通じて、医療的ケアが必要な子どもと家族の支援事業を展開する他の団体にも、本団体の組織基盤強化の成果が波及することを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2017年設立(法人格取得:2017年) - 主な活動
- 障害児通所支援事業
- 家族支援事業
- 地域啓発事業
- 主な活動地域
古河市、結城市、坂東市、つくばみらい市、久喜市、加須市、小山市他 - 主な受益者・数
医療的ケア児や重症心身障害児27人、就労を希望する母親11人、研修受講希望の支援事業者375人 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
2人(1人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
12人(5人) - 会員数
0人 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア0人、寄付0件 - 財政規模
4,500万円(2021年予算)
4,315万円(2020年決算)
3,335万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
コロナ禍による性的搾取被害の相談急増に伴う組織基盤強化 |
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団体名 |
特定非営利活動法人 ぱっぷす |
代表者 |
金尻 カズナ(理事長) |
【推薦理由】
本団体は、性的搾取・デジタル性暴力の被害者や、アダルトビデオ出演への強要や性風俗産業への従事によりトラブルを抱えた女性の相談支援活動を行っている。さらに拡散された性的画像記録の削除要請や繁華街でのアウトリーチ活動も行っている。相談者の背景には貧困や社会的孤立があり、まさにデジタル時代の潮流のなかで見えない困難に陥っている。
このような相談者に丁寧に向き合い、声を出すことができない深刻な問題に取り組んでいる。相談支援にかかわる対人援助の専門性や経験も蓄積されているうえに、法律やITネットワークに関する技術者などの多様な専門家集団との連携もあり、相談者の被害回復のための具体的な手段を持ち合わせている。
設立から10年が経過し、他に代えがたい専門性が蓄積されているが、被害者からの救済のニーズは年々増加し、現場は逼迫しつつあるという。そのうえ、事業の特質からスタッフへの精神的な負荷が重く、バーンアウトしやすい傾向にある。急増するニーズに対応していくには、組織基盤を安定させるための課題の析出が必要であるが、こうした事業は収益構造になりにくく、組織体制の見直しや寄付体制の再構築など、今後の事業展開に向けた組織課題の整理が望まれる。
本団体の支援活動は、相談者の抱える見えない被害やニーズを汲み取り、あらゆる角度から丁寧に向き合う必要があるが、公的な支援がほとんど見込めない分野であり、社会が見落としがちな部分を担っている貴重な活動でもあるため、組織基盤が強化されることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2009年設立(法人格取得:2017年) - 主な活動
- デジタル性暴力・性的搾取に関わる相談支援事業
- 意に反して拡散した性的画像記録の削除要請事業
- 路上・オンラインアウトリーチ
- 主な活動地域
東京を中心とした全国 - 主な受益者・数
性的搾取・デジタル性被害を受け困っている方500人、性的画像削除要請希望の方108人、カウンセリング希望の方5人 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
15人(5人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
15人(5人) - 会員数
正会員12人 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア15人、寄付0件 - 財政規模
6,091万円(2021年予算)
3,118万円(2020年決算)
1,954万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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継続助成
2年目
助成事業名 |
長野県における持続的な生活困窮者支援事業に向けた組織基盤強化 |
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団体名 |
特定非営利活動法人 NPOホットライン信州 |
代表者 |
村上 晃(理事長) |
【推薦理由】
本団体は、長野県において2011年に設立以来、誰もが居場所や出番を有し、自立や生活の改善ができる地域社会の実現を目指し、多くのボランティアとともに延べ約3万件の「相談」対応や、延べ約7.6万人が参加した「信州こども食堂ネットワーク」等の活動を行い、県内有数の生活困窮者支援団体に成長した。
一方で、常勤の理事1名が団体の運営の大部分を担い、資金面では収入の大部分を助成金に依存し自己資金が少ないなどの課題を抱えている。
助成1年目は組織基盤強化に取り組み、事務局長を新たに雇用し、SWOT分析や3C分析などを行い、団体の置かれている状況や危機感を幅広いメンバーで共有した。また、中期計画を作成した上で自己資金を増やすための取り組みに着手し、常勤理事が担っていた業務を棚卸して一部の業務を事務局長に移行するなど、基盤強化を着実に進めている。
助成2年目は、資金調達のボトルネックとなっている広報戦略や広報媒体を見直し、1年目に策定した自己資金確保計画を継続して実行に移す。組織基盤強化の目標を達成し、助成終了後の自立した基盤を確立して、長野県におけるフードバンクやこども食堂ネットワーク活動のより一層の充実と拡大に貢献されることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2011年設立(法人格取得:2014年) - 主な活動
- 伴奏型寄り添い相談・面談同行・生活支援
- 生活必需品フードバンク・子ども応援フードドライブ・フードパントリー
- 信州こども食堂ネットワーク
- 主な活動地域
長野県下全域 - 主な受益者・数
無料電話相談者1,725人、生活困難者800人、生活困窮者・子ども500人、子ども・親20,000人 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
3人(2人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
32人(2人) - 会員数
正会員41人・24団体、その他会員91人・46団体 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア230人、寄付23件 - 財政規模
2,220万円(2021年予算)
2,910万円(2020年決算)
1,949万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
- ホームページ
- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
貧困対策を目指し、精神障害者への対人支援サービスを行うNPO法人に必要な組織基盤整備と評価環境整備の基盤づくり |
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団体名 |
特定非営利活動法人 アダージョちくさ |
代表者 |
榎本 美保子(理事長) |
【推薦理由】
本団体は、精神障がい者と健常者の垣根を越えて、地域で誰もが安心して暮らせる社会と、精神障がいがある方々が病院や施設ではなく地域で暮らすことが出来る社会の実現を目指している。1986年に活動を開始して35年にわたる実績を持ち、地域に溶け込んだ重要な活動となっている。
志のある人たちによって障がいのある人や家族の必要に応える形で始まった活動ほど、組織のガバナンスが整わないなどの問題を抱えることは少なくない。本団体もそのような「思い」を大切にしながら、組織の現状や課題を整理して、次のステップに向かう時期を迎えている。さらに障害福祉事業(制度)事業を中心に据えて来た結果、ボランティアや寄付が少ないことが課題となっている。団体が目指していることを考えると、今後、地域との協働をどう確保するかが大切となる。
助成1年目の組織診断は長年にわたる活動を見直す好機として機能した。診断の結果、組織の問題点が3つに整理され、この問題の解決に向けて4つの取り組むべき課題が明確になった。助成2年目の組織基盤強化ではこれらの課題を実行に移す。
掲げられた課題はどれも大きく、短期間で成果を出すことは困難であるが、本事業の進捗管理を十分に行った上で次に活かしていただきたい。本団体の課題がさらに整理され、組織の基盤が強化されることで、「共生社会」が実現することを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
1986年設立(法人格取得:2008年) - 主な活動
- 就労継続支援B型 ワークルーム ぐるっぺの運営
- 作業型地域活動支援センター さんりん舎の運営
- 地域住民を対象とした、精神保健福祉の啓発事業
- 主な活動地域
千種区及び名古屋市内全域、その他 春日井市、尾張旭市など近隣市 - 主な受益者・数
精神障害者約50人、精神障害者家族約20人、一般市民約60人、大学生・市民ボランティア約40人など - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
0人 - 現場職員数(うち、常勤有給数)
12人(5人) - 会員数
正会員11人・1団体、その他会員5人 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア0人、寄付1件 - 財政規模
4,725万円(2021年予算)
3,541万円(2020年決算)
3,449万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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- 団体が取り組むSDGsのゴール
助成事業名 |
誰ひとり取り残さない支援の実現が可能な組織づくりに向けた具体的実践 |
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団体名 |
一般社団法人 サステイナブル・サポート |
代表者 |
後藤 千絵(代表理事) |
【推薦理由】
本団体は、貧困を生み出す社会構造を変えるという大きな目的を掲げて活動を行っている。具体的には障害福祉サービスを基盤に就労支援事業を実施してきたが、「誰ひとり取り残さない」を目指して活動を展開し、制度の狭間に置かれた就労困難な若者や女性なども対象に広げている。
制度の枠組みにとらわれない事業を広げていくために意識の改革のみならず、継続性が伴う具体的な事業の構築が必要となる。1億円近い事業費に対して寄付収入が無く、本団体のミッションを果たすためにもこの部分のあり方も課題となる。
助成1年目の組織診断において組織が抱える問題を明らかにし、その問題の解決に向けて取り組むべき3つの課題を整理している。特にスタッフ全員によるオープンな話し合いを掲げている点はユニークである。組織が大きくなるにつれ、「全員で話す」という当たり前のことが難しくなる傾向がどの団体でも見られるが、1年目の組織診断を好機として、ミッションやビジョン、課題の共有を「オープンな話し合い」のなかで挑戦していただきたい。
本団体は「社会構造を変える」「社会課題解決」という大きなテーマを掲げており、それを支えるしっかりとした組織体制と戦略が構築されることを期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2015年設立(法人格取得:2015年) - 主な活動
- 障害福祉サービス事業
- 就職困難学生・若者支援事業
- ダイバーシティ啓発事業(まゼこゼフぇス)
- 主な活動地域
岐阜県・愛知県 - 主な受益者・数
発達障害者・精神障害者約60人、就職が困難な学生約14人、若者無業者7人、障害者2人など - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
1人(0人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
15人(10人) - 会員数
0人 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア68人、寄付0件 - 財政規模
10,953万円(2021年予算)
9,842万円(2020年決算)
6,364万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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助成事業名 |
死にたく思いつめるときに心の居場所を届けたい。相談体制充実のための組織力アップ |
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団体名 |
認定特定非営利活動法人 京都自死・自殺相談センター |
代表者 |
生越 照幸(理事長) |
【推薦理由】
本団体は、自死の苦悩を抱える方の心の居場所を、この世界の多様性を彩る一つとすることで、多様な価値がそれぞれに尊重される世界をめざしている。京都を中心に相談事業、居場所づくり事業、自死に対する啓発事業などを、理事・運営委員・事務局員・ボランティア・会員の多彩なメンバーで行っている。コロナ禍で自死する人が増えるなど、自殺相談はますます必要とされるため、本団体の社会的な意義は大きい。
助成1年目の組織診断により、設立から11年が経過した本団体の特徴として、それまで無自覚だった文化や言葉を大事にしている組織の姿勢が明らかになった。ミッションを軸とした組織であるために、言葉をめぐる議論がいかに大切であるかを確認できたことの意義は大きい。しかしその一方で、理念と現場との齟齬が表面化してきていることや、根本的な組織体制の問題が浮かび上がっている。そのための解決の方向性として、団体の事業内容や特質を踏まえつつ、言葉や組織文化を相互の理解のなかで言語化し継承していくことと、具体的な体制を構築していくことと考えている。助成2年目はこれらの問題を克服する計画と解決の方策をさらにブラッシュアップして実行に移す。
本団体の活動は今後も継続して社会の重要な役割を担うことが予測されるため、今後の充実と発展を期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
2010年設立(法人格取得:2011年) - 主な活動
- 相談事業(自死に関する電話相談およびメール相談)
- 居場所づくり事業(おでんの会・ごろごろシネマ)
- 自死に関する啓発事業(シンポジウム等)
- 主な活動地域
京都府および全国 - 主な受益者・数
自死にまつわる苦悩を抱える方2,112人、一般市民および自死にまつわる苦悩を抱える方約300人、支援をする志のある方13人、自死によって大切な人を亡くした方3人 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
3人(1人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
3人(0人) - 会員数
正会員43人、その他会員68人・28団体 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア119人、寄付83件 - 財政規模
1,175万円(2021年予算)
1,069万円(2020年決算)
1,072万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
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助成事業名 |
精神科病院における「関係性の貧困」解消に向けて 入院者の権利擁護活動を拡充するための組織基盤強化 |
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団体名 |
認定特定非営利活動法人 大阪精神医療人権センター |
代表者 |
位田 浩/大槻 和夫(代表理事) |
【推薦理由】
本団体は、精神医療や社会生活において精神障がい者の人権を擁護するために、当事者への個別相談、よりオープンな精神科病院を目指した訪問活動や情報公開、精神医療や精神保健福祉に関する政策提言を行っている。国内で先駆的な活動を行い、数多くの成果を出している団体である。2019年度から始まった厚生労働省の研究事業では、こうした事業が精神科入院者への権利擁護活動のモデルとして検討されている。
助成1年目に実施した組織診断では、さまざまな調査の結果、組織が一体となった運営、事務局機能と役割の見直し、組織内のコミュニケーションの強化などの課題が明らかになった。助成2年目の組織基盤強化ではこれらの課題の実行に向けて、運営方針の決定プロセスの再構築、新規活動参加者の定着、外部の声を聴き活動に活かす事業の実施を計画している。
これだけの伝統と実績のある団体が、本助成を活用して次のステージに進むことは、長年この事業を支えてきた多くの方々にとってもとても大切なことであり、困難な問題を抱える人々を支える非営利セクターのさらなる飛躍のために必要なことである。今夏のパラリンピックの開催でさまざまな障がいをもつ人々への理解と「共に生きる」ことの重要性が再認識され、こうした時期に組織基盤の強化を実施することの意味は大きく期待したい。
団体概要
- 設立(開設)年
1985年設立(法人格取得:1999年) - 主な活動
- 精神病院に入院中の方のための個別相談
- 精神病院への訪問活動及び情報公開
- 精神医療及び精神保健福祉に係る政策提言
- 主な活動地域
大阪府及び全国 - 主な受益者・数
個別相談1285件、冊子「扉よひらけ」500部発行 - 事務局職員数(うち、常勤有給数)
7人(1人) - 現場職員数(うち、常勤有給数)
0人 - 会員数
正会員23人、その他会員422人・36団体 - ボランティア数・寄付件数
ボランティア130人、寄付144件 - 財政規模
1,717万円(2021年予算)
3,127万円(2020年決算)
1,660万円(2019年決算)
※円グラフは、2020年度の収入内訳
- ホームページ
- 団体が取り組むSDGsのゴール