寄付管理業務を効率化し、新たな活動を展開するために「認定NPO法人 兵庫子ども支援団体」にシステムを導入

パナソニックグループは、従業員が仕事で培ったスキルや経験を活かし、チームを組んで、NPO/NGOの事業展開力強化を支援し、社会課題の解決を促進する「Panasonic NPO/NGOサポート プロボノ プログラム」に、2011年4月から取り組んでいます。
今回は5名の従業員がチームとなり、「認定NPO法人 兵庫子ども支援団体」の寄付管理システム導入を支援しました。プロボノチームは2023年7月から、団体のスタッフや寄付者、各システムを提供しているベンダーなどにヒアリングし、寄付管理業務にどのシステムを導入するか検討を重ねました。10月には中間提案を行い、要望を受けて改善策を講じ、2024年1月に団体を訪問してデータ移行を実施。2024年2月に最終提案を行いました。

本業をもちながら子どもたちを支援
認定NPO法人化を機に寄付管理の効率化を検討

「認定NPO法人 兵庫子ども支援団体」は、子どもたちが経済的な事情や家庭的な事情によって、夢をあきらめることのない社会を目指し、学習支援や子ども食堂、居場所づくり、イベントの実施、LINEを使ったオンライン相談、生活が困窮している子育て世帯に対する食料や日用品の提供などを行っています。

しかし、スタッフは本業をもちながら団体管理業務を担当しているため、十分な時間を割けず、対応できる人員も限られていました。代表の多田実乘さんは、当時の状況をこう語ります。
「団体が2023年2月に認定NPO法人になったことから、寄付金控除のために、領収書発行の負担が増えていくことが予想されました。

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兵庫子ども支援団体
代表 多田 実乘さん

少しでも効率のよい寄付管理を行うことで、捻出できた時間を支援対象者や保護者への対応に回したり、活動の理解者を増やして継続的な支援の獲得につなげるなどして、新たな活動を展開していきたいとの思いがありました」
そこで、多田さんらはプロボノに応募し、寄付管理業務のシステム化を依頼することにしました。

ヒアリングを重ね、最適なツールを選定
寄付者・支援者情報やイベント情報も一元管理

依頼を受けたプロボノメンバーは、毎週木曜日の夜にオンラインで定例会を開き、団体への支援を進めていきました。その取り組みを2024年2月13日の最終提案で振り返りました。

まずは団体のスタッフに、寄付管理に関するヒアリングを行い、業務フローを分析の上、課題を明確にしました。さらに、寄付者を増やすための施策検討材料になればとの思いから、マンスリーサポーター2名にもヒアリングを実施し、団体の強みや弱みを分析して、改善策としてのアウトプットを提案しました。団体の強みとしては「フィードバック・信頼性・親近感」を挙げ、「SNSの活用・メールマガジン・サイトのFAQ(よくある質問)」に改善の余地があることを伝えました。

続いて、寄付管理システムに、どのツールを使うか検討するために、団体の要望をヒアリングし、やりたいことを実現できそうな4つのツールに絞りました。それぞれのサービスを比較するために、ベンダーなどに対し、ヒアリングや調査を行った結果、NPOへの導入実績やサービス、サポート体制から総合的に判断して、GOENサービスが最適であるとの結論を出しました。
GOENサービスには、NPOが支援者管理を行う上で必要な領収書や寄付の礼状などの一括発行機能のほかに、寄付を受け付けるポータルサイトやメールマガジン、決済などの機能が付いています。ポータルサイトから、同じサービスに加入している団体を一覧で見ることができるため、寄付者を増やしたり、他の団体との横のつながりが生まれることも期待できます。

プロボノメンバーはGOENサービスのシステム説明会に参加し、団体に導入を検討してもらう期間を経て、正式なシステム導入に向けての伴走支援に入りました。導入説明会にもメンバーが毎回同席し、一緒に理解を深めながら、現状の業務とシステムとのギャップを埋めていきました。
2024年1月には団体のポータルサイトを公開し、プロボノメンバーが現地で3日に分けて、6年分のデータを移行する支援をしました。

新しいシステムを導入したことで、これまではExcelで管理していた寄付者情報を一元管理できるようになりました。また、収入確認書など、手作成していた4種類の帳票もGOENサービスで出力できるようになりました。さらにイベント情報、ボランティアや物品の寄付などの支援者情報も一元管理が可能になりました。

最終提案を受けての感想

多田 実乘さん

寄付管理のさまざまな支援ツールがある中で、何をどうすればいいのか、今あるデータをどう移行すればいいのかわからず、そこをサポートしていただけて、大変嬉しく思っています。僕自身、日中は公教育に携わっていて、レスポンスが遅れることもありましたが、それでも皆さんは待ってくださいました。この寄付管理システムを導入したことで、団体をご支援くださる方々にもお礼がしやすくなり、コミュニケーションを継続していくことが楽になりそうです。これからも学習支援や子ども食堂、公教育の場で出会う子どもたちをしっかり見て、今必要とされている支援を活動に反映させていきたいと思います。

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兵庫子ども支援団体
代表 多田 実乘さん

陰山 裕子さん

私自身は寄付管理にはノータッチですが、団体のグループLINEで、今回のプロボノのプロジェクト情報を見ながら、システムの選定を行うなど、私たちのために頑張ってくださっている方がいることをありがたく思っていました。新しいシステムへの切り替えを楽しみにしています。

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兵庫子ども支援団体
広報 陰山 裕子さん

木村 公亮さん

昨年の7月から、長きにわたってご支援いただき、本当にありがとうございました。私自身は、こういう場に参加するのは今回が初めてですが、団体まで足を運んでくださった皆さんの姿は、お見かけしました。今後とも何かしらの形で、お付き合いを続けていただければうれしいです。

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兵庫子ども支援団体
理事 木村 公亮さん

プロボノチームの感想

  • 藤井 紀さん
    ここに集まった他のメンバーも同じだと思いますが、子どもたちのために何かできないかという思いで参加しました。これまでの仕事の経験を活かしつつ、最適なツールをご提案しましたが、寄付管理については私自身も経験がなく、試行錯誤の連続だったので、不安は残りますが、少しでもお役に立てたのであれば、よかったと思います。
  • 前田 小登美さん
    同じ部署の同僚がプロボノに参加したと聞いて、初めて私も参加しました。団体のホームページを拝見し、少数精鋭で、さまざまな活動に取り組んでおられて、素晴らしいと思いました。私自身、ずっとシステム系の仕事に携わってきましたが、システムは導入したら終わりではなく、どんなデータを管理し、どう使っていくかが重要で、これからが本番だと言っていいかもしれません。ある程度軌道に乗るまでは、見守っていきたいと思います。
  • 米田 知弘さん
    ゴールできて感無量です。何より、一緒に活動してきた皆さんに感謝したいです。最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が言われるようになり、ずっと営業だった私も仕事で必要になってきたので、今回のプロボノは自分の勉強にもなり、仕事に生かしていけそうです。子どもを支援する活動に興味をもって始めたプロボノでしたが、最後は感心と感動の気持ちが大きかった。この先もSNSなどで、活動を見守っていきたいと思います。
  • 古山 雄也さん
    プロボノへの参加は初めてです。東京からリモートでの参加となり、現地に足を運べず、限定的な支援とはなりましたが、寄付者の方々へのヒアリングを通じて、団体の強みである高い信頼性や透明度の高い運営に触れ、皆さんの思いの強さに大変感銘を受けました。少しでも、団体の皆さんや社会のお役に立てたことをうれしく思っています。
  • 神園 昇吾さん
    子どもが二人いて、下の子に障がいがあり、特別支援学校に通っていて、地域の方々から多大なサポートをいただいています。そんなこともあって、子ども支援の活動を何か手伝えないかと思い、初めてプロボノに参加しました。仕事と家庭の予定の調整で難しい時は、メンバーの皆さんが支えてくれました。多田さんは尊い活動にも自然体で取り組まれていて、とてもいい雰囲気の団体でした。今回のツールが少しでもお役に立てば、嬉しいです。
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最終提案を終えたプロボノメンバーと兵庫子ども支援団体の皆様