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いきいきライフデザインマガジン

第28回:快便は、からだからの太鼓判! 第28回:快便は、からだからの太鼓判!
写真:加藤篤 先生 写真:加藤篤 先生

NPO法人日本トイレ研究所代表理事

加藤篤(かとうあつし)先生

排便は日々のからだからのメッセージ。食べることだけではなく、寝ること、動くこと、すべてがつながっています。つまり、トイレは日々の健康状態をトータルにチェックできる場所でもあるのです。
では快便のポイントとは何でしょうか。NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんにお話をうかがいました。

60歳を超えると、便秘が増えていく! 60歳を超えると、便秘が増えていく!

「便秘は女性の病気」と考えている方が多いかもしれませんが、じつは女性だけではありません。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、50代まではたしかに女性が多いようです。若い女性は月経時のホルモンバランスの影響や妊娠中の胎児を守るために大腸が圧迫されることで、便秘になりやすいと言われています。でも、60歳を超えると、男女ともに便秘が増えていき、80歳以上では男性のほうが多くなっています。

図1:日本の便秘人口

慢性便秘の診断・治療研究会編「慢性便秘症診断ガイドライン2017」(日本消化器学会関連研究会)より
出典:厚生労働省平成25年「国民生活基礎調査」

「便秘は女性の病気」というのは誤解。60歳を超えると、男女ともに便秘が増え、80歳以上では男性のほうが多くなる。 「便秘は女性の病気」というのは誤解。60歳を超えると、男女ともに便秘が増え、80歳以上では男性のほうが多くなる。

大事なのは、すっきり感! 大事なのは、すっきり感!

便秘は回数だけの問題ではありません。ウサギのふんのようにコロコロした便や、硬い便もよくないとされています(理想的な便の水分は80%と言われています。)。出した後に残便感があることや、「いきまないと出ない」なども、便秘症の診断基準とされています。いきまず、スムーズに出て、出した後すっきり。それが快便だと思います。たとえ毎朝出ても、残便感があるとしたら、快便とは言えないでしょう。それなら2日に1回だけど毎回すっきりする方がいいかもしれません。自分のリズムを知ることが大事です。気になる方はぜひ排便日誌をつけてみてください。

写真:便のあり方について語る加藤先生 写真:便のあり方について語る加藤先生
図2:「便秘症」の診断基準をご存じですか?・強くいきむ・ウサギのふんのようにコロコロしている、または硬い・排便後に残便感がある・便意があるのにうまく出せない・手を使って便をかきださなければならない・自然に排便できるのが1週間に3回未満 上記のような症状の内、2項目以上だと便秘症とされています。

※慢性便秘の診断・治療研究会編「慢性便秘症診断ガイドライン2017」(日本消化器学会関連研究会)を参考にわかりやすく書き換えています。

食べて、眠って、動いて、すっきり出す! 食べて、眠って、動いて、すっきり出す!

排便は日々のからだからのメッセージ。食べること、寝ること、動くこと、すべてがつながっています。まず、しっかり食べなければ、いい便は作れませんよね。また、偏った食生活では、便のもとになる食物繊維がとれないので、バランス良く食べることも大事とされています。
ぐっすり眠ることも快便につながります。自律神経には体を活発に動かす交感神経とリラックスさせる副交感神経があり、排便を司るのは副交感神経です。寝不足のときはからだが寝ないようにがんばっています。リラックスしていない。だから、排便がうまくいかなくなるのだと思います。
運動も大事です。運動をしているときは交感神経が優位になります。心臓を元気に動かし、血流が良くなっている状態です。その反動で、運動後はリラックスモードに。つまり、しっかり運動すると、副交感神経へのスイッチが入りやすくなり、快便につながるというわけです。
このように、排便は日々の生活の結果です。この貴重な結果をしっかり観察して、日々の生活を振り返ってみてください。
最近は子どもの便秘も増えていように感じます。お孫さんと一緒に「今日のうんち」を記録してはいかがでしょうか。便の形状には、じつは国際指標があります(図3)。「今日は6番。昨日冷たいものを食べ過ぎてお腹をこわした」などと報告し合うのもいいですね。子どもは大人の真似をしたり、一緒に何かをしたりするのが大好きです。子どものうちから排便に前向きになることで、生涯役立つ健康習慣が身につくと思います。

写真:排便はからだからのメッセージ。と伝える加藤先生 写真:排便はからだからのメッセージ。と伝える加藤先生
写真:NPO法人日本トイレ研究所の啓蒙冊子

NPO法人日本トイレ研究所では、子どもも大人も排便と健康について楽しく学ぶことができる冊子などをつくり、啓発活動を行っています。

図3:便の形状を測る国際指標「ブリストル便形状スケール」コロコロ便、硬い便、やや硬い便、普通便、やや柔らかい便、泥状便、水様便など、さまざまな便を解説。

ブリストル便形状スケール、「慢性便秘症診療ガイドライン」を参考に作成

スマートフォンと連携で、便利と健康をサポート「アラウーノアプリ」対応シリーズ:L150シリーズ
写真:お通じモニタ 「お通じモニタ」は大洗浄の使用をカレンダーへ自動的に記録します。便の状態も記録できます
写真:みまもりモニタ 「みまもりモニタ」は、離れて暮らす家族の トイレの使用状況を確認できます
排便は日々の生活の結果。この貴重な結果をしっかり観察して、日々の生活を振り返ってみよう。 排便は日々の生活の結果。この貴重な結果をしっかり観察して、日々の生活を振り返ってみよう。

快適なトイレ=安心できるトイレ 快適なトイレ=安心できるトイレ

快適なトイレの条件とは、ひとことで言うと、安心できることです。自律神経の副交感神経が優位になるようなリラックスできるトイレ。明るさ、清潔さ、使い勝手、和式か洋式かなどいろいろな要素があると思いますが、その人にとって安心できるトイレが快適なトイレです。

解説写真:360°アワビームで3大汚れからトイレを守るビューティ・トワレ
解説写真:劇落ちバブルとスゴピカ素材でお掃除ラクなアラウーノ
解説写真:汚れが入り込みやすい継ぎ目がない「スキマレス便座」のビューティ・トワレ
解説写真:汚れが入るスキマがほとんどない「スキマレス設計」のアラウーノ

空気の浄化に威力を発揮する「ナノイー」の決め手となるOHラジカルを10倍生成して、効果の得られる時間を大幅に短縮した「ナノイーX」を搭載。壁などに付着したニオイにも対応。

解説写真:便座からナノイーXを放出

便ふた・便器内部の空間に「ナノイーX」を放出して、便座・便器内表面の菌を抑制(手動運転時)するほか、壁についたニオイも軽減するビューティ・トワレ(AWM600)
※詳細は以下参照

解説写真:便器本体からナノイーXを放出

便器本体から「ナノイーX」を放出し、トイレ空間の壁などに付着したニオイを脱臭するアラウーノ(L150シリーズ)
※詳細は以下参照

自分の意思が反映されると安心できることもありますから、自分なりのアレンジを楽しまれるのも良いと思います。

写真:トップカバーとアームレストの色柄が選べるアラウーノL150シリーズ、ドレスアップコレクション

トップカバーとアームレストの色柄が選べるアラウーノ L150シリーズ:ドレスアップコレクション

そもそもトイレは転倒リスクが大きい場所でもあります。便座が高くて座りにくい、座った後立ち上がりにくいなどの不具合を感じたら、つかまりやすい位置に手すりをつけるなど、早めに対策を打っておきましょう。

写真:アームレスト付きアラウーノ

立ち座りがラクなアームレスト付きアラウーノ

写真:背面と便器内を照らす、間接照明

背面と便器内を自動で照らす「間接照明」

生理機能の面から言うと、前かがみ35度の姿勢が、直腸と肛門の角度が一直線に近づくので、便が出やすくなるそうです。和式でしゃがむとこの姿勢になります。洋式の場合はかかとを上げ、肘をふとももに置いて、背骨と脚の角度を35度に近づけましょう。小柄な方は足置きを置くとラクですよ。

イラスト:整理機能面から見た排便しやすい姿勢
快適なトイレの条件とは、ひとことで言うと、安心できること。条件は人それぞれ。その人にとって安心できる トイレが快適なトイレ。 快適なトイレの条件とは、ひとことで言うと、安心できること。条件は人それぞれ。その人にとって安心できる トイレが快適なトイレ。

災害時には家庭で携帯トイレを活用しよう!

大きな地震のときは、水洗トイレが使えなくなります。そんなときは携帯トイレを家庭のトイレにセットして使えば、外のトイレに行かずにすみます。便座の下にポリ袋をかぶせ、その上に携帯トイレをつけて、これを交換していくことで、建物内のトイレを有効活用できます。
(ご家庭の人数)×(1日トイレに行く回数)×(備蓄日数/少なくとも7日)分を備えておきましょう。
排水管に被害がない場合、排水トラップ(配水管のU字型の部分)を手動で回して流せるターントラップ式の水洗トイレなら、便器内にたまった汚水と排泄物を排水ことができます。
トイレを快適に使えるかどうかは、命にかかわる問題です。日頃から安心できるトイレ環境を整え、からだからのメッセージに向き合う習慣をもっていただければと思います。

●もしもの時も排水できる「停電対応」機能の付いたアラウーノ

解説写真:乾電池を使えるL150シリーズ

乾電池(別売)を使ってボタンで洗浄できる。
排水に加え、給水も可能に(L150シリーズ)

解説写真:サイドカバーを開き、手動ハンドルで流すことできる

サイドカバー内にある非常用の手動ハンドルを回して、流すことができる

日頃から安心できるトイレ環境を整え、からだからのメッセージに向き合う習慣を持とう! 日頃から安心できるトイレ環境を整え、からだからのメッセージに向き合う習慣を持とう!
排便のポイント 1:しっかりバランスよく食べる! 2:ぐっすり眠る! 3:適度な運動により自律神経を整える! 4:トイレを安心できる環境に整える! 5:自分の排便リズムを知っておく! 6:便意に注意を払い、タイミングを逃さない! 7:排便姿勢は前かがみ35度がベター! 8:いきまず、するっと出て、すっきり感があればOK!
加藤篤 先生プロフィール
写真:加藤篤 先生著書「うんちはすごい」 写真:加藤篤 先生著書「うんちはすごい」

1972年愛知県生まれ。まちづくりのシンクタンクを経て、現在、NPO法人日本トイレ研究所代表理事。小学校のトイレ空間改善や研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。「災害時トイレ衛生管理講習会」を開催し、災害時にも安心できるトイレ環境づくりに向けた人材育成取り組んでいる。著書に「うんちはすごい」(イースト・プレス新書)など。

編集後記 編集後記

人物イラスト:中尾洋子 パナソニック(株) 全社UD推進担当主幹

中尾洋子 パナソニック(株) 全社UD推進担当主幹

飼っている犬はうんちを見て体調を管理しているのに、自分のものはあまり見ていないと反省。確かに体の状態を分かりやすくチェックできるものですよね。今回、お話をお聞きする為に日本トイレ研究所にお伺いしたら、かわいらしい金色のうんちバッチがあり思わず購入しました。トイレはどんどんキレイになっていますし、色々な方向から排便をポジティブにとらえて、自分の体の管理に役立てたいですね。