睡眠評価研究機構 代表 医学博士
質の高い眠りは、心身の疲れを癒やし、日々の活力を与えます。また、病気や事故のリスクを抑えて健康長寿を支える最高の健康法でもあります。睡眠研究のパイオニアである白川修一郎先生に、快眠をもたらす生活習慣を教えていただきました。
この2週間のあなたの睡眠の状態について、以下のA~Eの項目の当てはまるものすべてに〇をつけてみましょう。
いかがでしたか。
A : 〇が4つのあなたは、人もうらやむ寝つきの達人。〇が3つは名人です。
B : 〇が5つのあなたは、ぐっすりスリープの達人。〇が3つ以上は名人です。
C : 〇が4つのあなたは、スッキリ目覚めの達人。〇が3つは名人です。
D : 〇が4つのあなたは、眠りをしっかりとれている達人。
E : 〇が6つのあなたは、寝室コーディネートの達人。〇が4つ以上は名人です。
A、B、Cすべてが名人以上の方は睡眠負債の心配はなさそうです。ただし、Dの項目に一つでも〇がつかないものがある方は睡眠に問題があるかもしれません。これからお話しする快眠術をヒントに生活習慣を変えてみましょう。
Dにひとつも〇がつかない状態がしょっちゅうある場合は要注意かもしれません。お近くの心療内科や睡眠障害外来などに相談してみてください。
脳と身体を休めるためには、まず7時間前後の睡眠が必要です。睡眠時間が6時間を切るとさまざまな病気や事故のリスクが増えてしまいます。
ただし、7時間前後眠っても、睡眠の質が悪いと睡眠不足と同じ状態になります。睡眠の質とは安定性のこと。すぐに眠れて、一度眠ったら朝までぐっすりというのが質の高い睡眠です。高齢者は睡眠の安定性が悪くなりやすいので要注意。睡眠の質を上げるには、規則正しい生活を送ることが大切です。
睡眠の質を高めるために、毎日同じ時間帯に眠って起きる、朝食と夕食を決まった時間にとることで、生体リズムを整えましょう。
朝食は糖質とタンパク質をしっかりとる。これだけでも睡眠の質が上がります。胃に食べ物が残っていると熟睡はできないので、夕食は寝る3時間前までに済ませましょう。寝酒は睡眠の質を下げるので、お酒を飲むなら夕食時に。
日中、できれば夕方の適度な運動も良い睡眠には欠かせません。ウオーキングなど軽く汗ばむ程度の有酸素運動を30分ほど行いましょう。
不規則な居眠りやうたた寝は睡眠リズムを乱します。正午から午後3時までの間に30分間の昼寝を習慣にすることで、居眠りやうたた寝を防ぎましょう(60歳以下の方は15分から20分以内にします)。
入浴はシャワーではなく湯船に浸かった方があきらかに睡眠の質が上がります。41℃以下のぬるめのお湯にゆっくり(10分以内)浸かりましょう。
明るさは生体リズムに大きな影響を与えます。朝は明るい光を浴びることで覚醒を促します。日中に十分な光を浴びないと、睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌されないのです。冬に晴天が少ない地域にお住いの方は、昼間室内を白色光で明るい状態にしておいてください。
夜は寝る1時間前から温かな色の照明で生活に支障のない程度の明るさにしてリラックスを。寝る30分前からはさらに照度を下げて50ルクス以下に(高齢の方で白内障の手術をされてない方はブルーライトの影響を受けないので、白色光でも大丈夫です)。
睡眠中は真っ暗もしくは月明かり程度 (3ルクス以下)に間接光を散乱させて安心できる環境にしましょう。
LEDシーリングライト
HH-CD1070A、HH-CD0870A 等
寝室でもっとも大事なのは温度と湿度です。高齢になると暑さや寒さへの感受性が鈍くなりますから、必ず温湿度計を見てエアコンや加湿器で調整しましょう。布団の中は温かくても顔に冷たい空気が当たると神経が昂りますから、冬も16℃以上を保ちましょう。湿度は、冬は50%以上でウイルスの増殖を防ぎ、夏は70%以下を保って熱中症を防ぎましょう。
高齢になると免疫機能が落ちてアレルギー症状が出やすくなるので、空気清浄機や布団用掃除機でハウスダスト対策も忘れずに。
パナソニックエアコン Xシリーズ
加湿空気清浄機 F-VXR55
ふとん掃除機 MC-DF500G
眠る前は、好きな香りや音楽を楽しんだり、かんたんなストレッチや呼吸法を行ったりして、リラックスするようにしましょう。夜は脳の機能が落ちているので、難しいことを考えると、イライラしたり、不安になったりして、眠れなくなってしまいます。そういうことは翌朝のスッキリした頭で考えればいいのです。
脳と身体を休めることができるのは、睡眠しかありません。現代人はとかく起きているときを中心に考えて、睡眠が後回しになりがちですが、1日は朝から始まるのではなく、夜、寝る時から始まるのです。いくつになってもいきいきと快適な毎日を送るために、ぜひ一度生活習慣を見直し、睡眠を中心に据えた生活を送ってください。
睡眠評価研究機構代表、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。江戸川大学睡眠研究所客員教授。日本睡眠改善協議会理事長。睡眠研究のパイオニアとして各メディアで睡眠に関わる正しい知識を伝道中。主な著書に『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)、『睡眠負債』(朝日新聞出版)、『命を縮める「睡眠負債」を解消する科学的に正しい最速の方法』(祥伝社)などがある。
中尾洋子 パナソニック(株) デザイン戦略室 課長 / 全社UD担当
普段は大丈夫でも、気になることがある時やイベントの前日などは、中々寝付けず苦しい思いをすることがあります。教えて頂いたことに気をつけて、安心してぐっすり眠れるようにしたいです。中でも、寝室で最も大事なのは温度と湿度なんですね。夏は快眠のためにエアコンつけるようにしていますが、冬に顔が冷たいのも良くなかったとは…。大切な睡眠のために、みなさんも出来ることから始めてみて下さい。
関連情報
UD関連ニュース
関連リンク
「ユニバーサルデザインってなんだろう?」
子ども達の「?」を解決するためのページです。
ユニバーサルデザインの楽しさや大切さを紹介しています。