Universal Design ユニバーサルデザインを通じて、より多くの人が生き生きと暮らせる生活の実現を目指すパナソニック。 「いきいきライフデザインマガジン」では、様々な専門家から人生をさらに豊かにするヒントをお届けしてまいります。

いきいきライフデザインマガジン

第24回:実践編 健康長寿のための快眠術 第24回:実践編 健康長寿のための快眠術
写真:白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生肖像 写真:白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生肖像

睡眠評価研究機構 代表 医学博士

白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生

質の高い眠りは、心身の疲れを癒やし、日々の活力を与えます。また、病気や事故のリスクを抑えて健康長寿を支える最高の健康法でもあります。睡眠研究のパイオニアである白川修一郎先生に、快眠をもたらす生活習慣を教えていただきました。

写真:(左)白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生、(右)パナソニック(株) デザイン戦略室 中尾洋子

あなたの眠りの状態と環境をチェック! あなたの眠りの状態と環境をチェック!

この2週間のあなたの睡眠の状態について、以下のA~Eの項目の当てはまるものすべてに〇をつけてみましょう。

睡眠チェック表:Aあなたの寝つきは?(ベッドに入ってから、10分以内に寝ついてしまう / ベッドに入った後のことは、何も覚えていない / ベッドに入ると、まわりのことは全然気にならない / 自分には眠りにつくための必殺技がある)、Bあなたの熟眠度は?(少々の物音がしても目が覚めるようなことはない / 一度寝ついてしまうと夜中に目が覚めるようなことは、ほとんどない / 朝のしらじら明けを寝床の中で体験した覚えは、ほとんどない / 朝は、目覚まし時計が鳴り始めるまで、全然気がつかない / 朝早くに目が覚めて、困ったような経験はほとんどない)、Cあなたの目覚めは?(予定の起床時近くになると自然に目が覚める / 目覚めたら5分以内にベッドを離れられる / 朝は、すっきり目覚めて、身体もリフレッシュしている / 朝は、食欲があり、朝食をモリモリ食べる)、Dあなたの日中の状態は?(午前中は仕事や家事、趣味などに集中できる / 午後は眠気もなくスッキリしている / 日中、身体を動かすことはおっくうでない / 夕食後にうたた寝や居眠りをしたことがない)、Eあなたの睡眠環境は?(寝室は間接照明にするなど、部屋の雰囲気づくりには気を使っている / 寝室の温湿度は、適温になるようにこだわっている / 寝室に空気清浄機を置き、空気をきれいにしている / 週に1回以上は寝具を掃除機で掃除し、シーツやパジャマなども洗濯している / 寝る前は自分の好きな香りをかいだり、音楽を聴いて過ごすようにしている)

いかがでしたか。
A : 〇が4つのあなたは、人もうらやむ寝つきの達人。〇が3つは名人です。
B : 〇が5つのあなたは、ぐっすりスリープの達人。〇が3つ以上は名人です。
C : 〇が4つのあなたは、スッキリ目覚めの達人。〇が3つは名人です。
D : 〇が4つのあなたは、眠りをしっかりとれている達人。
E : 〇が6つのあなたは、寝室コーディネートの達人。〇が4つ以上は名人です。

A、B、Cすべてが名人以上の方は睡眠負債の心配はなさそうです。ただし、Dの項目に一つでも〇がつかないものがある方は睡眠に問題があるかもしれません。これからお話しする快眠術をヒントに生活習慣を変えてみましょう。
Dにひとつも〇がつかない状態がしょっちゅうある場合は要注意かもしれません。お近くの心療内科や睡眠障害外来などに相談してみてください。

理想の睡眠は、朝までぐっすり約7時間 理想の睡眠は、朝までぐっすり約7時間

脳と身体を休めるためには、まず7時間前後の睡眠が必要です。睡眠時間が6時間を切るとさまざまな病気や事故のリスクが増えてしまいます。
ただし、7時間前後眠っても、睡眠の質が悪いと睡眠不足と同じ状態になります。睡眠の質とは安定性のこと。すぐに眠れて、一度眠ったら朝までぐっすりというのが質の高い睡眠です。高齢者は睡眠の安定性が悪くなりやすいので要注意。睡眠の質を上げるには、規則正しい生活を送ることが大切です。

規則正しい生活が睡眠の質を高める! 規則正しい生活が睡眠の質を高める!

睡眠の質を高めるために、毎日同じ時間帯に眠って起きる、朝食と夕食を決まった時間にとることで、生体リズムを整えましょう。
朝食は糖質とタンパク質をしっかりとる。これだけでも睡眠の質が上がります。胃に食べ物が残っていると熟睡はできないので、夕食は寝る3時間前までに済ませましょう。寝酒は睡眠の質を下げるので、お酒を飲むなら夕食時に。
日中、できれば夕方の適度な運動も良い睡眠には欠かせません。ウオーキングなど軽く汗ばむ程度の有酸素運動を30分ほど行いましょう。
不規則な居眠りやうたた寝は睡眠リズムを乱します。正午から午後3時までの間に30分間の昼寝を習慣にすることで、居眠りやうたた寝を防ぎましょう(60歳以下の方は15分から20分以内にします)。
入浴はシャワーではなく湯船に浸かった方があきらかに睡眠の質が上がります。41℃以下のぬるめのお湯にゆっくり(10分以内)浸かりましょう。

光で睡眠と覚醒をコントロール 光で睡眠と覚醒をコントロール

明るさは生体リズムに大きな影響を与えます。朝は明るい光を浴びることで覚醒を促します。日中に十分な光を浴びないと、睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌されないのです。冬に晴天が少ない地域にお住いの方は、昼間室内を白色光で明るい状態にしておいてください。
夜は寝る1時間前から温かな色の照明で生活に支障のない程度の明るさにしてリラックスを。寝る30分前からはさらに照度を下げて50ルクス以下に(高齢の方で白内障の手術をされてない方はブルーライトの影響を受けないので、白色光でも大丈夫です)。
睡眠中は真っ暗もしくは月明かり程度 (3ルクス以下)に間接光を散乱させて安心できる環境にしましょう。

LEDシーリングライト
HH-CD1070A、HH-CD0870A 等

写真:LEDシーリングライト 解説:設定した時刻が近付くと徐々に明るくなる光と「PiPiPiPi…」というアラームの音で起床時刻をお知らせ。 朝日が昇るように快適なお目覚め環境をサポートします。
解説:おやすみ前のリラックス「くつろぎのあかり」リモコンで、【間接光】夜モード「くつろぎのあかり」 (色濃度2000K)と、【間接光】+【直接光】全体を明るくすることも可能です。 【おまかせモード】では、設定時間になると自動で「くつろぎのあかり」に切り替わり、入眠に適した環境を整えます。

一年中、快適な温度と湿度をキープ 一年中、快適な温度と湿度をキープ

寝室でもっとも大事なのは温度と湿度です。高齢になると暑さや寒さへの感受性が鈍くなりますから、必ず温湿度計を見てエアコンや加湿器で調整しましょう。布団の中は温かくても顔に冷たい空気が当たると神経が昂りますから、冬も16℃以上を保ちましょう。湿度は、冬は50%以上でウイルスの増殖を防ぎ、夏は70%以下を保って熱中症を防ぎましょう。
高齢になると免疫機能が落ちてアレルギー症状が出やすくなるので、空気清浄機や布団用掃除機でハウスダスト対策も忘れずに。

パナソニックエアコン Xシリーズ

写真:パナソニックエアコン 解説:あなた好みの室温に調整してくれる「おやすみナビ」アプリ対応
解説:アプリで、お好みの設定でエアコンを快適コントロールができます。また、おやすみ中の体動と連動しエアコンが自動で快適な室温にコントロール。快適な睡眠環境をつくります。

加湿空気清浄機 F-VXR55

写真:加湿空気清浄機 解説:おやすみ前とお目覚め前はハウスダストや花粉などをしっかりと吸引「寝室モード」 お休み中は睡眠を妨げないように、静かに運転し空気をキレイに整えます。

ふとん掃除機 MC-DF500G

写真:ふとん掃除機 解説:目に見えないダニのフンまで見つけてお知らせ。ふとんのゴミの取り残しを防ぐ「ハウスダスト発見センサー」
解説:ダニやゴミを検知すると赤点灯し、キレイになったら青点灯でお知らせ。ゴミ捨て時の舞い散りを押さえ、お部屋の空気も汚さずキレイに。「紙パック式採用」

快適な1日は睡眠から始まる 快適な1日は睡眠から始まる

眠る前は、好きな香りや音楽を楽しんだり、かんたんなストレッチや呼吸法を行ったりして、リラックスするようにしましょう。夜は脳の機能が落ちているので、難しいことを考えると、イライラしたり、不安になったりして、眠れなくなってしまいます。そういうことは翌朝のスッキリした頭で考えればいいのです。
脳と身体を休めることができるのは、睡眠しかありません。現代人はとかく起きているときを中心に考えて、睡眠が後回しになりがちですが、1日は朝から始まるのではなく、夜、寝る時から始まるのです。いくつになってもいきいきと快適な毎日を送るために、ぜひ一度生活習慣を見直し、睡眠を中心に据えた生活を送ってください。

白川修一郎(しらかわしゅういちろう) 先生プロフィール
写真:白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生肖像 写真:白川修一郎 (しらかわしゅういちろう) 先生肖像

睡眠評価研究機構代表、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。江戸川大学睡眠研究所客員教授。日本睡眠改善協議会理事長。睡眠研究のパイオニアとして各メディアで睡眠に関わる正しい知識を伝道中。主な著書に『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)、『睡眠負債』(朝日新聞出版)、『命を縮める「睡眠負債」を解消する科学的に正しい最速の方法』(祥伝社)などがある。

編集後記 編集後記

人物イラスト:中尾洋子 パナソニック(株) デザイン戦略室 課長 / 全社UD担当

中尾洋子 パナソニック(株) デザイン戦略室 課長 / 全社UD担当

普段は大丈夫でも、気になることがある時やイベントの前日などは、中々寝付けず苦しい思いをすることがあります。教えて頂いたことに気をつけて、安心してぐっすり眠れるようにしたいです。中でも、寝室で最も大事なのは温度と湿度なんですね。夏は快眠のためにエアコンつけるようにしていますが、冬に顔が冷たいのも良くなかったとは…。大切な睡眠のために、みなさんも出来ることから始めてみて下さい。