犬山動物総合医療センター代表
ご高齢の方がペットと暮らす上でどんなことに気をつけたらいいのか、また人にもペットにも快適な住環境の工夫について、全国の獣医師団体「Team HOPE」および犬山動物総合医療センター代表の太田亟慈先生にパナソニック(株)デザイン戦略室の中尾洋子がおうかがいしました。
当社もペットのリフォームを色々とご提案していますが、ご高齢の方がペットと暮らすにあたって、住環境にはどんな工夫が必要でしょうか。
もともと動物アレルギーというものはあまりないのですが、毛に付いたホコリや汚れが原因となってアレルギーを起こすのです。ペットをさわるとアレルギーになるという方でも、朝晩、固く絞ったタオルでペットを拭いてあげるようにすると、アレルギーが治る場合がかなりありますよ。さらに空気清浄機は絶対に必要ですね。ペットの毛は菌やダニが繁殖しやすいので、除菌やウイルス対策が大切です。
ペットが室内にいるとニオイも気になります。空気清浄機で香りを付加するものがありますが、ペットにはどうなのですか。
ペットは嗅覚が敏感なので、香りは嫌がりますね。鼻をくしゅんくしゅんとやりますよ。私の病院でも一時期アロマディフューザーを使ってみたのですが、精油の香りと動物のニオイが混じってしまうので、あまりよくないですね。
では、ニオイ自体も消せるような空気清浄機や脱臭機がいいのですね。
そうですね。
逆に、テーブルの脚など、犬にかじられたくないところには、イヤがるニオイをつけるといいですよ。
次亜塩素酸の力でスピード脱臭、
発生し続けるニオイにも高い効果を発揮する
空間除菌脱臭機「ジアイーノ」
ナノイーでニオイを脱臭し、ペットの生活ゾーン
である床上30cmをの汚れを効率よく見つけて
吸引する空気清浄機
抜け毛対策も大事ですね。毎日たくさん抜けるので、効率よく掃除しないと、とくに体力が落ちていくご高齢の方は疲れてしまいます。
うちはミニチュアダックスフンドと暮らしていて、抜け毛についてはそれほど気にしていませんでしたが、ロボット掃除機を使うようになったら、毎日ものすごい量の毛がとれるのでびっくりしました。
ロングヘアですか?
そうです。
短毛種はもっと抜けますよ。プードルはあまり抜けませんが、ほとんどの犬や猫はだいたい思っている以上に抜けています。私の自宅でもロボット掃除機を使っていますが、古い機種だからか、音が大きいのですよ。犬や猫は耳がいいから、大きな音をいやがりますね。そろそろ音の静かな機種に買い換えないと。
ロボット掃除機は散歩中に使用されるといいですよ。
なるほど、散歩に出ているときに使えばいいのですね。
あとはソファなどについた抜け毛が気になるときに、サッと吸い込めるハンディな掃除機があるといいですね。
ソファや柔らかいクッションにも使えるノズル付きのふとん掃除機はいかがですか。ダニや微細なゴミを検知してランプで知らせる赤外線センサーもついています。
老眼が進むと細かな毛は見落としがちなので、センサー付きはいいですね。
3種類の障害物検知センサーと
カメラセンサーで賢く丁寧に掃除する
ロボット掃除機「ルーロ」
ハウスダスト発見センサー搭載
「ふとん掃除機」
床はどうすればいいでしょうか。前にミニチュアダックスフンドの腰が悪くなって獣医さんに診てもらったとき、「フローリングの床は危険だから絨毯を敷いてください」と言われて、絨毯を敷いたのですが、今度はそそうをしたときが大変なのです。
フローリングが流行るようになってから、膝を痛める事故も増えています。犬はダーッと走って急に方向転換する習性があります。そのときに床が滑ると、膝の靱帯がプチッと切れてしまうのです。ですから、ご家族の方には、すべりにくい加工をした床材をお薦めしています。すべらないけど掃除がしやすいものが理想です。
それから、濡れた床もすべりやすいので気をつけてください。私の犬は2歳のときに濡れた床ですべって膝を痛めてしまいました。
蒸し暑い室内や閉め切った車の中でのお留守番で熱中症になって動物病院に運び込まれてくるペットがたくさんいます。
そうなんですか?
種類や個体差によって差がありますが、基本的に、ペットは人間よりも暑さや湿度に弱いので、留守中もエアコンをつけて快適な温度を保ってあげてください。
エアコンには、ご高齢の方や小さなお子様のいるご家庭に好評な、室温を測って一定以上の温度になると自動的にスイッチが入る機能がついたものがあります。
その機能はペットにも大変いいと思います。私の自宅では留守中もずっとエアコンをつけていますよ。冬は猫のために床暖房もつけっぱなしです。
ホームネットワークシステムを活用して、ペットの様子をスマホで見て、温度管理をしたり、外出先からペットに声がけもできたりする「遠隔留守番ケア」というのもあります。
外出先からも温度管理ができるのはいいですね。理想を言うなら、ペットの心拍数や体温などがわかると万全です。
ペットの健康を家庭でもチェックできるポイントがあればぜひ教えてください。
動物たちは言葉が話せないので、体調が悪くてもそれを伝えることができません。全国の獣医師からなる「Team HOPE(チームホープ)」では、ペットの不調や不具合をご家族がいち早く発見できるように「ウェルネスチェックシート」をつくりました。あてはまる項目がひとつでもあれば、早めに動物病院に連れていってあげてください。人間と同じで、動物も早く病気が見つかれば、重症になる前に対処でき、早く治ります。
認知症の兆候もチェックできますか?
老化に伴って脳が萎縮してくると、耳が遠くなって呼んでも聞こえなかったり、夜鳴きをしたり、徘徊したりという症状が出てきます。認知症の予防はできませんが、とてもよく効くサプリメントがあるので、先ほどお話したような症状が出てきたら、動物病院で診てもらってください。前編でもお話ししましたが、高齢のペットとつきあうノウハウは十分に確立されています。ペットも人も長生きして最期まで楽しく暮らせるように、快適な環境をつくって、ちょっとした変化に日頃から気をつけてあげましょう。
1954年生まれ、名古屋市出身。獣医学博士(Ph.D)
1977年北里大学畜産学部獣医学科卒業、犬山動物病院入社。1998年犬山動物総合医療センター院長、2009年より北京農学院動物科学技術部臨床獣医学客員教授に就任。2014年から同センター代表に。2016年より全国の獣医師が協力してペットの未来を考える「Team HOPE」を起ち上げ、ペットの予防医療に取り組む。自身も自宅で2頭、病院で1頭の犬を飼う。
中尾洋子 パナソニック(株) デザイン戦略室 課長 / 全社UD担当
ロボット掃除機はペットを飼っているご家庭に良いのでは?と思っていましたが、他にも色々な普通の家電も役に立つことが分かって良かったです。また、ペットの毛は菌やダニが繁殖しやすいので除菌やウィルス対策が大事とお聞きして、マメに空気清浄機をつけてソファや座布団にも掃除機をかけるようになり気持ちもスッキリしています。皆さんも家電を上手く使って、快適なペットライフをお過ごし下さい。
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