表面分析
XPS(ESCA)、TOF-SIMS、AES等の分析手法により、極表面の元素組成や化学結合状態を明らかにします。
極表面の状態分析:X線光電子分光分析(XPS、ESCA)
超高真空中で試料表面にX線を照射して、極表面から放出される光電子のエネルギースペクトルから構成元素や化学結合状態を明らかにします。
また、付属のアルゴンイオン銃を併用して、深さ方向の分析も可能です。(有機多層膜の分析では、試料ダメージを抑えるために、 アルゴンガスクラスターイオン銃を使用する場合もあります。)
極表面の元素分析:オージェ電子分光分析(AES)
超高真空中で、試料表面に電子線を入射して、極表面から放出される電子のエネルギースペクトルから構成元素を明らかにします。 また、付属のアルゴンイオン銃を併用して、深さ方向の分析も可能です。
- 電極表面のワイヤボンディング不良部の分析
- めっき膜などに発生した異物特定や変色原因物質の分析
- 金属酸化膜や多層薄膜材料の深さ方向分析
極表面の有機物分析:飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)
超高真空中で試料表面にパルス状のイオンビームを入射して、極表面から放出される二次イオンを飛行時間型検出器で質量分離して検出することによって、試料表面の有機物の解析を行います。
また、付属のエッチング用イオン銃を併用して、深さ方向の分析も可能です。(分子構造の開裂を抑えるために、 アルゴンガスクラスターイオン銃を使用する場合もあります。)
- 電極表面の汚染物の分析
- 半導体プロセスにおける付着物の分析
- 樹脂表面でのトラブル原因解析
- 有機多層膜の深さ方向分析
- 電池 極板中のリチウム分布の可視化
極表面の微量成分分析:二次イオン質量分析(SIMS)
超高真空中で試料表面にイオンビームを入射して、極表面から放出される二次イオンを質量分離して検出することによって、試料表面の微量構成元素を明らかにします。
- 低エネルギーイオン注入のプロファイル分析
- 極薄膜の深さ方向プロファイル分析
- 試料表面に付着した異物の分析
トランスファーベッセルを用いた大気非暴露環境での表面分析
数nmの極めて浅い表面に存在する元素や分子情報を調べる表面分析では、大気中の水分や酸素が引き金となり、化学状態の変質が生じる場合があります。
トランスファーベッセルは、大気中の水分や酸素から分析試料を守って分析装置内に導入するためのツールです。例えば、酸素や水分と金属材料は、アルゴン雰囲気で満たしたグローブボックス中でサンプリングを行ってからトランスファーベッセルに入れると、大気暴露せずに分析装置内へ導入することができます。あるいは、水分と反応しやすいリチウム酸化物はドライルーム環境でサンプリングを行い、 トランスファーベッセルに入れると、水分と反応させずに分析装置内へ導入することが可能です。
当センターでは、XPS分析、TOF-SIMS分析でトランスファーベッセルを使用することができます。
二次電池の電極材料、プラズマ処理による表面状態変化、剥離界面状態などの分析時に活用できます。