耐薬品性試験 ーケミカルクラック試験/ソルベントクラック試験ー

Chemical Resistance Test / Solvent Crack Test     

思いがけない 樹脂トラブル “割れ /ヒビ / 変色” 等にお困りありませんか?

そのような樹脂の割れの原因としまして、
ソルベントクラック ≒ 薬品割れ」 であることが考えられます。

*ソルベントクラックとは・・・ 
薬品が樹脂中に浸透し、樹脂中の高分子鎖の絡み合いを解きほぐすことによって引き起こされる割れのことを言います。

薬品割れは、“歪み“ のかかった位置に ”薬品” がかかることで発生します。

※樹脂成形品に発生する歪は、ねじ締結やインサート、組立により発生するものから、成形時の残留歪といった成形品内部に存在するものなどがあります。

樹脂の例…ABS、PC、ABS+PC、POM、アクリル など   
※PC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)
薬品の例 一般家庭…洗剤、化粧品、接着剤、除菌アルコール、食用油 など  工場…有機溶剤、可塑剤、潤滑油 など
歪み治具を用いた定量的な耐薬品性評価

薬品割れを引き起こす薬品として、有機溶剤・可塑剤・潤滑油など工場で使用されるものから、洗剤・化粧品・接着剤・食用油など一般家庭で使用されるものまで様々あります。

薬品分布の試験前と試験後

歪み治具を用いた定量的な耐薬品性評価

 

試験の流れ

試験片準備→定歪治具に試験片取り付け→薬品塗布→一定時間後の外観状態を確認→ 臨界歪み導出
※試験片作成から承ります
耐薬品性試験の様子
※12段階(0.2~1.6%)の定歪治具を使用
使用環境を想定した薬品を樹脂試験片を塗布

耐薬品性試験の様子をデジタル画像相関(DIC)で測定した結果

▲歪みのかかった試験片に薬品を塗布したところ、亀裂が発生し、時間経過とともに亀裂が伸展。
薬品塗布箇所を中心に、試験片が左右に開いていく様子が確認できる。その後、さらに亀裂が伸展し、耐えきれなくなって破断に至る様子を定量的に可視化。

※上記の方法以外にも、
ご提供頂ける試験片の形態によって適宜ご相談いただけます。

アウトプット例

外観変化(割れ/クラック等)が発生した時の歪値(臨界歪)を導出。
材料の耐薬品性の優劣を定量的に比較が可能。

樹脂同士の優劣を比較 定量的に!(サンプル比較:原稿樹脂と代替候補樹脂)

活用例

  • 仕様変更を検討している樹脂同士の優劣比較
  • 使用環境下のリスク評価
  • 設計時の安全率算出(形状検討/ねじ締結のトルク基準) など

応用例

歪みの可視化技術と組み合わせることで、実製品における評価も可能です。

実製品の樹脂割れトラブルをデジタル画像相関(DIC)で評価した事例 (ネジ締め:前→ネジ締め後:歪み0.7%、ネジ周辺に歪みが発生

注:歪み発生箇所に薬品がかかると割れのリスクとなり得ます

サンプルを使用した「原稿樹脂」「代替候補樹脂」の比較表

⇒ 実際にかかる歪みが0.7%と分かるため、代替候補樹脂が問題なく使用できることが判断可能

上記の内容以外にも、製品形状でのご評価や上記試験結果を踏まえた割れの原因究明などのトラブル対応も行っておりますのでお気軽にご相談ください!

Column

「耐薬品性を評価する方法を選ぶポイント?!」

耐薬品性試験として、上記手法の他に、浸漬試験や1/4楕円法等の手法もあります。
※浸漬試験及び1/4楕円法ともに弊社にて試験可能です。
弊社で基本としている専用治具を用いた手法では、完成商品としての○×判定だけでなく、12段階で樹脂の優劣を定量的に評価することが可能なため、より効率的な材料選定など、開発初期の段階からより迅速に、より良い製品開発に貢献いたします。

Column

「自社製品は、薬品に触れないはず・・・?!」

仮に通常使用時には薬品に触れない製品だとしても、大掃除の際に一般洗剤に触れたり、衛生管理意識の高まりからアルコール除菌を取り入れるなどの可能性が考えられます。
ユーザーの使用環境を想定し、事前にトラブルを防ぐ開発を支援いたします。

Column

「歪みの可視化:デジタル画像相関法(DIC)とは?」

2台のカメラを用いて、非接触にて歪みを可視化する技術。点ではなく面で測定するため、製品の脆性箇所を特定することが可能になります。
製品組み立てにネジによる締めつけがある、反りを抑えるために位置調整がある、等、実製品として考えた時に外部からの力がかかる場合はございませんか?
薬品割れ対策のみならず、製品の脆性箇所特定や物性データの取得としても適用可能な技術ですので、ご興味ある方は併せてご検討ください。

Column

「ご依頼の流れ:評価は実施可能?準備物?」

基本的に、ご準備頂くものは“樹脂”と“薬品”の2点になります。
樹脂は、ペレット供給でも製品からの切り出しでも構いませんが、切り出す場合は成型時に内部歪みが残っている場合が考えられます。その場合、アニール処理(内部歪みの緩和)等、お客様の相談内容に合わせて最適な方法を併せてご提案させてきただきます。
薬品については、汎用的なものについては弊社で対応可能な場合もございます。