デジタル画像相関(DIC)法 (受託測定サービス)

プロダクト解析センターでは実製品や試験サンプルを対象に、非接触・非破壊で、変位・ひずみ・熱変形測定を可視化・定量化するデジタル画像相関(DIC)法による受託測定サービスを提供しております。

DICは製造業・商品開発・信頼性評価において、温度環境や荷重負荷時の実製品挙動を把握する目的で利用されます。例えば、温度サイクル試験中に生じた部品破損の原因究明、高温中の製品の変形状態の把握、ソフトマテリアルの材料物性測定などに対応します。
プロダクト解析センターが提供するDIC測定サービスは、パナソニックグループで培った知見と実績に基づき、設計開発や信頼性評価、不具合解析に直結するデータ取得が可能です。

本ページでは、DIC法の概要、特徴、測定レンジ、測定・解析の流れ、測定事例、関連設備一覧、解析原理、よくある質問、費用・スケジュールをご紹介します。

 

Q. デジタル画像相関(DIC)法とは何ですか?
A. デジタル画像相関(DIC)法とは、カメラで撮影した画像のパターン変化を解析し、非接触・非破壊で対象物の変位やひずみを面分布として定量評価する測定手法です。

DIC測定例

スペックルパターンの形成→恒温槽内にてスペックルパターンを追跡→解析により、熱ひずみ分布を出力

デジタル画像相関(Digital Image Correlation(DIC))概要

デジタル画像相関(DIC)法は、2台のカメラで撮影した画像内のパターン変化を追跡することで、ひずみや変形を非接触で可視化し対象物の変位やひずみを面分布として定量評価する測定手法です。
2台のカメラを用いた3次元解析に対応し、1mm程度の微小領域から500mmの製品まで測定実績があります。温度環境や強度試験機と組み合わせることで、様々な状態での計測が可能です。

わかること

  • 変位・ひずみの面分布
  • 熱ひずみ・熱変形
  • 線膨張係数
  • 特定方向のひずみ
  • ポアソン比・弾性率
  • 応力–ひずみ曲線(引張試験との組み合わせ)

主な用途

  • 部品破損の原因究明
  • 温度サイクル中のひずみ・変形の可視化
  • ねじのゆるみの定量化
  • 成形時の残留ひずみ評価
  • 局所的な線膨張係数
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対象例

  • 樹脂成型品
  • 金属
  • 薄膜・フィルム
  • ゴム・エラストマー
  • 接着剤・両面テープ
  • フレキシブル基板
  • はんだ接合部

特徴

DIC法は以下のような場合に適しております。

  • ひずみゲージが適用できない場合
    (例:薄膜や柔らかい材料の物性や熱ひずみの測定)
  • 温度サイクル中の変形や熱ひずみを評価したい場合
  • 局所でなく面全体の分布を把握したい場合
  • TMAで測定困難な製品状態などの線膨張係数
  • わずかなねじのゆるみの可視化・定量化
  • 応力集中箇所の特定
撮影に用いるカメラ
撮影に用いるカメラ

プロダクト解析センターのDIC測定の特徴

  • パナソニックグループで培った知見と実績が豊富。特に薄膜の物性測定は実績豊富。
  • CAE担当者が測定するため、CAEの材料物性に関する知見が豊富。
  • 恒温槽、強度試験機、疲労試験機、ひずみゲージ測定器など関連機器を数多く保有。
    他の機器と組み合わせることで、より実際に近い現象での測定が可能となります。
  • 短納期対応

測定レンジ

測定可能範囲

3mm~500mm

面内分解能

画像サイズに対して 1/200,000

面外分解能

画像サイズに対して 1/100,000

ひずみ計測レンジ

0.005% (50με)~500%
※測定条件によります。

対応温度

-40~+150℃

測定・解析の流れ

スプレーなどで形成したスペックルパターンをカメラで追跡し、各サブセットの変位を算出した後、ひずみ分布へ変換します。
視野全体を一括で扱えるため、局所変形だけでなく分布の評価が可能です。

①スペックルパターンの形成 ②パターンを追跡しての変形を測定 ③解析により、ひずみ分布を出力 ひずみのコンター図(初期状態:画像をサブセットと呼ばれる微小領域に分割し、 各サブセットごとにパターンを追跡し変形(ひずみ)を測定。→変形後1→変形後2)

測定事例

代表的な相談シーンごとに、DIC法の活用例をご紹介します。温度環境下の熱変形、材料物性値評価、CAE妥当性確認など、評価目的に応じて活用できます

  • 成型品の線膨張係数の測定
  • 金属加工製品の線膨張係数(加工後の線膨張係数)
  • 温度サイクル(ヒートサイクル)試験における接着剤の熱ひずみ可視
    (疲労寿命シミュレーション)
  • 温度サイクル(ヒートサイクル)試験における製品の熱ひずみ測定
  • 温度サイクル(ヒートサイクル)試験におけるねじのゆるみ測定
  • 薄膜、フィルム、ゴムの材料物性値(弾性率、ポアソン比、応力ひずみ曲線など)
  • 接着剤・両面テープの材料物性値(接合状態で測定)
  • フレキシブル基板に負荷を与えた際に生じるひずみ分布
  • はんだ接合部の熱応力解析結果の妥当性検証
  • 成形時の残留ひずみ分布

事例(成形品の線膨張係数の測定)

デジタル画像相関(DIC)法を用いることで、成型品の線膨張係数を計測することができます。

ここでは、樹脂の成型品の線膨張係数を計測した事例を紹介します。線膨張係数の評価としてはTMA(Thermomechanical analyzer)と呼ばれる熱機械分析装置を用いて行うのが一般的です。しかし、TMAにセットできるサンプルサイズは数mm程度なので、成形品そのものの線膨張係数を測定するのは難しく、サンプルを切り出す必要があります。そこで今回はデジタル画像相関(DIC)法と呼ばれる画像解析を用いて、成型品の線膨張係数の計測を行いました。

測定原理

物体は温度変化によって膨張・収縮するため、その変化をカメラでとらえることで線膨張係数を計測します。

(低温→拡張→高温 拡張→収縮→収縮)解析に用いる直線 温度変化による、ある直線の 長さの変化を解析することで 線膨張係数を計算します。

測定方法

今回は2種類の樹脂の成型品の線膨張係数を計測しました。1つ目は、ポリカーボネート(PC)の成型品です。2つ目は、ポリプロピレン(PP)の成型品です。どちらも様々な製品で使用されている汎用樹脂です。どちらも恒温槽内にサンプルを設置し、恒温槽の外から窓ガラス越しにカメラで撮影する方法で測定しました。

測定① ~PC成型品の線膨張係数~(・槽内の温度: 25℃、55℃、80℃、105℃ ※製品に熱電対を貼付し、別途温度を測定  ・写真撮影: 目標温度到達後、カメラで撮影) 測定② ~PP成型品の線膨張係数~(・槽内の温度:-40℃~120℃まで連続昇温 ※製品に熱電対を貼付し、別途温度を測定  ・写真撮影:一定時間毎に、カメラで撮影)

測定結果① ~PC成型品~

PC成型品の線膨張係数 図

25℃〜105℃の範囲で膨張率は線形に増加し、今回の温度範囲ではガラス転移点は現れていません。グラフの傾きから、線膨張係数は 7.0 × 10-5 [1/℃] と評価できます。

測定結果② ~PP成型品~

39.0℃(左)と119℃(右)の 時のY軸方向変位 (変位の基準は25℃)

温度と膨張率の関係に変曲点が現れ、26.0℃付近に熱的挙動の変化が確認できます。線膨張係数は低温時 5.3 × 10-5 [1/℃]、高温時 15.6 × 10-5 [1/℃] となりました。

関連動画

関連動画:引張試験の様子

関連動画:き裂進展の様子

関連設備一覧

評価目的に応じて、DIC計測系だけでなく温度環境設備や強度試験機を組み合わせて測定します。

設備 主な用途 補足
恒温槽熱ひずみ・熱変形・線膨張係数の測定 -40〜+150℃対応
引張試験機
圧縮試験機
疲労試験機
薄膜の弾性率、ポアソン比、応力ひずみ曲線の取得荷重負荷時のひずみ測定から各種物性を算出
ひずみゲージ測定機器 接触式のひずみ測定 DICで測定できない内部の測定が可能

解析原理

① サブセット設定

初期(参照画像)→変形後 中心点(解析点)を追跡する様子

解析に用いる微小領域(サブセット)を設定し、その中心点を追跡対象とします。初期画像と変形後画像の対応関係をここから求めます。

② 解析点の追跡

中心点(解析点)を追跡する様子

各解析点で算出した変位をもとに、3点で構成される三角形要素を作成し、対象面の変形状態を連続的に表現します。


③ 変位からひずみへ変換

変位からひずみの計算

面素の変形から x方向・y方向・せん断ひずみを求め、評価対象に応じたひずみ量へ変換します。

④ 出力される代表量

・x方向ひずみ ・y方向ひずみ ・せん断ひずみ

x方向ひずみ、y方向ひずみ、せん断ひずみなどを分布やグラフとして出力できます。座標変換により特定方向のひずみ評価にも対応できます。

よくある質問

※ DIC法は、液体や内部構造など、カメラで観察できない対象の直接測定には対応できません。

DIC法ではどんなことがわかりますか?
DIC法により対象物の3次元的な変位分布、ひずみ分布を可視化するとともに、定量化できます。また、引張試験機と合わせて試験することで、機械的な材料物性(ポアソン比、弾性率、応力-ひずみ曲線など)も、取得できます。
どのような課題の評価に向いていますか?
DIC法は以下のような場合に適しております。
  • ひずみゲージが適用できない薄膜や柔らかい材料
  • 温度サイクル中の変形や熱ひずみを評価したい場合
  • 局所でなく面全体の分布を把握したい場合
  • TMAで測定困難な製品状態などの線膨張係数
  • わずかなねじのゆるみ
  • 機械締結時(接着、溶接、ねじどめ等)の変形、ひずみ
ひずみゲージでは測りにくい薄膜やゴム、フィルムのような試料も測定できますか?
可能です。薄かったりやわらかかったりする材料は、DICがもっとも得意とするところです。薄膜やフィルム、ソフトマテリアルの評価事例もございます。プロダクト解析センターでは一般的な金属や樹脂の局所ひずみはひずみゲージを用い、薄膜やソフトマテリアルはDIC法を使い分けております。
温度サイクル中にDIC測定はできますか?
可能です。恒温槽と組み合わせることで、-40~+150℃の範囲で、温度サイクル試験中の熱ひずみや熱変形を測定できます。
DICで測定ができないものはありますか?
液体などスペックルパターンが塗布できないものやカメラで観察できない内部構造の直接測定は対応できません。ただし、表面はDIC,内部はひずみゲージのような測定は可能です。
プロダクト解析センターのDIC測定サービスの特徴は何ですか?
当部門では、恒温槽や各種試験機と組み合わせた実製品・実部品のDIC測定を得意としております。また、パナソニックグループで培った様々な経験をベースに、測定結果から現象メカニズムの考察も対応可能です。
サービスの利用料金はどのような条件で変動しますか?
費用は対象物の大きさ・形状、温度条件、必要な測定項目、測定範囲・分解能、恒温槽や追加試験の有無、報告書などの成果物内容によって変動します。

費用・スケジュール

費用イメージ

  • 簡易測定:9万円~
  • 温度環境下でのDIC測定:個別見積
  • 詳細解析・物性評価:個別見積

視野サイズ、撮影点数、温度条件、試験機併用の有無、解析内容により変動します。

スケジュール目安

  • お問い合わせ後、初回確認:1営業日以内
  • 条件整理・見積提示:1営業日〜
  • 測定・画像解析:最短、サンプル到着後、2営業日
  • 報告書提出:内容確定後にご案内

温度環境試験や治具検討が必要な案件は、準備期間を含めてスケジュールを調整します。

プロダクト解析センターでは非接触3次元ひずみ計測の受託試験を承っています。
お気軽にご相談ください。