HALT/HASS試験
お知らせ
2021-1-20 【情報館】「微摺動摩耗によるトラブルをHALT試験で解決!」を掲載しました。
HALT/HASS試験とは
- HALT(Highly Accelerated limit Test)は、製品に強いストレスをかけ壊れるまで試験することで、数日程度で製品の弱点を明らかにし、弱点を改善することで、結果的に信頼性の向上ができる定性的な加速試験方法です。
- HASS(Highly Accelerated Stress Screen)は、製品の製造・検査工程の品質維持、管理を行うための試験で、試験条件は、HALTで得られた結果を基に決定します。

HALT装置
高速温度変化&6軸ランダム振動を同時に印加できる高加速試験装置(米国QualMark社製 Typhoon2.5)
- 温度:-100~200℃(60℃/分以上)
冷却:液体窒素をガス化して噴射
加熱:40Kwニクロム型ヒータ
- 6軸ランダム振動:
最大50Grms(10~5000Hz)
加振:エアシリンダ(8機)のハンマーで振動盤を叩き、インパルス状衝撃を連続発生

対象の弱点を顕在化し開発期間の短縮に貢献
5つのステップストレス試験や複合振動試験などで、製品の弱点 を見つけ出し、改良・対策の後、再試験で良い結果が得られれば、 製品の仕様に反映し、従来型の信頼性試験での確認を行います。 長時間の信頼性試験を再度行うリスクが低減でき、コスト及び 開発期間の短縮に貢献します。
また、不具合の内容によっては、従来型の信頼性試験では再現が難しいトラブルも、HALTで短時間で再現できる場合もあります。

試験方法
<ステップストレス試験>
ストレス(温度、振動)をステップ状に変化させて加え、その都度、機能確認によりOK又はNGをチェックします。


<複合振動連続試験>
連続で50Grmsのランダム振動の強いストレスを加えることで、はんだやカシメなどの接続部の不具合を短時間で顕在化します。

- HALTへの取付け


- 試験条件

- 試験試料(基板)
- 部品:7.92mmピッチ4ピンコネクタ雄
- 鉛フリーはんだ:2種類
・Sn3.0Ag0.5Cu(以下、3Agと記す)
・Sn0.7CuNi(以下、Ag無と記す) - 基板:ガラスエポキシ,紙フェノール 2種類
・面積比R(ランド,ホール寸法の組み合せ)を12種類


- はんだ量と耐クラック性、及びHSTとHALTの加速性考え方

- 試験:試験実施状況


- HALTとHSTのはんだクラック例


- 試験結果:HSTとHALTの比較

- 結果まとめ

- 本試験条件に於いてはHSTとHALTとの強い加速性が認められた。
⇒時間換算で約100倍 - HALTの加速性には振動ストレスが効果的に寄与している。
⇒繰り返し振動応力がはんだクラック生成に大きく影響している。
- 試験結果:USBコネクタの種類によっては、微摺動磨耗による接触抵抗の変化を確認


今回評価したUSBコネクタの接触抵抗安定性の順位付け
<接触抵抗安定性>
純正品 > 情報機器用 > 互換性 > 100円均一品
この接触抵抗安定性は、「Au(又はPd)めっきの厚み」や「コネクタの接触圧」が影響していると推定されます。


USBコネクタ以外にも車載用途の機構部品や機械的なストレスの影響を受け易い機器を対象として、HALTは脆弱部の優劣を短期間で検出できます。既存製品や他社製品とのベンチマーク評価にも活用可能です。

【事例4: ねじ締結部の信頼性評価】
自動搬送装置に使用している『ねじの緩み』を評価した事例です。
<ねじの緩みの主な原因>
外部からの振動や衝撃で、下記①~➂により軸力が低下することで、ねじの緩みが発生
します。
① ねじやボルトが戻り方向に回転し、トルク緩みが発生
② ねじやボルトの頭部座面に隙間が発生
③ 被締結物同士の接触面に隙間が発生

HALT振動は、振動試験で加振されるX,Y,Z軸方向の直線運動に加え、回転運動により、ねじ締結部の限界点抽出を効果的に評価できます。
HALTによるねじ緩み(動画)
<振動試験とHALTの加振状態比較>
試験方法 |
振動試験 |
HALT |
---|---|---|
加振状態 |
直線運動のみ |
直線運動+回転運動 |
イメージ図 |
![]() |
![]() |
試験結果 |
緩み再現しない |
緩み発生 ![]() ![]() |
このようにHALTを用いることで、ねじの緩みを短時間で顕在化します。